54 / 63
クリスマスパーティー④
しおりを挟む
金村と名乗った女性は田原さんに直接プレゼントを差し出した。
「田原さん!これ、私からのクリスマスプレゼントです!」
「え?いや、でも、ほら、交換だし直接渡されても困るっていうか……」
「そんなこと言わないでください!私、田原さんに渡そうと思って田原さんのために選んできたんですよ!私は田原さん以外からのプレゼントは要らないですし……だから、私と交換しましょう?ね?」
「いや、ね?って言われても他の人たちはちゃんと誰に当たっても良いように用意してるんだし……まもりちゃんだけ特別扱いはできないからさ。その代わり、気持ちだけは受け取っておくよ」
「それって私と付き合ってくれるってことですか!」
「えっ!?なんでそうなるの!?」
「私のプレゼントを受け取ってくれないなら美琴さんと別れて私と付き合ってください!」
その言葉に我慢ができなくなったのか美琴さんがギロッと金村さんを睨む。
何かを言おうとしていた美琴さんを田原さんが遮り、二人の間に入った。
田原さんは金村さんに真剣な顔をして口を開く。
「悪いけどさ、それはどっちも無理。個人的にプレゼントを受け取るのはみんなに悪いし美琴と別れるのはフラれても無理。俺がまもりちゃんを拒まないのは同じチームだからであってそれ以上の感情はないよ。ギクシャクしたくないから接してきたけどそういう度の過ぎる我儘を言われると優しくする意味がなくなる」
「え?」
田原さんの言葉に驚きを隠せないでいる金村さんに田原さんは続けた。
「俺は君に対して絶対恋愛感情は抱かない。だから、俺のことは諦めてくれ」
「そ、そんな!私、本当に田原さんのことが好きなんです!」
「君のその気持ちは俺にとっては迷惑でしかないからさ。これ以上、ほかのみんなを困らせるようなら帰ってもらえるか?」
「っ!」
金村さんは荷物を取るとその場から立ち去る。
静まり返った会場。
誰も何も喋らない。
その沈黙に耐えられなくなったのか聖来が口を開く。
「あ、あの!」
視線が聖来に注がれた。
「あ、あたし、ついさっき会社に呼び出し食らっちゃったから帰っても大丈夫……?」
そういえば電話していたような気がする。
私もチラッと携帯を見れば会社からの着信があった。
大虎くんの服を引っ張りその画面を見せると大虎くんは気づいたのか口を開く。
「呼び出されたんじゃしょうがないですよね。むしろ、早く行った方がいいですよ」
「あ、ありがとう!ごめんね!それじゃあ!」
そういって聖来は帰った。
田原さんの先輩もその流れで帰る。
私は会社に電話をかけ直したが通話になったと同時に携帯を取られた。
「ちょっ!大虎くん!」
大虎くんは私の口を手で塞ぐと携帯に耳を当てる。
「『栗山ぁ!お前、俺が頼んでおいた仕事が上がってねぇじゃねぇか!呑気に休みなんか取ってねぇでさっさと出勤して来い!』」
スピーカーモードにはしていないはずなのに課長の声が漏れてきた。
大虎くんがこれ本当?という感じで首を傾げてきたので私は首を横に振る。
「(ちゃんと仕事は全部終わらせてから有休を出したもの。新しい案件は増えているかもしれないけれど仕事が残っているはずがない。ましてや、課長から頼まれた仕事なんてもらったその日に片付けているんだから上がってない訳がない)」
考えていると帰ったはずの聖来が私に手招きをしていた。
思わず、手招きし返すと聖来は私のところに駆け寄ってくる。
聖来は状況を把握したのか小声で口を開いた。
「課長から仕事が残ってるっていうから莉恵の分も確認したんだけど……その仕事、あたしたちが帰ったあとに送ったものらしいから莉恵は来ない方がいいよ。莉恵に送られた分の仕事はあたしがやっておくから心配しないで」
聖来が言い終えたと同時に課長の怒鳴り声がする。
「『おい!栗山!聞いているのか!?』」
大虎くんは聖来の話を聴こえていたのか口を開いた。
「すみません。彼女は今、高熱を出して寝込んでいるので確認ができそうにないです」
「『っ!?誰だ!お前は!』」
「彼女を看病している者です。先ほども言ったように高熱を出して寝込んでいるので仮に仕事が残っていたとしても行かせられません。用件がそれだけでしたらお切りしてもよろしいですか?」
「『ま、待て!栗山君にしかできない案件なんだ!締切は今日!だから、是が非でも来てもらわないと……!』」
「そういわれましても支えがないと起き上がれないほどですので行かせられません。インフルエンザの可能性もありますし今日明日とお休みをいただいていると聞いているので今日中に熱が下がらないようでしたら病院にも連れて行かないといけませんので今日は安静にさせます。それとも、貴方は今彼女に無理をさせて病欠を長引かせるおつもりですか?彼女にしかできない案件があるならばそれは得策とは言えませんね」
「『き、貴様!良いから栗山君とかわりたまえ!』」
「無理です」
大虎くんがスラスラと嘘を並べるので驚きを隠せない。
聖来は小声であとは任せて!と言って会場を後にした。
私は大人しく事の行く末を見守ることにする。
大虎くんは課長に何を言われても拒否をし続けついに決着が着く。
「そもそも高熱を出して寝込んでいる人を無理矢理働かせるおつもりですか?それは立派なパワハラだと思うんですけど。これ以上、そういったことを仰るつもりならパワハラで訴えますよ。あぁ、そういえば、お名前をお聞きしてませんでしたね。貴方のお名前、お聞かせ願えますか?……切られた」
どうやら、訴えられるのが怖くて電話を切ったらしい。
「(課長……パワハラの自覚があったのね……)」
大虎くんは私に携帯を返すと口を塞いでいた手も退けた。
「っていうか、名前なんか聞かなくても本社に直接電話して御社で働いてる栗山莉恵が上司にパワハラを受けていますっていっちゃえばすぐに分かると思うんだけど」
「……大虎くん……止めて。私、仕事無くなっちゃう」
「え?仕事が無くなるのは上司じゃないの?」
「そうだろうけど私もいづらいから止めて」
「ふーん……まぁ、いいけど。今回は仮病だしね」
「……でも、どうして勝手に電話を取って高熱出しているなんて嘘を吐いたの?いつもならそんなことしないじゃない」
私がそう聞くと田原さんと美琴さんも口を開く。
「そうだぞ!わざわざ嘘を吐かなくてもいいだろ?」
「本当、トラらしくないよね。あんなすぐバレる嘘つくなんて。まぁ、ながえさんがいたからバレないだろうけど」
その言葉に大虎くんは首を傾げた。
「田原さん!これ、私からのクリスマスプレゼントです!」
「え?いや、でも、ほら、交換だし直接渡されても困るっていうか……」
「そんなこと言わないでください!私、田原さんに渡そうと思って田原さんのために選んできたんですよ!私は田原さん以外からのプレゼントは要らないですし……だから、私と交換しましょう?ね?」
「いや、ね?って言われても他の人たちはちゃんと誰に当たっても良いように用意してるんだし……まもりちゃんだけ特別扱いはできないからさ。その代わり、気持ちだけは受け取っておくよ」
「それって私と付き合ってくれるってことですか!」
「えっ!?なんでそうなるの!?」
「私のプレゼントを受け取ってくれないなら美琴さんと別れて私と付き合ってください!」
その言葉に我慢ができなくなったのか美琴さんがギロッと金村さんを睨む。
何かを言おうとしていた美琴さんを田原さんが遮り、二人の間に入った。
田原さんは金村さんに真剣な顔をして口を開く。
「悪いけどさ、それはどっちも無理。個人的にプレゼントを受け取るのはみんなに悪いし美琴と別れるのはフラれても無理。俺がまもりちゃんを拒まないのは同じチームだからであってそれ以上の感情はないよ。ギクシャクしたくないから接してきたけどそういう度の過ぎる我儘を言われると優しくする意味がなくなる」
「え?」
田原さんの言葉に驚きを隠せないでいる金村さんに田原さんは続けた。
「俺は君に対して絶対恋愛感情は抱かない。だから、俺のことは諦めてくれ」
「そ、そんな!私、本当に田原さんのことが好きなんです!」
「君のその気持ちは俺にとっては迷惑でしかないからさ。これ以上、ほかのみんなを困らせるようなら帰ってもらえるか?」
「っ!」
金村さんは荷物を取るとその場から立ち去る。
静まり返った会場。
誰も何も喋らない。
その沈黙に耐えられなくなったのか聖来が口を開く。
「あ、あの!」
視線が聖来に注がれた。
「あ、あたし、ついさっき会社に呼び出し食らっちゃったから帰っても大丈夫……?」
そういえば電話していたような気がする。
私もチラッと携帯を見れば会社からの着信があった。
大虎くんの服を引っ張りその画面を見せると大虎くんは気づいたのか口を開く。
「呼び出されたんじゃしょうがないですよね。むしろ、早く行った方がいいですよ」
「あ、ありがとう!ごめんね!それじゃあ!」
そういって聖来は帰った。
田原さんの先輩もその流れで帰る。
私は会社に電話をかけ直したが通話になったと同時に携帯を取られた。
「ちょっ!大虎くん!」
大虎くんは私の口を手で塞ぐと携帯に耳を当てる。
「『栗山ぁ!お前、俺が頼んでおいた仕事が上がってねぇじゃねぇか!呑気に休みなんか取ってねぇでさっさと出勤して来い!』」
スピーカーモードにはしていないはずなのに課長の声が漏れてきた。
大虎くんがこれ本当?という感じで首を傾げてきたので私は首を横に振る。
「(ちゃんと仕事は全部終わらせてから有休を出したもの。新しい案件は増えているかもしれないけれど仕事が残っているはずがない。ましてや、課長から頼まれた仕事なんてもらったその日に片付けているんだから上がってない訳がない)」
考えていると帰ったはずの聖来が私に手招きをしていた。
思わず、手招きし返すと聖来は私のところに駆け寄ってくる。
聖来は状況を把握したのか小声で口を開いた。
「課長から仕事が残ってるっていうから莉恵の分も確認したんだけど……その仕事、あたしたちが帰ったあとに送ったものらしいから莉恵は来ない方がいいよ。莉恵に送られた分の仕事はあたしがやっておくから心配しないで」
聖来が言い終えたと同時に課長の怒鳴り声がする。
「『おい!栗山!聞いているのか!?』」
大虎くんは聖来の話を聴こえていたのか口を開いた。
「すみません。彼女は今、高熱を出して寝込んでいるので確認ができそうにないです」
「『っ!?誰だ!お前は!』」
「彼女を看病している者です。先ほども言ったように高熱を出して寝込んでいるので仮に仕事が残っていたとしても行かせられません。用件がそれだけでしたらお切りしてもよろしいですか?」
「『ま、待て!栗山君にしかできない案件なんだ!締切は今日!だから、是が非でも来てもらわないと……!』」
「そういわれましても支えがないと起き上がれないほどですので行かせられません。インフルエンザの可能性もありますし今日明日とお休みをいただいていると聞いているので今日中に熱が下がらないようでしたら病院にも連れて行かないといけませんので今日は安静にさせます。それとも、貴方は今彼女に無理をさせて病欠を長引かせるおつもりですか?彼女にしかできない案件があるならばそれは得策とは言えませんね」
「『き、貴様!良いから栗山君とかわりたまえ!』」
「無理です」
大虎くんがスラスラと嘘を並べるので驚きを隠せない。
聖来は小声であとは任せて!と言って会場を後にした。
私は大人しく事の行く末を見守ることにする。
大虎くんは課長に何を言われても拒否をし続けついに決着が着く。
「そもそも高熱を出して寝込んでいる人を無理矢理働かせるおつもりですか?それは立派なパワハラだと思うんですけど。これ以上、そういったことを仰るつもりならパワハラで訴えますよ。あぁ、そういえば、お名前をお聞きしてませんでしたね。貴方のお名前、お聞かせ願えますか?……切られた」
どうやら、訴えられるのが怖くて電話を切ったらしい。
「(課長……パワハラの自覚があったのね……)」
大虎くんは私に携帯を返すと口を塞いでいた手も退けた。
「っていうか、名前なんか聞かなくても本社に直接電話して御社で働いてる栗山莉恵が上司にパワハラを受けていますっていっちゃえばすぐに分かると思うんだけど」
「……大虎くん……止めて。私、仕事無くなっちゃう」
「え?仕事が無くなるのは上司じゃないの?」
「そうだろうけど私もいづらいから止めて」
「ふーん……まぁ、いいけど。今回は仮病だしね」
「……でも、どうして勝手に電話を取って高熱出しているなんて嘘を吐いたの?いつもならそんなことしないじゃない」
私がそう聞くと田原さんと美琴さんも口を開く。
「そうだぞ!わざわざ嘘を吐かなくてもいいだろ?」
「本当、トラらしくないよね。あんなすぐバレる嘘つくなんて。まぁ、ながえさんがいたからバレないだろうけど」
その言葉に大虎くんは首を傾げた。
0
あなたにおすすめの小説
好きな人の好きな人
ぽぽ
恋愛
"私には何年も思い続ける初恋相手がいる。"
初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。
恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。
そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。
『愛が切なくて』- すれ違うほど哀しくて
設楽理沙
恋愛
砂央里と斎藤、こじれてしまった糸(すれ違い)がほどけていく様子を描いています。
◆都合上、[言う、云う]混合しています。うっかりミスではありません。
ご了承ください。
斉藤准一 税理士事務所勤務35才
斎藤紀子 娘 7才
毒妻: 斉藤淳子 専業主婦 33才 金遣いが荒い
高橋砂央里 会社員 27才
山本隆行 オートバックス社員 25才
西野秀行 薬剤師 22才
岡田とま子 主婦 54才
深田睦子 見合い相手 22才
―――――――――――――――――――――――
❧イラストはAI生成画像自作
2025.3.3 再☑済み😇
先輩、お久しぶりです
吉生伊織
恋愛
若宮千春 大手不動産会社
秘書課
×
藤井昂良 大手不動産会社
経営企画本部
『陵介とデキてたんなら俺も邪魔してたよな。
もうこれからは誘わないし、誘ってこないでくれ』
大学生の時に起きたちょっとした誤解で、先輩への片想いはあっけなく終わってしまった。
誤解を解きたくて探し回っていたが見つけられず、そのまま音信不通に。
もう会うことは叶わないと思っていた数年後、社会人になってから偶然再会。
――それも同じ会社で働いていた!?
音信不通になるほど嫌われていたはずなのに、徐々に距離が縮む二人。
打ち解けあっていくうちに、先輩は徐々に甘くなっていき……
【完結】僕ら二度目のはじめまして ~オフィスで再会した、心に残ったままの初恋~
葉影
恋愛
高校の頃、誰よりも大切だった人。
「さ、最近はあんまり好きじゃないから…!」――あの言葉が、最後になった。
小島久遠は、新たな職場で、元カレとまさかの再会を果たす。
若くしてプロジェクトチームを任される彼は、
かつて自分だけに愛を囁いてくれていたことが信じられないほど、
遠く、眩しい存在になっていた。
優しかったあの声は、もう久遠の名前を呼んでくれない。
もう一度“はじめまして”からやり直せたら――そんなこと、願ってはいけないのに。
それでも——
8年越しのすれ違いは、再会から静かに動き出す。
これは、終わった恋を「もう一度はじめる」までの物語。
嘘つき同士は真実の恋をする。
濘-NEI-
恋愛
都内郊外のリゾートホテルでソムリエとして働く瑞穂はワイン以上にゲームが大好き。
中でもオンラインゲーム〈グラズヘイム〉が大好きで、ロッソの名前でログインし、オフの時間と給料の全てを注ぎ込むほどのヘビーユーザー。
ある日ゲーム仲間とのオンライン飲み会で、親から結婚を急かされている話を愚痴ったところ、ギルマスのタラントの友人で、ゲームの中でもハイランカーのエルバに恋人役を頼めば良いと話が盛り上がり、話は急展開。
そしてエルバと直接会うことになった瑞穂だったが、エルバの意外な正体を知ることに⁉︎
Rシーンは※
ヒーロー視点は◇をつけてあります。
★この作品はエブリスタさんでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる