強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん

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その後

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  泣き続け、食べる事もろくに出来なくなった王太子は日に日にやつれ寝込む日が増えていった

  王太子に会わせろとヒステリックに喚き暴言を吐く聖女
  会いたくないと拒む王太子
  城の者は皆疲れきっていた
  嵐は止まず薄暗い城の中、いや王都中が薄暗らかった
  笑顔もなくやつれきった民衆
  泣き喚き涙も枯れた公爵家では声一つ出す者もいなかった
  部屋に籠り、悲しみと懺悔にくれる者達

  嵐の中、少女を弔った墓の前で泣き崩れ蹲る王太子

  ふと、何かが肩に触れた
  
 『殿下、もういいのです。もういいのですよ』

  笑みを浮かべた、女神が、そこには見えた
  女神に、許されたのだ…………その刹那、嵐は止み抜けるような蒼く澄んだ空が広がった
  そこには、笑みをたたえる女神が、確かにいた

  王太子は前を向いた

  前を向き続ける事が、王太子の、民衆の、少女の家族の、罰なのだ

  ヒステリックに喚き散らし、贅沢を貪り、自分勝手に傍若無人に振る舞う男爵令嬢を聖女と仰ぎ
  ただ只管に前を向き続ける、それが、女神の命を奪った者への、国への罰なのだ
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