暗黒家族の令嬢は悪役ではないので、婿入り復讐計画を受け付けません

星琴千咲

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【名演技篇】第十五章 戦車

1502 失われた力

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——

この地図を見れば、「ガイアリング」のという名前の意味が分かる。

ガイア、それはギリシャ神話の中で、神々を生み出す大地の女神のことだ。

ガイアリングの壁の内側に沿って、細い水路が建設された。「コア」の建物を人の頭にすれば、その水路は人の長い髪に見えなくもない。

更に、「シー」に点在する十数個の黒い石碑を線で繋げば、一人の女が膝を抱える画像が完成される。

ガイアリング全体は、何かを育んでいる女神の姿になっている。



木や石など障害物の位置は変われるが、黒い石碑の位置は固定されたもの。リカは地図に参照して、一番近い黒い石碑に向かった。



エンジェは監視カメラでリカの行動をずっと見ていた。

リカは地図を出したところを見たら、鼻で笑った。

悪あがきを。

地図のデータはマサルが家に提出したから、リカは裏口を使って、入手したのもおかしくない。

このガイアリングで、地形を知ったところでなんにもならない。

リカは近道で行こうとしても、コントロールセンターで地形を変えて、障害物を作り出して、その道を塞げられる。

ほかの道に回るうちに、すぐ方向感が失う。

その上に――



10分も足らず、監視カメラに映しているリカは、足取りが重くなって、呼吸も異常に加速した。

リカは一旦足を止めて、サーブルのケースを開けた。

中身を見た瞬間、リカの動きがピッと止まった。

それもエンジェの想定中のことだ。

リカの反応から見れば、ようこがすり替えたものは「本物」のようだ。

リカは唇を一度噛んで、ペットボトルを取った。

一口でボトル半分の水を飲んで、ビスケットのパックを手に握った。そのままケースを締めて出発した。



エンジェはリカの一連の苦い表情を楽しんでいた。

すべては予想通り。

マサルが押したボタンは「身体強化モード」ではない、「エネルギー収集モード」だった。

今までの実験によると、異能力のある人は能力を使えば、その能力で生まれたエネルギーが収集される。使わなかった場合、「生命」のエネルギーが取られる。

何の異能力もないリカは、もちろん、命が取られるのだ。



体の動きがどんどん重くなっていくが、リカは一声も上げず、迷路のように変換されている森の中で石碑への道を探している。

かなり時間がかかっていたが、三個の石碑を見つけて、ルール通りの接触を完成した。

その一心不乱の姿に、エンジェは不満と不安を覚えた。

「まさか、まだ裏手があるの……?」

「シー」の環境はほぼ森。監視カメラの届きにくいところもたくさんある。

リカの気強さがエンジェは知っている。

万が一にも、逆上するチャンスを与えてはいけない!

やっとマサルを説得して今回計画を実行した。このような絶好なチャンスは二度と来ない。必ずリカを潰すんだ!

エンジェはコントロールパネルでリカのいる地域の地図を呼び出し、いくつかのコマンドを入力した。



リカの足元に、いきなり渠が裂けられ、リカの片足が宙に踏んだ。

「!!」

リカは反応早く、隣の木の枝を掴んで、足を回収し、体のバランスを保った。

でもすぐに、周りから何本のハリネズミのような低木が走ってくる。

リカは渠の上を跳んで、低木を避けようとしたが、着地した瞬間、一本の太い木の根が地面から浮かび上がり、リカの足が引っかかれた。

避ける余地のないリカはうつ伏せで地に倒れていく。

辛うじて頭を保護したけど、体力の消耗が激しくて、この重い衝撃で動けなくなった。



「エンジェ、やり過ぎだ。証拠を残したら後々面倒になる」

マサルは眉をひそめて、エンジェを止めた。

「これもリカのためなのよ」

エンジェは目が潤んで、辛そうに弁解する。

「リカはプライドの高い一族の継承人、これ以上醜態をさらされたら、彼女に悪いでしょ?マサルちゃんもリカの悪あがきを見たくないでしょ?だから、この安らぎの姿で送ってあげたいの」

「……」

マサルは沈黙した。

プライドの高い継承人。

そうだったな。

「婚約者」という偽りの名を持っていても、リカはいつも、手の届かないところにいる。いつでも自分を蹴り飛ばして、ほかの人を選べる。

だから、自分の将来のために、こうするしかないんだ……



リカの体は動けなくなったが、意識はまだ失っていない。

周りの環境はもう変化していないと感じたから、気絶を装って、休憩を謀った。

疲労でぼんやりになった頭の中で、ふわと淡い光が浮かんできた。

子供の頃の記憶は断片的に湧いてくる。



小さい頃のリカは、今と別意味で変な子だった。

よく変な夢を見て、存在もしない景色を見ていた。

「お父さんは、瓦礫に埋められていて、重い怪我をした……」

三か月後、リカの父は任務の途中で爆弾による不意打ちされて、廃墟の中に埋められ、危うく死ぬところだった。

「お母さんは、大きいな部屋にいる。なんでもある部屋。でも、籠みたいに、出られない……」

半年後、あるクライアントは引き取りの条件を破って、リカの母を別荘に軟禁した。万代家は一か月の交渉をして、やっと母を救出した。

「お祖母さんは車に乗った、もう一人のおばあさんと、遠いところに行ったみたい」

数か月後、リカの祖母は病気でいなくなった。祖母のアルバムで、リカは夢の中で見ていたもう一人の老婦人を見つけた。祖母と仲のいい姉で、祖母がいなくなった一か月前に先に旅立ったそうだ……



リカの予言は何回も叶ったら、多忙な祖父はリカの話を聞くために、毎週もわざわざ時間を作った。

「最近、お爺さんの夢を見ていないのか?」

「お爺さんは、いつも何人のおじいさんやおばあさんとお茶を飲みながら、難しそうなことを話している……でも、最近、灰色目のおじいさんはいなくなって、若いおばさんが彼の椅子に座った」

まもなく、七龍頭の中の一人が死んで、シャングリは新しい龍頭になった。



「気にある夢や変な景色を見たら、ほかの人に教えてはいけない、まずお爺さんとお父さんに教える」、と、祖父にいつも言いつけられていた。

祖父の命令で、夢日記も書いていた。



ある日、祖父はリカを万代家出資の学校に連れた。

ガラスの向こうのバスケットコートで、リカと年の近い男の子たちが練習試合をやっている。

「どの子が一番優秀になれるのか、リカは分かる?」

祖父はさりげなくリカに聞いた。

リカはしばらく男の子たちを見つめていて、一人の細い子に指さした。

「見えた。7番の子。スーツを着ていて、たくさんの人に指示を出している」

「7番の子、なんという名前?普段はどんな感じの子?」

祖父は同行の教師に尋ねた。

「マサルと言います。勉強嫌いだけど、頭が早い。愛想がよくて、気の利く子です。ただ、異能力がなくて、それに……」

「それに?」

教師がためらったら、祖父は催促した。

「あのカネコ家の『生き残り』です……万代家に恨みを持つ可能性が……」

「構わん」

祖父は迷いなくうなずいた。

「今日から、彼は私の孫だ。異能力刻印に連れて行ってやれ」



それから何年後、成長につれて、リカの夢はだんだん曖昧なものになって、頭に浮かんだ景色も以前のようなきれいなものでなくなる。

ただ、三年前、リカは血まみれの両親が万代家所属のとある屋敷に倒れている夢を繰り返し見ていた。それを祖父と両親に伝えると、両親は外国へ長期出張して、いまだに戻ってこない。

あれ以来、リカの夢は更に意味不明なものになった。

異世界に行く前にも、いくつの変な夢を見た。

エンジェは自分の家に来ていて、笑いながら自分の寝床を使っていた。

また、マサルと電車で握手したら、マサルはいきなり身を翻して電車から降りた。

どれも一度きりで、あまり意味のない普通の夢だと思っていたが、今となって、リカは少し後悔する気持ちもあった。

もし、早くあの人たちの異様に気づいたら、彼たちの陰謀を阻止できたのかもしれない。

すべては自分の甘さが招いた結果だ。

自分の「力」がだんだん失くしている間に、周りの人たちの異能力がどんどん威力増している。

だから、自分に力があることを信じなくなった。神様から授けられた「忠告」を無視した。

もっと自分を信じていれば、もっとその「力」の存在を信じていれば……!

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