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16.国王からの贈り物。
しおりを挟む1日ぶりの再会をするミズナと国王。
外で話す二人の声が聞こえる。
「パパっ!昨日はお電話ありがとうなのよっ!」
「んっ、パパもミズナの声聞けて嬉しかったぁ!
ママももう許してくれたみたいだしぃ、また寂しかったら電話するかもっ♡」
裁判所での厳格な感じとのギャップがエグいぞ。
娘と二人だと、何というか乙女なんだな...。
「今日は渡したい物があって来てくれたのよね?
家狭いけど、良かったら上がって!」
「えぇ~?全然玄関先でいいのにぃ!
じゃ~、ミズナのお家お邪魔しちゃおっかなっ!」
ガチャ!
「朝早くに失礼いたします。
改めまして国王をやっております、ミズナの父です。」
オイィぃぃ!!!
急に国王にジョブチェンジしたぞこの人!
こっちはさっきまでの聞こえてんだぞっ!
とりあえず、笑いをこらえて普通に接するか...。
「お、おはようございます。国王さま。
本日はどのようなご用件でしょうか?」
みな、笑いを必死にこらえながら国王に頭を下げている。
というか、頭を下げないとバレそうなくらい爆笑している。
「皆さまそう固くならないでください。
是非ともお使いになって欲しい物がありましたので、持ってきただけですよ。」
国王が指を鳴らすと、外から何やら大きな音が聞こえてきた。
「あ、あの機械...というか乗り物はなんですか⁉︎」
「あれは、いつか軍がゴブリン地帯で作戦を行う時のために用意していたエアカーです。
五人で一ヶ月は生活できるような物資は積んであります。」
「エアカーって、空を飛ぶ車って事ですか⁉︎
俺の時代では考えられないが、どんな技術であんな乗り物が浮くんだ...?
でも...、それなら次々にゴブリンを討伐できると思います!ありがとうございます!」
「えぇ、あれは核エネルギーで浮くんですよ。
あなた方なら使いこなせると信じています。
ところで、コウ君。しばらくミズナと二人で暮らしていたって...、本当ですか...?」
国王が俺を睨むような目つきで見る。
「そっ、それはそうなんですけど...、何もやましい事はしてないですっ!」
危なかった...、また前みたいにミズナの裸を想像してたら殺されてたぜ...。
「そうでしたか。ひとまずは...安心ですね。
では、私は忙しいのでそろそろ宮殿に帰るとします。
コウ君、私の可愛い娘を悲しませたら承知しませんよ...?
サヤカさん、コウ君の“監視”は頼みましたよ。」
「はっ!承知いたしましたわ。国王さま。」
玄関から出ていく国王。後ろ姿まで風格がある。
「パパっ!アタシお見送りするのよ!」
続いてミズナも出ていく。
ガチャ。
「あ~んっ、ミズナぁ。お見送りに来てくれるなんて優しい子に育ったのねぇ♡
あの魔族に変なことされたらすぐにパパに教えるんだよぉ?」
国王とその取り巻きを見送って、家の中に戻ってくるミズナ。
クスクスと、こらえきれない笑いが充満するリビング。
「...えっと、パパの聞こえてたのよね?
...玄関のドア、意外と薄いんだよって後で言っとくのよ...。
けどみんな、外に来て欲しいのよ!スゴい大きな乗り物を貰っちゃったのよ!」
デレデレの国王に気を取られていたが、本命はそっちだ。
ヒルクは一番乗りで飛び出していく。
「うおぉぉ!こりゃスゲェぜ!中にちっちゃい家でも入ってんじゃねぇのかぁ?
サヤカ様も見てみてくださいよっ!」
「これは...、昔で言うキャンピングカーね。」
「サヤカさん、キャンピン...ってのはなんなんだい?」
「ユータンちゃん、キャンピングカーって言うのはね、中で生活ができるように設計された車よ。
キッチンとかベッドとかトイレ、シャワーも付いているわ。」
「シャワーまで...、国王さまが言っていたように本当に1ヶ月は生活出来そうさねぇ!」
「サヤカ様のシャワー中の警護は、この俺ヒルクにお任せくださいっ!」
「まぁた、何言ってんだいアホ弟...。」
みんながエアカーで盛り上がっている間に、俺は今後の事を考えていた。
「なぁみんな。新しい乗り物が手に入ったからって、はしゃいでばっかもいられないぜ?
国王がこれを託すって事は、いよいよ人間界を代表して俺らがゴブリン地帯の攻略を開始するって事だ。
人間界に安寧が訪れるように、外の世界で戦い抜かなきゃならないんだ...。」
手が震える...。
俺ら五人に人類の未来がかかっているんだ。
そして、それを指揮するのは俺...。
そんな事を考えていると、ユータンが俺を見つめていた。
「コウ、アンタ気負いすぎさねぇ!
確かにアンタが思っていたように、人類の未来がかかっているのは事実かもしれないさ。
けど、肩の力抜いて、もう少しウチらを頼ってくれた方がいい結果になると思うけどねぇ。」
「そうだぜ相棒!もっと俺らを信じてくれ!」
「あなたは昔から責任感が強過ぎる部分があるんだから、もう少し楽に考えてもいいのよ。
今はお母さんも一緒なんだから...。」
「アタシは戦闘では役に立たないけど、お悩み相談ならいつでも乗れるのよ!
背負い過ぎてる物があるなら、アタシも一緒に背負いたい。
二人で背負えばなんとかなるのよっ!」
みんなの激励に胸の内が熱くなる。
手は冷たいのにな...。
「みんな...、本当にありがとう...。
俺、みんなとパーティを組めて本当に良かったよ...。」
泣かないように上を向いたが、熱い涙が溢れてしまった。
「泣くのは早過ぎるだろ相棒!
よっしゃ!午後からは近くのゴブリン討伐に行こうぜ!
まずはエアカーで日帰り作戦だ!」
「賛成なのよ~!アタシも早く空飛んでみたいっ!
...で、誰が運転するのよ?」
ミズナの一言で、一瞬にして場が固まる。
「ウ、ウチは機械とかこれっぽっちもだから無理さ!」
「俺の方を見んなよ姉貴っ!俺だってこんなデカい機械、生まれて初めて見たんだからよぉ!
ミズナは機械得意だろ?」
「え!アタシも絶対に無理なのよ!
ゴブリン地帯に到達する前にドカーンなのよっ!
サヤカさん、なんかキャンピングカーに詳しそうでしたけどっ⁉︎」
「わ、私の時代には空飛ぶ車なんて無かったわよ!
ねぇコウ!
あれ?なんか今コウ運転したそうな顔してなかった?運転してみたいわよね?」
「ちょ、テキトーな事言うなよ母さん!俺だってどんな技術で空を飛ぶのかも分からねぇんだぞ!
これじゃ、午後からはゴブリン討伐よりも、運転練習だな...。」
「ちょっとアタシ、運転マニュアルとかないか中見てくるのよ!」
ミズナは運転席に入ってゴソゴソ何かを探し始めた。
「まあ、国王さまがウチらに置いていくんだから、そんなに運転は難しくはないと思いたいけどねぇ。」
「いや、姉貴はいつもキッチンを爆発させてんだから危ねぇっての!
お墨付きの機械音痴なんだよ姉貴は。」
そんな話をしていると、ミズナは何か見つけたのか戻ってきた。
「一応、アタシが見た感じ接触防止機能は付いてるみたいだから安心なのよ。
この辺りは人もいないから、とりあえずお昼にいつものレストランで食べてからみんな順番に乗ってみるのが良いと思うのよ!」
「あー、姉貴だけは乗せんなよ...?」
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