ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子

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お兄様の卒業

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野外実習も終わり、お兄様たちの卒業まであと2週間ほどとなったある週末。私はレオナルド様、ランスロット様、ミリーナ様と今年最後の依頼を受けて、西の森にやって来ました。今回の依頼は、オーガの群れの殲滅です。西の森の奥深くに棲みかを作ったらしく、その破壊も含まれていますから、1泊2日の予定です。目についた薬草などを採りつつ進みますが、冬も近いためかあまり生えていません。

「なあ、デビュタントの準備、進んでるか?」

「いきなりだな。母上たちが張り切ってるさ」

「この間、侍女が採寸に来ましたから、お母様たちがいいように作ってくださいますわ」

「あら、ロッテはご自分のドレスなのに関わりませんの?」

面倒くさいんです。

「そんなことありません。シンプルにしてください、とお願いしてありますわ」

「・・・・。無理でしょうね」

「そうだな。派手、ではないだろうけど、シンプルではないな」

「やっぱり。言うだけは言わないと。そう言うミリーはどうなんですの?」

「わたくしはデザイン画を見せてもらい、指示を出してあります」

凄い。女子力高いです。

「デビュタントは衣装が特別なだけで、特に準備はいりませんよね?」

「そうでもない。俺は帰ったらダンスの集中特訓が待ってる」

「それは私もだよ。お復習おさらいくらいだけどね」

「学園に来てからは、月一度のダンスの時間くらいしか踊りませんから、仕方ないですわ。ランス、きちんとお復習しておいてくださいな?わたくしのダンスはあなたにかかってますのよ?」

「なら、ミリーも付き合えよ?」

おふたりとも運動能力は高いのに、何故かダンスになると・・・・。音感が心もとないというか・・・・。それでも十分ですが、公爵家としての面子もありますから、特訓なんですね。

「依頼の場所って、このあたりじゃないか?」

レオナルド様が周りをくるりと確認しています。

「・・・・うーん。西に40分ってところかな」

「やっぱ、それ便利だな」

「早く習得しろよ」

「分かってる」

今、ミリーナ様とランスロット様は、魔力操作を応用した索敵を習得しようと頑張っています。なかなか難しいようですけどね。


ド~ン!!!


私たちの進行方向から地響きと物凄い風圧が襲いました。

「くそっ!!!」

「ど、どうしたら・・・・」

「来るなぁ!!!」

同じ方向から聴こえてきた人の声に、急いで駆けつけると、そこには13体のオーガの群れが4人の人間に襲いかかっています。人間の方はどうやら学園の生徒のようです。

「!手伝うか?!」

ランスロット様が冷静に声を掛けます。

「た、頼む!」

「分かった。レオ、引き付け頼む。ミリー半分だ。ロッテはあいつらの保護。行くぞ!」

てきぱきとしたランスロット様の指示で私たちはすぐさま動き出しました。

「あなた方はこちらへ。そこは邪魔になります。急いで!」

彼らがほうほうの体で私の側に来たのを確認して、結界を彼らの周りに張りました。

「レオ!手伝います!」

「なら、ロッテはミリーに向かうオーガの誘導をして」

「了解」

ミリーナ様の元に向かうオーガをなるべく1体になるように調整しつつ、弱らせていきます。レオナルド様はランスロット様のフォローに回ったようです。

「よし!あと1体!」

最後はランスロット様が手早く片付けました。そして、全てのオーガを回収し、襲われていた彼らに事情を聴くことにしました。

「助けていただき、ありがとうございました」

「あなた方が来てくれなかったら、俺たち全滅でした」

彼らは私たちと同じ1年生でDクラスの平民でした。魔力量は中級貴族ほどありますが、まだ扱いに慣れておらず使いこなせていません。冒険者としてのランクもEランクと言うことで、ロングイヤーラビット、ホーンラビット、フサフサマイスあたりを狩りに来ていたそうです。ですが、森の浅いところでオーガに囲まれてしまい、逃げるうちにこんな奥まで入り込んでしまったのだとか。

「とりあえず、今から戻るのは危険だ。森を抜ける前に夜になる。ひとまず、今日は俺たちと野営をする、でいいか?俺たちはオーガの殲滅と集落の消滅の依頼があるからそれを終えたあとでよければ、明日森の外まで送る」

「はい、はい。それでいいです」

「助かります。こんな奥まで来る予定ではなかったので、野営の準備もしてなくて」

「依頼の邪魔はしません。宜しくお願いします」

「ありがとうございます」

私たちは彼らと色々なことを話し、魔力操作の方法なんかを教えたりしたりしながら、翌日、オーガの集落を破壊した後、学園のギルドまで一緒に戻りました。最初のうち、私たちが高位貴族の令息令嬢だと知って、恐縮したように小さくなっていましたが、ギルドにつく頃には打ち解けて下町の穴場の食堂や美味しいパン屋など私たちではなかなか知り得ない情報を教えてくれました。早速、来週末にレオナルド様と行ってみましょうか。



そして、あっという間に時は流れて、今日はお兄様たち4年生の卒業式です。お父様、お母様、お祖父様たち、それにお兄様の侍従のマックスが参加しています。卒業後、お兄様は第1王子殿下のクレイグ様の側近としてお父様と同じ魔法師団に入ることが決まっています。

式は厳かに進められ、啜り泣きがあちこちから聞こえてきます。そして、最後に卒業生代表として、クレイグ殿下が学園に対し謝辞を述べ、式は終了しました。この後は特にパーティーなどもなく、卒業生は年内に寮を引き払い、それぞれに旅立っていきます。お兄様は既に寮から荷物を引き揚げており、家に帰るばかりです。クレイグ殿下やミュリアーナ殿下、お兄様、キャメロン様、マリアンナ様等の高位貴族の方々は、それぞれに在校生や卒業生に囲まれてしまい身動きがとれなくなっています。それだけ慕われているということなのですが、皆さんの顔が若干引きつっているのは気のせいではありません。


漸く解放されたお兄様はちょっと、いえ、だいぶよれっとして、ポケットにはこれでもかと色々なものが突っ込まれていました。

「お兄様、卒業おめでとうございます」

「アレク、おめでとうございます」

今日もレオナルド様は私の隣にいます。

「ありがとう、ロッテ、レオ」

「アレク。よく頑張ったな」

「ありがとうございます、父様。首席は殿下に持っていかれましたけどね」

「それはほれ。花を持たせてやるのも家臣の務めだ」

「お祖父様・・・・。それは不敬になりますよ?」

「誰も聞いとらんさ」

お祖父様・・・・。

「それに私は殿下には叶いません。地頭が違います」

「さあ、ロンパス侯爵家にご挨拶しに行こうか」

そして、卒業式の翌日、私たちはレオナルド様も一緒に王都の自宅へ帰還しました。
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