ぼく、パンダ

山城木緑

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1.おかあしゃん

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 ぼくはパンダ。
 たくさん竹が生えているところで、ぼくは生まれたんだ。おかあしゃんのおっぱいをたくさん飲んで大きくなったんだよ。
 寝っころがっておかあしゃんと遊ぶのがいつもたのしかった。寝っころがると、おかあしゃんの大きなやさしい顔がすぐ近くにあった。そのむこうにきれいな緑色の竹がたくさん生えていた。
 この竹いっぱいの林がぼくとおかあしゃんのお家だ。

「ぼくはこの竹から生まれたの?」

 そうおかあしゃんに聞いてみると、おかあしゃんが初めて「お父さんはね……」と口にした。おとうしゃんってなあに? とたずねたら、ぼくはおかあしゃんとおとうしゃんの二人から生まれたのよとおかあしゃんは教えてくれた。

「じゃあ、おとうしゃんはどこに行ったの?」

 そうたずねると、おかあしゃんは上を指さした。

「お空の上のほうにお父さんはいるのよ。私たちを見守ってくれているのよ」

 おかあしゃんはそう言ったんだ。

「あ、竹に登ってるのかぁ」

 ぼくがそう言うと、ふふふ、とおかあしゃんはぼくを抱き締めたんだ。

 竹の葉がかささと音を鳴らしている。月は細く輝いて、地上にほのかな光を落としている。
 ぼくはおかあしゃんのお腹の上で眠っていた。
 風がすずしい。竹の葉はさらさら。ぼくはこの竹林のお家が大好きだ。
 会ったことはないけれど、おとうしゃんがこの竹の上からいつも見守ってくれてるんだ。
 だから、ぼくはこうやってすやすや眠ることができるんだよ。
 今夜もぼくはふかふかの中、ぐっすり眠るんだ。

 さささささ

 竹の葉が触れ合う音が鳴るころ、ぼくはぐっすりと眠っていたんだ。
 その音が、がさ、がさがさがさ、と変わったことにぼくは眠っていて気がつかなかった。
 おかあしゃんだけが、その音に気づいて目を覚ましたんだ。
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