ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子

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理解しがたいナルシスト

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私とランスは、ロッテとミリーをロッテの部屋に送り届け、ふたりが落ち着いた頃を見計らって、その場を後にした。

「やっぱり犯人はセアベルテナータ殿下だと思うか?」

「うん。実行犯は側近だね」

「動機は?なんで急にこんなことを?すぐにバレるだろ?」

「さあ。私には理解できない言動の持ち主だからね」

ランスは、「確かに」と呟きつつ何事か考え込んでいる。本当にあの魔道具をを開発しておいてよかったと思う。あれがなければ、私たちは今もまだロッテたちが拐われたことに気付いていないだろう。授業が終わり、迎えに行って初めて気付くんだ。殿下たちもその予定だったはずだ。

「なあ。あいつら、ミリーたちを本気で自国に浚うつもりだろうか?」

ランスは深刻そうな顔だ。

「本気だろうね」

だからこそ、私たちも本腰を入れなければ。こんなにも容易く拐われるようではあっという間に奪われる。

「クラスの奴等を本格的に巻き込むか」

「そうだな。ドミニクたちにあいつらの動向を探ってもらいつつ、エルシア嬢たちにも協力してもらおう」

私とランスがこれからのことを話していると寮官から連絡があり、ナンザルト先生の来訪を告げた。



カラーンカラーン

「俺だ」

私の部屋にやって来たナンザルト先生は、一息吐く間もなく話しはじめた。やはりセアベルテナータ殿下たちとあの部屋で遭遇したということだ。

「シャルロットとミリーナをあの部屋に軟禁した理由なんだが・・・・ハァ」

ナンザルト先生は、疲れたように息を吐くと、冷めかけのお茶をぐいっと煽った。

「お仕置きだそうだ」

「「はあ?!」」

何だそれは?
意味がわからない。

ランスも同じことを思ったのだろう。訝しげな顔をナンザルト先生に向けている。ナンザルト先生は、セアベルテナータ殿下とのやり取りを忠実に再現してくれた。








授業が終了しやって来たのは、やはりセアベルテナータ殿下と側近たちだった。そして、この部屋に来るなり俺に向かってふたりの行方を尋ねてきたのだ。

「何故こんなことをした?」

俺は悪びれもせず、シャルロットとミリーナをここに軟禁したと告げるセアベルテナータ殿下に呆れながら尋ねた。

「我の妃たちがおいた・・・をしたお仕置きだ」

何を言っているんだ、こいつは?

「ふたりは我の許可もなく護衛と、ギルドの依頼とはいえ、外泊をしたのだ。知らなかったではすまされぬ。身体に覚え込ませれば忘れることはあるまい?」

「護衛だと?」

「ああ、この国では、仮婚約者とかいう身分になるのか?」

「それは護衛ではなく、将来の結婚相手という意味だ。知らないわけではないだろう?」

他国のことであっても、留学先の決まりも知らない王太子など居るのか?それ以前に、これはどの国であろうとも共通の認識だろう。訝しげな顔を向けるのに何ら不自然なことはないはずだ。

「我と最高相性なのだぞ。我の妃に決まっておろう?」

こいつは心底不思議な顔をしているが、それこそが不思議だ。頭が痛い。

「シャルロットとミリーナも同意していない」

「我の妃たちの名を呼び捨てるとは聞き捨てならんな」

「だから!妃などではないだろうが!」

話が通じない。馬鹿なのか?馬鹿なんだな?

「無関係な者に口出しされるいわれはないな」

「ハァ・・・・。無関係ね。俺はあいつらの担任であり、王弟だ。無関係ではない。それはどうでもいい。つまり、自分の妃たちへのお仕置きのためにここに軟禁したと」

「だから、そう申しておろう。だが、あの護衛たちも我の妃たちを無傷で守ったのだから、腕は確かなようだ。我の護衛として連れていくことも吝かではないぞ?妃たちは我の後宮へ入れば、護衛は必要なくなるからな」

「ハァ・・・・。セアベルテナータ殿下。これは犯罪だ。彼女たちは現時点であなたの妃ではない。側近たちは分かっているようだな。今回の件は、我が国の上層部に伝えさせてもらう。我が国の国王から貴殿の国に正式に抗議があるものと思え」

側近の中には舌打ちしている者もいる。こいつらもまともに見えるだけで、中身はセアベルテナータ殿下と変わらない。ふたりをセアベルテナータ殿下の妃と見ているから、誰も反省の色は見えないし、忌々しそうに俺を見てくる。これは、早急に手を打たなければ、ふたりを浚われてしまう可能性が高い。それは、非常にまずい。シャルロットもミリーナも公爵家の息女だ。外交問題どころか、戦争になりかねん。親たちが怖い!

「それは、困ったな。だが、この学園にも用はない。妃たちが勝手をせぬうちに帰るとしよう」

「はっ。殿下の御心のままに」

セアベルテナータ殿下に、いや、こいつらに話は通じないのか?

「我が国の国民、まして、高位貴族の令嬢や令息を勝手に連れ出すことは認められん」

「ああ、大丈夫だ。我はこの国と敵対するつもりなぞない。我の妃たちを連れ帰るだけだ。我の国では、妃に学を求めることはないからな。この学園に居る必要もなかろう。護衛は・・・・そうだな。学園を卒業した後にでも訪ねてこればいい。歓迎しよう」

ダメだ。話が通じない。

「では、失礼する」

まだ、話は終わっていなかったが、これ以上どう話せばいいのかも分からない。不本意ながらこの場は見送るしかなかった。









「「ハァ・・・・」」

ナンザルト先生の話を聞いた私とランスの感想は、“やっぱりそうなったか”だ。常日頃の言動からまともに話ができるとは思っていなかったが、酷すぎる。何処までも自分に都合よく解釈できるのは、ある種の才能か?

「あの殿下とまともに話ができるとは思ってなかったけど、どうする?レオ」

「護衛か。通りで私たちが一緒にいても気にもされないわけだ」

「だな」

「先生、セアベルテナータ殿下は、帰国すると、そう言ったんですよね?」

「ああ」

「あの国に帰るには、転移陣でキルム王国を通るか海から行くか」

「遠回りだが、シュザン公国を介するという方法もあるな」

「いずれにしても、国を跨ぐからな。各国の許可を得てからになるはずだから、3月は帰れない」

「あの側近の人数では少なすぎるし、騎士は一人もいないから、妥当だな。今、港にグリフォル族連合王国の船は1艘もないぞ」

「港までは、ギルドの転移陣を使って半日か。ギリギリまでここに居座るか、何処かに身を寄せるか・・・・」

「その間に」

「あっ。悪い。忘れていたが、あの国の第2王子がこっちに向かうと連絡があった。2年の野外実習が終わるくらいに着くはずだぞ」

「あと2月か。どの道で来るんだ、先生」

「海路だ」

「転移陣は使わないんだ?海路なんて時間ばっかりかかるだろ?」

「まあ、金だな。国を跨ぐ転移陣の使用はバカ高い」

私たちは、2月後を見据えてそれぞれの家を巻き込み、セアベルテナータ殿下とその側近たちを叩きのめすため画策を始めた。
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