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無自覚
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翌日は、朝からレオナルド様が私の部屋を訪ねて来ました。といっても、勿論玄関からではありません。転移で部屋から部屋に移動したのです。この学園では、攻撃魔法は特定の場所を除けば、発動を感知と同時に自動で拘束されてしまいますが、それ以外は使いたい放題です。家事の大半は魔法が主流ですから、使えないのは不便極まりないからです。まして、転移魔法を使えるのは今のところ、私とレオナルド様だけです。お父様にもお兄様にもこの魔法のことは教えていません。
「おはよう、ロッテ。チュ」
「おはようございます、レオ」
レオナルド様の口付けにはもう慣れました。幼い頃から頬や額、手の甲や指先、頭のてっぺんなどに会う度にしてくるので、免疫がつきました。私からは・・・・。恥ずかしくて、催促されれば、でしょうか。
「久し振りにロッテの料理を食べれる。フフフ。幸せだなぁ」
私は過去の記憶から庶民だったことの方が多いこともあり、普通に料理が出来ます。ひとつ前の生で、お祖母ちゃんや家政婦の春子さんから仕込まれた経験も大いに役立っています。
「今日は、トーストと厚切りハムのロースト、コーンスープに蒸し野菜です。飲み物はミルク。食後に紅茶を出しますね?」
「うん。ありがとう」
手早くテーブルに並べて一緒に食べ始めます。レオナルド様は、初めてひとりで暮らすことになる私を気遣い、来てくれたのでしょう。この寮では朝食も提供されるのですから。
「やっぱり、ロッテの料理は美味しいね。明日からも朝だけはロッテが作ってくれる?そうすれば、誰にも邪魔されずにこんなことも出来るし」
そういうと、一口大に切ったハムをフォークに刺して私の口許に持ってくるではありませんか。つまり、「あーん」をしたいと・・・・。ニコニコと笑顔で私の唇をツンツンとしてきます。ここで食べなければ、レオナルド様はそれはそれは悲しそうな顔をするんです。お茶の時間を共にした時に何度か経験済みです。仕方なく、口を開けてそれを食べます。少し困った顔になるのは許してください。
「美味しい?」
ああ、この嬉しそうな顔を見ると、次も拒むことなど出来そうにありません。コクコクと頷くだけで精一杯です。
「まだ、慣れない?その顔も可愛いから慣れなくても構わないんだけどね?」
いつの間にか自分の分を食べ終えたレオナルド様は、私の隣に席を移して、僅かに残っている私の朝食を手元に引き寄せます。そして、全て「あーん」で口に運ばれました。
「ご馳走さま。じゃあ、一旦戻るよ。下で待ってるから一緒に行こう」
レオナルド様は、最後にぎゅっと私を抱き締めると部屋へと戻っていきました。これから毎朝これをするのかと思うと嬉しい反面、恥ずかしさで身悶えそうです。私、耐えられるでしょうか?
支度を終え、1階のロビーへ降りると、レオナルド様とランスロット様が談笑されていました。すぐに私に気付いたレオナルド様はランスロット様を放り出してまっすぐに私へ向かってきます。少し遅れて、ランスロット様もこちらへと歩き出しました。
「ロッテ」
そのままぎゅうっと抱き締められます。
「ミリー、おはよう」
「おはようございます、ランス」
どうやら、私に続いてミリーナ様が来ていたようですが、ふたりの様子は私には声しか届きませんから分かりません。
「あの!レオ。そろそろ離れて」
「もうちょっとね?」
「ロッテもおはよう」
「おはようございます、ロッテ、レオ」
「おはよう、ミリー」
「う、お、おはようございます、ランス、ミリー」
ふたりの顔を見ることもできず、なんとかくぐもった声で挨拶だけは返します。
「おまえさ、いい加減に離してやれ。お前がロッテを大好きなのはみんな知ってる」
「そうですわ。ロッテが茹だってしまいます」
「ロッテがふかふかで手離せないんだ」
レオナルド様は漸く私を解放しながら、とんでもないことを言い出しました。
「ん。あら、本当ね。これは癖になりそうだわ」
突然ミリーに抱きつかれて唖然としたところで、レオナルド様に引っ張られました。
「ちょっと、触らないでくれるかな?」
「あら、少しくらい構わないわよね?女同士ですし。心の狭い男は嫌われましてよ?」
「お前らなぁ。もう行くぞ」
ランスロット様が、呆れたようにミリーナ様をエスコートされて教室へ向かうのを、後ろからレオナルド様とふたり、のんびりと追いかけました。
教室に入ると、寮のロビーでのことを見ていた人たちから生温い視線が注がれてきます。それとは別に鋭い視線がふたつ。ちらりとその視線の先を確認するとそれは、第2王子とその仮婚約者に行き当たりました。レオナルド様もその視線に気付いているようです。その視線から私を遮るように・・・・ストンと膝の上に座らされてしまいました。
ピューウ
あちこちから囃し立てるように口笛やらざわめきが聞こえてきます。
「お前なぁ」
「仕方ないさ。教室でするつもりはなかったけど、ロッテを護るためだからね」
「ああ。あの鋭い視線な」
「嫌よね。自分からロッテを拒否したんでしょう?久し振りに会ってみたらこんなに可愛いから今更惜しくなったのではなくて?」
「???ミリー、わたくしは可愛くなんてないですよ?地味だし、ポッチャリなのは昔と変わりありませんから」
ミリーナ様の言葉はとても嬉しいのですが、自分のことは自分でよく分かっているつもりです。濃抹茶色の髪と枯草色の瞳という地味な色合いに、子供体型からは少し外れてきましたが、手足以外は相変わらずポッチャリです。
「「「え?!!!」」」
「え?」
こてんと首を傾げた私に、レオナルド様は頭をぽんぽんとしてきます。訳が分かりません。
「こういうところが可愛いんだよね」
「無自覚って恐ろしいわ」
「レオも大変だな。協力してやらなくもないぞ」
「そうね」
「ああ。よろしく頼むよ」
3人の謎の会話が終わる頃、ナンザルト先生がやって来て、漸く私は自分の席に着くことが出来たのでした。
「おはよう、ロッテ。チュ」
「おはようございます、レオ」
レオナルド様の口付けにはもう慣れました。幼い頃から頬や額、手の甲や指先、頭のてっぺんなどに会う度にしてくるので、免疫がつきました。私からは・・・・。恥ずかしくて、催促されれば、でしょうか。
「久し振りにロッテの料理を食べれる。フフフ。幸せだなぁ」
私は過去の記憶から庶民だったことの方が多いこともあり、普通に料理が出来ます。ひとつ前の生で、お祖母ちゃんや家政婦の春子さんから仕込まれた経験も大いに役立っています。
「今日は、トーストと厚切りハムのロースト、コーンスープに蒸し野菜です。飲み物はミルク。食後に紅茶を出しますね?」
「うん。ありがとう」
手早くテーブルに並べて一緒に食べ始めます。レオナルド様は、初めてひとりで暮らすことになる私を気遣い、来てくれたのでしょう。この寮では朝食も提供されるのですから。
「やっぱり、ロッテの料理は美味しいね。明日からも朝だけはロッテが作ってくれる?そうすれば、誰にも邪魔されずにこんなことも出来るし」
そういうと、一口大に切ったハムをフォークに刺して私の口許に持ってくるではありませんか。つまり、「あーん」をしたいと・・・・。ニコニコと笑顔で私の唇をツンツンとしてきます。ここで食べなければ、レオナルド様はそれはそれは悲しそうな顔をするんです。お茶の時間を共にした時に何度か経験済みです。仕方なく、口を開けてそれを食べます。少し困った顔になるのは許してください。
「美味しい?」
ああ、この嬉しそうな顔を見ると、次も拒むことなど出来そうにありません。コクコクと頷くだけで精一杯です。
「まだ、慣れない?その顔も可愛いから慣れなくても構わないんだけどね?」
いつの間にか自分の分を食べ終えたレオナルド様は、私の隣に席を移して、僅かに残っている私の朝食を手元に引き寄せます。そして、全て「あーん」で口に運ばれました。
「ご馳走さま。じゃあ、一旦戻るよ。下で待ってるから一緒に行こう」
レオナルド様は、最後にぎゅっと私を抱き締めると部屋へと戻っていきました。これから毎朝これをするのかと思うと嬉しい反面、恥ずかしさで身悶えそうです。私、耐えられるでしょうか?
支度を終え、1階のロビーへ降りると、レオナルド様とランスロット様が談笑されていました。すぐに私に気付いたレオナルド様はランスロット様を放り出してまっすぐに私へ向かってきます。少し遅れて、ランスロット様もこちらへと歩き出しました。
「ロッテ」
そのままぎゅうっと抱き締められます。
「ミリー、おはよう」
「おはようございます、ランス」
どうやら、私に続いてミリーナ様が来ていたようですが、ふたりの様子は私には声しか届きませんから分かりません。
「あの!レオ。そろそろ離れて」
「もうちょっとね?」
「ロッテもおはよう」
「おはようございます、ロッテ、レオ」
「おはよう、ミリー」
「う、お、おはようございます、ランス、ミリー」
ふたりの顔を見ることもできず、なんとかくぐもった声で挨拶だけは返します。
「おまえさ、いい加減に離してやれ。お前がロッテを大好きなのはみんな知ってる」
「そうですわ。ロッテが茹だってしまいます」
「ロッテがふかふかで手離せないんだ」
レオナルド様は漸く私を解放しながら、とんでもないことを言い出しました。
「ん。あら、本当ね。これは癖になりそうだわ」
突然ミリーに抱きつかれて唖然としたところで、レオナルド様に引っ張られました。
「ちょっと、触らないでくれるかな?」
「あら、少しくらい構わないわよね?女同士ですし。心の狭い男は嫌われましてよ?」
「お前らなぁ。もう行くぞ」
ランスロット様が、呆れたようにミリーナ様をエスコートされて教室へ向かうのを、後ろからレオナルド様とふたり、のんびりと追いかけました。
教室に入ると、寮のロビーでのことを見ていた人たちから生温い視線が注がれてきます。それとは別に鋭い視線がふたつ。ちらりとその視線の先を確認するとそれは、第2王子とその仮婚約者に行き当たりました。レオナルド様もその視線に気付いているようです。その視線から私を遮るように・・・・ストンと膝の上に座らされてしまいました。
ピューウ
あちこちから囃し立てるように口笛やらざわめきが聞こえてきます。
「お前なぁ」
「仕方ないさ。教室でするつもりはなかったけど、ロッテを護るためだからね」
「ああ。あの鋭い視線な」
「嫌よね。自分からロッテを拒否したんでしょう?久し振りに会ってみたらこんなに可愛いから今更惜しくなったのではなくて?」
「???ミリー、わたくしは可愛くなんてないですよ?地味だし、ポッチャリなのは昔と変わりありませんから」
ミリーナ様の言葉はとても嬉しいのですが、自分のことは自分でよく分かっているつもりです。濃抹茶色の髪と枯草色の瞳という地味な色合いに、子供体型からは少し外れてきましたが、手足以外は相変わらずポッチャリです。
「「「え?!!!」」」
「え?」
こてんと首を傾げた私に、レオナルド様は頭をぽんぽんとしてきます。訳が分かりません。
「こういうところが可愛いんだよね」
「無自覚って恐ろしいわ」
「レオも大変だな。協力してやらなくもないぞ」
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「ああ。よろしく頼むよ」
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