ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す

名無し

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第31回 渇望

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「い、いやぁ、お願いだから、やめて、やめてぇぇ……!」

「「げへへっ……」」

 座った状態で後ずさりする女子生徒に向かって、舌なめずりしつつ興奮した様子で迫る二人組の男がいた。

「ぎひひっ、お人形ちゃん、僕たちと遊ぼうねぇ」

「はぁ、はぁぁ……俺らとたーっぷり楽しもうぜ……」

 彼らの手にはそれぞれ短剣と槍があり、いずれもその先端は真っ赤に染められていた。

「ぎっ、ぎぎゃっ、あぎぇっ、こひゅー、ひゅー……む、むごおぉぉっ……!?」

「「――ふぅ……」」

 なんとも無惨な姿で横たわる死体の傍ら、満足そうに目を細めて喫煙する二人組の男。

「生きたまま人体を切り裂くって、ほんっと最高だよねえ。超気持ちいいー」

「ん-、お前はそうかもしれんが俺はよ、この槍で女の子のアソコから脳天まで一気に突き刺すほうが性に合ってる。渇望するんだよ、体の芯が。犯すだけじゃダメで、ここまでやらなきゃもう満足なんてできねえ。まさに突き抜ける快感ってやつでよ……」

「変態だねえ」

「解剖好きのおめーが言うな」

「「ぎゃははっ!」」

 彼らはしばらく我が物顔で教室内を物色したあと、いかにも退屈そうな表情を浮かべてその場に座り込んだ。

「あーあ、なんだよ、一匹しかいないのかあ。教室ならもうちょい楽しめるって思ったけどなあ」

「獲物が少なすぎるんよ。モンスターにやられちまったとかじゃね?」

「しっかし、こういうことって普段はできないから格別だよねえ」

「だな。サボっててもどうせ高レベルのスレイヤーがクリアしてくれるしよ」

「うんうん。その間に僕たちは人間狩りを愉しめるんだからねっ」

「そうそう。おまけによ、俺らが本気を出せばボスも倒せて英雄面できるし、レアスキルやレアウェポンもゲットできるって寸法よ」

「ほんっと、ダンジョン菌様々だよ――」

「――お、おい、ちょっと待て、相棒。今なんか近くでが聞こえなかったか?」

「おぉっ、向こうのほうから獲物が来てくれたのかなあ?」

「「ぐへへっ……」」



 ◆◆◆



「「っ!?」」

 俺たちが一階の渡り廊下を歩いているときだった。たった今、どこからともなく悲鳴が聞こえてきたような……。

「風間さん、今悲鳴が聞こえましたよね?」

「……い、いや? 聞こえなかったぞ……?」

「いやいや、確かに聞こえましたよね? 風間さんもはっとした顔をしてたじゃないですか」

「う、うぅ……佐嶋よ、気持ちはわかるがな、無暗やたらと問題ごとに関わらんほうがいいと思うんだが――」

「やっぱり聞こえてたんじゃないですか……。誰かがモンスターに襲われたのかもしれないし、探しましょう」

 そういうわけで、俺たちは急いで悲鳴を上げた者を救うべく、その辺を駆け回ることに。なんせ学校ダンジョンはワープゾーンもあるし複雑な構造だから、いくらこっちにスピードがあるからってぐずぐずしてはいられないんだ。

「――あっ……」

 俺はふと立ち止まった。近くから物音が聞こえたような気がしたんだ。あの背の高い観葉植物のほうからしたと思って触れてみると、周囲の景色がフッと別のものに変わった。

 ここは……三階への階段を上がったところだった。

「はぁ、はぁ……お、おいっ、わしを置いていくなと言っただろう!」

 風間が顔面蒼白で息を切らしながら現れる。ワープゾーンに触れたから仕方ないとはいえ、俺が急にいなくなったもんだから相当焦ったんだろうな……って、足音だ。誰か来る。それも複数……。

「風間さん、こっち……!」

「うっ……!?」

 俺は風間を引っ張るようにして急いで壁の後ろに隠れ、そこから顔を半分だけ出して三階の通路の様子をそっと確認する。

 まもなく、ワープしてきたらしく通路の真ん中付近に二人の男が現れた。私服姿で年齢も20歳くらいに見えるし、おそらく二人ともスレイヤーだ……って、こっちに向かってくる途中で立ち止まって胸を押さえたかと思うと、信じられないほど顔を赤らめ、ダラダラと汗を零しながら天を見上げた。

「……だっ、だじゅげで、ぐへえぇぇっ……」

「……ぐ、ぐりゅじいぃぃ……!」

「「もぎゃっ!」」

「「……」」

 四つの目玉が弾丸のように飛び出たかと思うと、天井に赤い斑点を残して落下し、廊下の隅まで転がっていった。な、なんだこりゃ……。

 俺たちは見開いた目を見合わせたあと、倒れた彼らの元へ駆け寄ったわけだが、二人とも既に息を引き取っていた。というか、風間が全力で顔を背けるのもわかるくらい、見るに堪えない惨たらしい遺体だ。

 しかし、妙だな……。まるで、長時間電子レンジの中に入れられて内側から大きな負荷をかけられて死んだかのような、そんな奇怪な死に方だった。どうやったらこんなことが可能なんだ……? なんにせよ、最期の瞬間まで相当にもがき苦しんで亡くなったことが窺える。

「――そこにいる方々は、誰なのですか?」

「「っ!?」」

 その声は、触れられるほどの距離から聞こえてきたものだった。
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