ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子

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レベルの上がった自主訓練

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私たち2年Aクラスは1月振りに野外訓練場に集まりました。2年生になってからは、1月に1度、屋内訓練場だけでなく屋外訓練場も使用しています。無詠唱での魔法の発動も皆さん着実に出来るようになり、今は私たちが幼いときからしている遊び・・をしています。

「今日は何するんだ?」

「ん?何がいい?」

「僕は気配と魔力消しがいいな」

「わたくしも」

「私は魔力操作の訓練かな」

「あ、俺も」

「わたくしもそれを練習したいです」 

意見が割れることなどいつものことです。

「ならあれはどうかな?どう思う、ロッテ?」

あれなら、両方とも訓練できそうです。

「いいと思いますよ」

あれ・・・・。そう、リアル陣取りゲームです。ルールは簡単。2チームに別れて野外訓練場を取り合うのです。自陣となるのは、仲間の魔力で満たされているところ。攻撃魔法は禁止です。味方と協力して、相手をあらゆる手を使って油断させて、気を削ぎ、魔力を不安定にさせて陣を増やしていくのです。これは、8歳くらいから私とレオナルド様とお兄様の3人でよくしていた遊びです。作戦をたてて立ち向かわないと魔力押しではどうにもならないため、私は2人に勝てたためしがありません。ふたりが熱戦を繰り広げるなかチマチマと自陣を増やすだけでした。頭脳戦、苦手です。

「じゃあ、チームは・・・・」

レオナルド様・私・ローランド様・エルシア様・グロース様・メイベル様・マイカル様・スザンナ様。

ランスロット様・ミリーナ様・ドミニク様・キャロライン様・グレゴール様・ティンクル様・エドガー様・ユリアナ様。

さて、戦闘開始です!

私たちは作戦をレオナルド様とローランド様に任せ、私とグロース様・マイカル様・スザンナ様は気配を消し相手を揺さぶるのが役目です。自陣はエルシア様とメイベル様が守ってくれます。この相手を揺さぶるのは意外と楽しいのですよ?そっと背後かろ近寄ってビックリさせたり、膝カックンしてみたり♪油断していると私自身も背後から水をかけられたり、風で転ばされたり。敵陣でやられたら一度自陣に戻って出直しが必要ですから、油断大敵です。攻撃魔法でなければ魔法は使えますから、無詠唱というのは相手に気づかれないためには必須です。

そうやって私たちが1時間程楽しく遊んでいると、野外訓練場の周りに人が集まっています。訓練場の周りには結界が張ってありますから中には入ってこれません。私たちの護衛のお姉様方も結界の外で待機しています。

「お前たち・・・・」

ナンザルト先生がその中に居たようです。若干呆れているのは気のせいでしょうか?

「今日はここまでにしようぜ」

ランスロット様の号令で本日は終了。「疲れたぁ」「まだ詠唱なしは空ブルな」「前よりは良くなったのでは?」など反省会が始まり、訓練場の結界が解かれました。その途端・・・・。

「レオ兄様ぁ~」

聞きたくなかった声と同時にこちらに突進してくる女生徒が1名。いつものように私の張った結界にビタンと来るかと思いきや、後ろから1本の手が伸び、ミランダ様を捕まえました。

「ミランダ嬢。2年生の邪魔をしてはダメだよ。僕たちもまだ課題の途中なんだから。この訓練が終わるまでって言う約束だよ?」

ミランダ様の面倒を見る男子生徒に阻まれ、連行されていきました。「最高相性だし、あのまま纏まればいいのにね」というレオナルド様のポツンとした呟きに、本当にその通りですと強く思いました。頑張れ!名前も知らない男子生徒くん!これ以降、ミランダ様の後ろには必ず彼が居るようになり、ひとつの厄介事が片付いた私たちが彼に感謝したのは言うまでもありません。そのふたりが仮婚約を結ぶこととなるのはもう少し先のお・話・し。

「1年の時からよくクラスで集まっているのは知っていたが、こんなことしてたのか?」

「ええ。まあ、そうですね」

「通りで実践に強くなるわけだ。気配を消す練習か?」

「それもありますよ。あとは、魔力操作と無詠唱の練習。それに、状況判断力の強化ですかね」

「え!そんなことまでしてたのか?俺ら」

ランスロット様だけでなく、他の皆さんも分かっていなかったようです。

「ハァ。結構、複雑なことしてるよな?」

「まあ。そうですね。でも、遊びですから」

レオナルド様は苦笑しています。ナンザルト先生はジト目で私とレオナルド様を代わる代わる見ますが、実際、ただの遊びです。

「遊び、ねえ・・・・。お前たちふたりが関わるとただの遊びはこうなるわけだ。よし!今度の野外実習はきちんと実力に見合った課題にしてやろう」

ナンザルト先生のこの言葉に皆さん「うげー」「手加減して」「過大評価ですわぁ」と言いながらもちょっと誇らしそうな顔をしていました。




「ハァ。これがただの遊びだって言うなら、レオナルドが言ってたことは事実なんだろうなあ。・・・・国ひとつか。もう、このふたり卒業でよくないか?俺に教えることなんてないぞ?手に負えんだろう?誰か変わってくれないかなぁ・・・・」

ナンザルト先生の哀愁漂う独り言は誰の耳にも届くことはありませんでした・・・・。



その頃、お兄様たちは王都のお父様たちと連絡を取り合い、レオナルド様が思い付いたらしい計画の実行に奔走していました。
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