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雪の日の事
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「イルト様、お仕事のお時間です」
「分かった」
「いやっ!にいたま行かないで!」
突然背後に立つセトに言われて、立ち上がると弟のラルトが足にしがみついた。
俺だってこんな仕事行きたくない、こうしてラルトと一緒に積み木で遊んでいる方が楽しい。
でも、この仕事を行かないと恐ろしいお仕置き部屋に閉じ込められる。
一度、ラルトに部屋の鍵を閉められて行けなくなった時があった。
俺の意思ではないが、お仕置きされるのは俺だけだ。
あの時の記憶はまたなくなっていたが、こんな事が二度と起きないように部屋のドアはストッパーで開けるようになった。
俺の背中がドアの前にあるし、暖炉の前だからラルトは寒くないはずだ。
2歳下のラルトの潤んだ瞳に心が大きく揺さぶられる。
でもここは心を鬼にして、ラルトの頭を優しく撫でた。
「行ってくるよ、ラルト」
「にいたまぁ」
「にいたまはいつも傍にいるよ」
ラルトに俺が作った不格好なぬいぐるみを渡した。
手先は不器用で、指に何度も針が刺さろうとも作り上げた。
うさぎのつもりだったが、耳の取り付けが甘くて今ではもぐらになってしまった。
新しく作り直そうと思って、ラルトにお願いして返してもらおうとしたが泣き出してしまい、土下座する勢いで謝った。
奪うつもりじゃなくて、新しいものをあげようとしただけなんだけど。
それでも歪なぬいぐるみをラルトはこれがいいと大切にしてくれる。
泣きそうな顔をしているが、俺から手を離した。
もぐらのぬいぐるみをギュッと握りしめている。
「にいたま…」
「…ん?」
「にいたまぬいぐるみがほしい」
ラルトの眩いキラキラの瞳でお願いされたら、にいたま何でもやるぞ!
セトに「もうそろそろ」と急かされて、ラルトにぬいぐるみを作る約束をして急いでセトに付いて行く。
あれから5年が経ち、10歳になって仕事内容が変わった事がある。
謎の白い料理を食べさせられる事は変わらない、味も変わらない。
ただ、1年ごとに別の仕事も追加されている。
セトと共に地下に行くと、メイドさんが部屋で待っていた。
いつからだろう、この仕事に母が来なくなったのは。
他に仕事をしているみたいだから、定期的に来る事はなくなった。
俺と使用人だけで任せられると信用しているのか。
なんだろう、この仕事に関しては全く嬉しくない。
「イルト様、今日はこちらのお仕事です」
セトはテーブルの上に置いている、手のひらサイズの銀色の玉を見せてきた。
この仕事か、どの仕事も嫌だけど痛いのはもっと嫌なんだよな。
メイドさんは紙を持ち、データを取る準備をしている。
これで何のデータが取れるのかは分からない。
ただ、痛い事は分かっているから椅子に座るのを躊躇ってしまう。
なかなか進まないから、セトに背中を軽く押される。
躊躇っても、お仕置き部屋になるだけだ…行こう。
椅子に座ると、後ろに回ったセトに布を噛まされる。
刺激が強すぎて、舌を噛まないためのものだ。
銀色の玉を片手で握りしめると、手のひらにピリッとした感覚が来る。
その瞬間、全身に強い電流が駆け上がり全身に力が入る。
死ぬほどの電流ではないにしろ、痛くて苦しい。
どのくらいの時間そうしているのか分からないが、いつも終わると体が動かなくなる。
机に顔を伏せて意識が飛んで、どうなったか分からない。
決まっている事は、あの森に数日捨てられる事だ。
最初はなんでそんな事をするのか分からなかった。
何度か迎えに来るセトを見て、いつもと変わった時があった。
体が動くようになると、いつも迎えに来る日まで1人でサバイバルをしている。
その時、鳥が死んでいるところを見つけて両手で持っていた時だった。
タイミングよくセトが後ろに立っていて、いつものように俺に声を掛ける事なく紙になにか書いていた。
俺が後ろを振り返るまで気付かずにびっくりした。
その紙は、いつも仕事で謎のデータを取っている紙と同じだった。
そこで、家に帰るまで仕事が続いているんだと知った。
俺はただ、地面に埋めてお墓を作ろうとしただけなんだけどな。
俺の仕事は実験動物と何も変わらない事をしている。
サバイバルをしているのに、体力がだんだん落ちている。
原因はやっぱりあの食べ物と仕事内容なのか。
白い食べ物と電流の他に、健康診断と呼ばれる体の骨の髄まで調べるもの。
体力測定という名の極限まで体力を使わされるものがある。
この歳の子供なら外で駆け回ったり、友達を作って遊んだりするのが健全だ。
それなのに俺は、一歩も家から出ないで怪しい仕事ばかりしている。
それでいいのか?俺の青春はこんなところで終わるものなのか?
前世は確かに色恋はなかったが、友達には恵まれていた。
このまま俺は謎の仕事で、飴玉1つの報酬でいいのか?
「いいわけないだろ、俺は前世よりも青春を謳歌したいんだ!」
まだ痺れる手足に力を入れて、立ち上がった。
すぐに体は傾き、木に寄りかかり息を整える。
この仕事は気絶するほど痛いが、1日くらいで動けるようになる。
いつもと同じ場所で目を覚まして、いつもと同じ事をする。
今は冬の季節だ、肌に突き刺さる寒さに耐える必要がある。
息を吐くと、真っ白な息が出てきてまた新しい白い息が重なる。
そういえば、昨日雪が降っていたな…庭は使用人が手入れをしているから気付かなかった。
緑に溢れている森は、今は銀世界に変わっていた。
街外れに家があるから分からないが、街もこんな感じだったりするのかな。
そんな事を考えていると、鼻が冷たい風によりムズムズとしてきた。
小さくくしゃみをすると、コートを着ているとはいえ体を震わせた。
「分かった」
「いやっ!にいたま行かないで!」
突然背後に立つセトに言われて、立ち上がると弟のラルトが足にしがみついた。
俺だってこんな仕事行きたくない、こうしてラルトと一緒に積み木で遊んでいる方が楽しい。
でも、この仕事を行かないと恐ろしいお仕置き部屋に閉じ込められる。
一度、ラルトに部屋の鍵を閉められて行けなくなった時があった。
俺の意思ではないが、お仕置きされるのは俺だけだ。
あの時の記憶はまたなくなっていたが、こんな事が二度と起きないように部屋のドアはストッパーで開けるようになった。
俺の背中がドアの前にあるし、暖炉の前だからラルトは寒くないはずだ。
2歳下のラルトの潤んだ瞳に心が大きく揺さぶられる。
でもここは心を鬼にして、ラルトの頭を優しく撫でた。
「行ってくるよ、ラルト」
「にいたまぁ」
「にいたまはいつも傍にいるよ」
ラルトに俺が作った不格好なぬいぐるみを渡した。
手先は不器用で、指に何度も針が刺さろうとも作り上げた。
うさぎのつもりだったが、耳の取り付けが甘くて今ではもぐらになってしまった。
新しく作り直そうと思って、ラルトにお願いして返してもらおうとしたが泣き出してしまい、土下座する勢いで謝った。
奪うつもりじゃなくて、新しいものをあげようとしただけなんだけど。
それでも歪なぬいぐるみをラルトはこれがいいと大切にしてくれる。
泣きそうな顔をしているが、俺から手を離した。
もぐらのぬいぐるみをギュッと握りしめている。
「にいたま…」
「…ん?」
「にいたまぬいぐるみがほしい」
ラルトの眩いキラキラの瞳でお願いされたら、にいたま何でもやるぞ!
セトに「もうそろそろ」と急かされて、ラルトにぬいぐるみを作る約束をして急いでセトに付いて行く。
あれから5年が経ち、10歳になって仕事内容が変わった事がある。
謎の白い料理を食べさせられる事は変わらない、味も変わらない。
ただ、1年ごとに別の仕事も追加されている。
セトと共に地下に行くと、メイドさんが部屋で待っていた。
いつからだろう、この仕事に母が来なくなったのは。
他に仕事をしているみたいだから、定期的に来る事はなくなった。
俺と使用人だけで任せられると信用しているのか。
なんだろう、この仕事に関しては全く嬉しくない。
「イルト様、今日はこちらのお仕事です」
セトはテーブルの上に置いている、手のひらサイズの銀色の玉を見せてきた。
この仕事か、どの仕事も嫌だけど痛いのはもっと嫌なんだよな。
メイドさんは紙を持ち、データを取る準備をしている。
これで何のデータが取れるのかは分からない。
ただ、痛い事は分かっているから椅子に座るのを躊躇ってしまう。
なかなか進まないから、セトに背中を軽く押される。
躊躇っても、お仕置き部屋になるだけだ…行こう。
椅子に座ると、後ろに回ったセトに布を噛まされる。
刺激が強すぎて、舌を噛まないためのものだ。
銀色の玉を片手で握りしめると、手のひらにピリッとした感覚が来る。
その瞬間、全身に強い電流が駆け上がり全身に力が入る。
死ぬほどの電流ではないにしろ、痛くて苦しい。
どのくらいの時間そうしているのか分からないが、いつも終わると体が動かなくなる。
机に顔を伏せて意識が飛んで、どうなったか分からない。
決まっている事は、あの森に数日捨てられる事だ。
最初はなんでそんな事をするのか分からなかった。
何度か迎えに来るセトを見て、いつもと変わった時があった。
体が動くようになると、いつも迎えに来る日まで1人でサバイバルをしている。
その時、鳥が死んでいるところを見つけて両手で持っていた時だった。
タイミングよくセトが後ろに立っていて、いつものように俺に声を掛ける事なく紙になにか書いていた。
俺が後ろを振り返るまで気付かずにびっくりした。
その紙は、いつも仕事で謎のデータを取っている紙と同じだった。
そこで、家に帰るまで仕事が続いているんだと知った。
俺はただ、地面に埋めてお墓を作ろうとしただけなんだけどな。
俺の仕事は実験動物と何も変わらない事をしている。
サバイバルをしているのに、体力がだんだん落ちている。
原因はやっぱりあの食べ物と仕事内容なのか。
白い食べ物と電流の他に、健康診断と呼ばれる体の骨の髄まで調べるもの。
体力測定という名の極限まで体力を使わされるものがある。
この歳の子供なら外で駆け回ったり、友達を作って遊んだりするのが健全だ。
それなのに俺は、一歩も家から出ないで怪しい仕事ばかりしている。
それでいいのか?俺の青春はこんなところで終わるものなのか?
前世は確かに色恋はなかったが、友達には恵まれていた。
このまま俺は謎の仕事で、飴玉1つの報酬でいいのか?
「いいわけないだろ、俺は前世よりも青春を謳歌したいんだ!」
まだ痺れる手足に力を入れて、立ち上がった。
すぐに体は傾き、木に寄りかかり息を整える。
この仕事は気絶するほど痛いが、1日くらいで動けるようになる。
いつもと同じ場所で目を覚まして、いつもと同じ事をする。
今は冬の季節だ、肌に突き刺さる寒さに耐える必要がある。
息を吐くと、真っ白な息が出てきてまた新しい白い息が重なる。
そういえば、昨日雪が降っていたな…庭は使用人が手入れをしているから気付かなかった。
緑に溢れている森は、今は銀世界に変わっていた。
街外れに家があるから分からないが、街もこんな感じだったりするのかな。
そんな事を考えていると、鼻が冷たい風によりムズムズとしてきた。
小さくくしゃみをすると、コートを着ているとはいえ体を震わせた。
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