〇〇、とやらをされたらしくて

蓮ヶ崎 漣

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第三章 出会い、とやらをされたらしくて

肝試し(1/3)

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 みんなと別荘に来て数日。

カナがミラたちなら信用出来ると言うことで俺たちが魔物の住まう南の森に住んでること、ファインたちが実は精霊だと言うことを話した。

最初はミラたちも驚きを隠せないでいたが思ったよりあっさり俺が家のことを喋らなかった理由を納得してもらえて拍子抜けする。



ミラには怒鳴られると思ったのに……



そんな俺の心の声が聞こえたのかミラに頬を抓られた。


「いだだだだだっ!!」


「シンヤ、声に出てたよ?僕に怒鳴ってほしかったの?なら、怒鳴ろうか?」


「ご、ごめんなひゃいっ!勘弁してくだひゃいっ!」


ミラはふんっと踵を返すと手を放す。

俺は頬を擦る。

そんな光景を見た他のみんなは笑いながら帰り支度をする。

明日の朝にはこの別荘とお別れするからだ。

ミラと俺も帰り支度をしているとミレイが突然部屋に入ってくる。


「ミラ!シンヤくん!今日、肝試しをするよ!」


「「肝試し?」」


「そう!今日がこの別荘で過ごす最後だから記念に!カナエールさんたちに話したら賛成してくれてね?カナエールさんがゴール地点にいてくれるって言ってくれたの!ファイン先輩たちは脅かし役として潜んでくれるって!だから、夜に肝試しね!」


ミレイはそれだけ言うとまた後で!と言って部屋を出て行った。


「……全く……ミレイはいつも勝手に決めるんだから……カナエールさんまで巻き込んで……しょうがないな」


「ははっ!でも、楽しそうだよな!」


帰り支度をして夜を待つ。

ミラも何だかんだ言って楽しみにしてるのかそわそわし出す。

夜になりリビングに行くとミレイとアーシャ、ファインがいた。


「ファインは脅かし役じゃないのか?」


「あぁ。やろうと思ったんだけどよ……カナたちに止められた。だから、ここで監視役になったんだよ」


「へぇ……」


「それじゃあ、二組に別れよ!このくじ引いて!」


ミレイに言われてくじを引く。

俺が引いたくじは先の方が赤く塗られていた。

ミラのくじは何も塗られていない。


「ミラはアーシャとペアね!シンヤくんは私とペアだよ!よろしくね!」


「あ、あぁ、よろしく」


「ミライヤくん、よろしくお願いします」


「うん、よろしく。アリシア」


「おい、お前ら、アースたちの準備が出来たみたいだぜ。どっちのチームから行くんだ?」


「ここはじゃんけんで決めよう!ミラ!勝負!」


「え、僕はどっちでいいんだけど……」


「いいから!行くよ!ジャーンケーン!」



ポンッ!



ミラはグーを出していてミレイはパーを出していた。


「やったー!私の勝ち!それじゃあ、ミラたちが先ね!行ってらっしゃい!」


「え?ミレイちゃんたちが先に行くんじゃないんですか?」


「え?私、そんなこと一言も言ってないよ?」


ミレイの言葉を聞いて俺は苦笑いを零しミラはため息を吐いた。


「……とにかく、行こう。アリシア」


「あ!はい!」


「最初はミライヤたちだな。もう向こうの準備は万端みたいだからこのランタンを持ってとにかく真っ直ぐ歩くこと。火が弱まったら火属性魔法で継続しろ。カナがいるところまで行ったらクリア。もし途中でリタイアするなら光を飛ばせ。説明は以上。ミライヤたちは準備出来たか?」


「大丈夫です。アリシアは?」


「わ、私も大丈夫です」


「それじゃあ、行ってこい!」


「行ってらっしゃい!頑張ってね!」


「いってらー」


ミラたちは俺たちに見送られながら外に出て行った。

ミレイとファインの三人で何となく気まずくて沈黙が流れる。

その沈黙をファインが破る。


「シンヤたちは一〇分後くらいに出発だからな」


「あ、はい!」


「おう」


でも、それで会話終了。

また沈黙が続く。



ファインとだけ話すのはアレだし……

だからってミレイとファインの共通の話題なんてないし……

そもそもこの肝試しって意味あんのか?

空の上だぞ?



そう思った瞬間、口を開いていた。


「……空の上で肝試しって何をどうすんだよ」


「「え?」」


二人が驚いた顔をして俺を見た。

俺は慌てて疑問を口にする。


「あ、いや、ほ、ほら!今、空の上にいるじゃん?雲以外は何もないのに肝試しも何もないなぁ……って……」


二人は何やらクスクス笑い出す。


「え?俺、変なこと言ったか?」


「う、ううん。そんなことないけど……ふふっ」


「面白いことを言うな、シンヤは。まぁ、無理もないか」


二人が笑う意味が分からなくて首を傾げる。

ハッと思い至って問いかけた。


「お、俺になんか隠してねぇ!?」


「さぁな。時間だ。ルールはさっきと全く同じ。準備は出来たか?」


「はい!」


「いや!俺の質問!」


「じゃあ、ドア開けて行ってこい。肝試し」


ファインは意味あり気に二ヤッと笑いドアを指す。

俺が口を開こうとするとミレイが腕を掴む。


「行こう!シンヤくん!」


「お、おう……」


ミレイに牽かれるまま外に出た。

空の上だったはずのそこは森の中になっていた。

ドアは閉めてもないのに消えていて先は真っ暗。

恐怖で身が震えた。


「ここは……?」


「私も分からないんだ。カナエールさんたちが準備してくれたから」


平然と言うミレイに疑問を覚える。


「……ミレイは怖くないのか?」


無意識に思ってたことが言葉として出る。

ミレイはにっこり笑って答えた。


「一人だったら怖いけど……シンヤくんと二人だから平気!シンヤくんは怖いの?」


「……少し、な」


「んー……そっか。それじゃあ、ちゃんと手、繋ごう?私がいるから怖くないよ。それに私もシンヤくんと手を繋いでたら怖くない」


はいっ!と手を差し出されて少し自分を情けなく思いながらもその手を取る。

繋いだ手からミレイの体温を感じて安心した。

それと同時に何だか気恥ずかしくてドキドキする。

でも、それはミレイも同じみたいでランタンの火のせいか微かに顔が赤い気がした。


「や、やっぱり、少し恥ずかしいね!」


そう言って恥ずかしそうに笑うミレイにまたドキッとする。

ミレイがランタンを持って先を歩く。

場を持たせるためか色んな話をしながら進む。


「それでね!アーシャったら泣きながら謝ってきて!私は気にしないでって何回も言ってるのに顔を合わせる度に謝ってきて……」


ミレイの話に相づちを打ちながら聞いているとランタンを持ってるミレイの手がかすかに震えてることに気付く。



あぁ、やっぱり、ミレイも怖かったんだ。

なのに、俺が怖い、なんて言ったから……



俺は不意に足を止めた。
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