ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子

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野外実習④

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私たちは森の中を移動しつつ、野営に適した場所を探しています。時折、遠くの方からドーン!と魔法を放ったらしい音が聴こえてきます。

「他のパーティーも順調なようだね」

「早いところ場所を確保しましょう。この森には洞窟はありませんからね。出来れば、他のパーティーのいないところを見つけられるといいのですが」

「何でだ?みんなの近くにいた方が、いざというとき安全だろ?」

ランスロット様が不思議そうに尋ねました。確かにその通りです。

「通常はね」

「ですが、今回のような学生の実習の場合は別です」

「1年生の中にも今回の野外実習で初めて野営をする方もいますわ。すると、何かあったときどうなると思います?」

「慣れていないから、パニックを起こして巻き添えを食うわ」

「そんな奴いるのかよ?」

「あら、結構いますわよ?」

「ハァ。魔獣の討伐は貴族の義務でしょうに」

その通りです、ミリーナ様。

「建前はね。それを実践する下級貴族は少ないのさ。中級貴族だって怪しいものだな」

魔力量の差だと言われてしまえば、反論しづらいですが、それで領地を守れるのでしょうか?

「法会貴族はともかく、領地持ちではあり得ないな」

レオナルド様の言うとおりです。私もレオナルド様もお父様やクリンデル義父様に領地に帰る度に1度は連れ出されました。

などと話しているうちに、大きな岩のある少しだけ開けた場所に出ました。

「ここがいいんじゃないか?」

「そうですね。岩の前で野営としましょう」

まずは、火を興すところから。とはいえ、無属性の生活魔法を使えば、簡単に火は点きます。道々、乾いた枝などを拾っていますから薪集めからなんてことはありません。私とミリーナ様が火を興し、夕食の準備を、レオナルド様とランスロット様は今夜の寝床の準備。マリアンナ様とミュリアーナ様は周りの警戒。クレイグ殿下とキャメロン様は他のパーティーの動向を探りに行きました。

さて、この森で見つけた野菜は、ニンジン、タマネギ、ジャガイモ、スイートイモと季節外れのトマトが少しです。それに、この世界独特のパンレッドと呼ばれるしっとりとしたお麩と言えばいいかしら?パンの代用品のような木の実をたくさん。残念ながら、葉野菜は見つけられませんでした。

「ミリー、夕食はスープとオークの香草焼きとパンレッドでいいかしら?」

「充分ではなくて?果物もあるでしょう?」

「そうね。朝は蒸し野菜、スープ、トンテキかしらね」

「ロッテ、朝食を考えるのは早すぎるのではなくて?」

「そんなことないわ。下準備は一緒にしてしまった方が手間が省けるのよ?」

「そう。まあいいわ。早速作ってしまいましょう」

ちょっと呆れたように言うミリーナ様ですが、料理の腕前は、・・・・とてもおとこ前だったとだけお伝えします。

「お!いい匂いがする」

「美味しそうですわね」

「野営とは思えない食事ですわね」

「お疲れ様、ロッテ」

皆さん、ちょうど夕食出来上がったタイミングで火の周りに集まってきました。食事の匂いで魔獣が寄ってこないように、この周りだけ消臭の魔法を掛けてあるため、食事が出来たかどうかまでは分からないはずなのですが・・・・。近づいた途端にいい匂いが漂うのですから堪らないでしょう。ですが、クレイグ殿下とキャメロン様がまだ戻りませんからお預けです。ふたりの帰還を待ちながら、ワイワイと話が弾みます。

「肉団子のスープか。オークとロングイヤーラビットだよな?」

「そうですわ」

「こっちは?これもスープかしら?」

「それは、食後のデザートですわ。ミリーの栗を食べたいと言うリクエストで作りました。とても甘いですわよ?」

「「キャー♪」」

「野外実習中に甘いものが食べられるなんて♪!」

「癒されますわねぇ」

そうなんです。この森で手に入れた栗と小豆を使って、急遽お汁粉も作ってしまいました。疲れた身体には糖分が一番です。砂糖はたんまり持ってきましたから、後でジャムも作る予定です。小麦粉や卵があればもっと色々作れますが、野外実習にそこまで求めてはいけませんね。ちなみに、砂糖は調味料として持ち込みを認められています。

「済まない。遅くなった」

「アレクとの打ち合わせが長引きました。あちらは大変なことになっていましたよ」

「食事を摂りながら話そう」

これで全員揃いました。やっと晩御飯です。とは言っても、まだ5時にもなっていませんが。

「凄いね。野営とは思えない夕食だ」

「そうですね。ここまでとは言いませんがね」

いつもの野営の食事を思い出したのか、キャメロン様が苦笑いをしています。

「あら?それはどういう意味かしら?」

「あ・・・・。いや・・ははは」

キャメロン様は、マリアンナ様の目の据わった笑顔にアワアワとしています。クレイグ殿下は、あちゃー、と顔を片手で覆って顔を背けました。

「私も、料理をなら、習うべきかなと・・・・」

慌てて言い訳めいたことを口にしていますが、キャメロン様にしては珍しい失態です、よね?ミュリアーナ殿下を見るに、そうでもないようです。またか、と言わんばかりに呆れたように溜め息をついていました。

「それはそれは。楽しみにしておりますわね?」

「え、ええ・・・・」

どうやら、マリアンナ様は料理があまり得意ではないようです。プイッと顔を逸らしました。キャメロン様はマリアンナ様を一生懸命宥めています。地雷を踏んだと分かっているようです。

その間に私は、護衛についてくれている騎士と魔法師に今日の夕食を籠に入れて、彼らのいる近くに「よかったらどうぞ。後程回収いたしますね」とハンカチの上にそれを置いてその場を離れました。就寝前に回収に行くと「ありがとう。旨かった」のメッセージと共に空の籠が。フフフ。お気に召していただけて何よりです。


「ロッテはここね?」

まだ続いているキャメロン様とマリアンナ様の微笑ましいやり取りを聞きながら、土魔法で机と椅子を用意してくれたレオナルド様に呼ばれ席に座ります。

「ここまでくると野営じゃないな」

「本当ね」

私は首を傾げてしまいました。

「野営ってこういうものですわよ、ね?レオ。あれ?」

そう。私たちの野営はいつもこのスタイルです。もしかして、これも普通じゃない?

「・・・・」

レオナルド様は何も言わず、ニコニコ笑いながら私の頭をポンポンと撫でてくれました。どうやら普通ではなかったようです。なぜ、レオナルド様もお兄様もお父様や義父様も!私に普通の野営を教えてくれなかったのですかぁ!!!

「そんなことより食べようぜ!」

ランスロット様の一声で、全員が席につき、食事が始まりました。
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