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第5話
しおりを挟む名称:『合成マスター』
種別:『技能《スキル》』
レア度:『SSS』
効果:『DPの消費量は10倍になるが、素材を合成した際、作られる可能性があるものを全て100%の確率で獲得できる。また、作られる予定のものをキャンセルした場合、ポイントは減るが消費量は通常通りになる』
「……す、すごっ……」
獲得したスキルについて、端末で調べたところ、最も高いレア度といわれるSSSスキルなのも納得できる効果だった。
素材の合成は、MP――モンスターポイントではなく、DP――ダンジョンポイントを消費することで行われる。
手に入れられるものは、食べ物、道具、素材、スキル、従魔、武器、防具、レベルまで多岐に渡る。それぞれレアリティというものが設定されていて、当然レアリティが高いものほど出現確率が低い。
普通に合成しても、レアリティの高いものは確率が低いのでほぼ出ない。微妙なものが出たとして、キャンセルすれば素材を消費することはない。でも、合成を試行するたびにダンジョンポイントは消費されるので、レアリティの高いものを獲得するのは至難の業ってことだ。
この『合成マスター』スキルが凄いのは、確率が低いものから高いものまで、素材の組み合わせでできる可能性があるものをすべて獲得できるってことだ。
合成を実行するとポイントの消費が10倍になる強力なデメリットもあるけど、キャンセルした場合は通常通りの消費量だし、それを補って余りあるくらいの凄まじい効果だ。
「……」
僕は思わず周りをキョロキョロと窺ってしまった。僕は誰もが羨むようなとんでもないレアを所有してるわけで、それを秘密にしたいっていう衝動が生まれるのは当然かもしれない。
もちろん、その一方で誰かに言ってみたいっていう気持ちもあるけどね。あんまり目立つとろくなことがないと思うから我慢だ。
さて、少し落ち着いてきたところで素材の合成をするとしようかな。
僕が持っている素材は三つだ。『不気味なゼリー』、『謎の目玉』、『開かない箱』。
ただ、これらを組み合わせたところで、大したものができない可能性だってある。
それでも、合成を実行する際は、それぞれのレアリティとともに、これを本当に作るかどうか確認のメッセージがあるはず。
これらの素材で作られるものが大したことがないと判明した場合、キャンセルして次に持ち越すことだってできるんだ。
二つだけ合成するより、三つ合成したほうがその分強力になるってことで、迷わず三つの合成を試みる。
番 レア度 旧確率 新確率 種別 名称
1.C 10% 100% 道具『無限の水筒』
2.B 7% 100% 素材『神秘の羊羹《ようかん》』
3.A 3.5% 100% 防具『水の鎧』
4.A 3% 100% 武器『ゼリーソード』
5.A 3% 100% 水準《レベル》『レベル30』
6.S 1% 100% 従魔『メタリックスライム』
7.S 1% 100% 技能《スキル》『鑑定眼レベル1』
8.SS 0.5% 100% 技能『異空間レベル1』
『白石優也様の【合成マスター】スキルが合成に適用された結果、これらのものが完成します。その場合、残りDPは420です。キャンセルした場合、残りDPは492となります。獲得しますか?』
『☞はい いいえ』
「か、獲得しますかって……」
いやいや、ここは色気を出さずに、迷わず『はい』を選択しておきたい。
キャンセルしてもう一回やったら、結果がガラリと変わってほかにも魅力的なものが出る可能性もある。それでもDPを8ポイント消費しちゃうし、これらの魅力的なアイテムがまた出てくるとは限らないんだよね。
それに、一覧の中にはスキルが二つもあるし、そのうちの一つのレアリティは『合成マスター』スキルに次ぐSSだ。さらに、従魔やレベル、レア武具まで揃ってる。役立ちそうな道具や素材もあるし、これより上なんて想像もできないので獲得することにした。
『白石優也様は合成によって8つのアイテムを獲得しました。残りDPは420です』
ただ、実際に見てないとわからないってことで、ゲットしたものを一応全部端末で調べてみるとしよう。
まずは一番レアリティが低いやつからだ。
名称:『無限の水筒』
種別:『道具』
レア度:『C』
効果:『底から水が無限に出てくる。しかし、一度空になったあとは10分待たないと満タンにならない』
いいねえ。条件もあるけど、あまり気にならないレベルだ。外やダンジョンでの水分補給はもちろん、手も洗えるし靴の汚れを濯ぐことだってできる。ほかにも観葉植物への水やりとか、色々何かに活用できそうだ。この調子でほかのものも見てみよう。
名称:『神秘の羊羹』
種別:『素材』
レア度:『B』
効果:『とても美味しい羊羹。合成に使える。一度口にすれば、独特の食感と濃厚な甘みが味わえる』
へえー。説明を見てみると食べたくなるけど、そこは我慢我慢。素材を食べるなんて勿体なさすぎるしね。
名称:『水の鎧』
種別:『防具』
レア度:『A』
効果:『火や水への耐性が上がり、衝撃にも強くなる。体は少々重くなる』
これもいいねえ。水を纏うわけだから動きは鈍くなりそうだけど、これだけの効果があるなら余裕で我慢できる。
名称:『ゼリーソード』
種別:『武器』
レア度:『A』
効果:『ゼリー状の長剣。変幻自在で壊れてもすぐに元通り。鞭のように柔軟で伸びるのが特徴だが、意外と硬さもあって充分にダメージを与えられる』
へえ~、結構ダメージも通るみたいだね。強力な鞭みたいなものかも? そう思うと身震いしそうだ。
名称:『レベル30』
種別:『水準』
レア度:『A』
効果:『レベルが30になり、各ステータスが相応に上がりやすくなる。現在のレベルがこれより高いか同等の場合、効果は無効となる』
加算されるわけじゃないのか。それでもレベル1の僕にとっては大きすぎる進歩だ。ステータスが上がりやすくなるってことでトレーニングが捗りそうだなあ。今から楽しみだ。
名称:『メタリックスライム』
種別:『従魔』
レア度:『S』
効果:『体力は低いがとにかく硬くて俊敏なモンスター。警戒心も強いが、根気よく接していけば従順になる。命令によって様々なものに変化することができ、人語も理解できる知能がある。餌はネジや鉄片、鉱石等も可』
おおおっ。まさか、僕が倒したばかりのあのレアモンスターを従魔にできるなんて、因縁じみたものを感じる!
早く見てみたいし仲良くなりたいけど、さすがにここだと目立つからね。出す場所を考えないと。へへっ、待ってろよー、すぐに僕が格好いい名前をつけてやるからなあ。
名称:『鑑定眼レベル1』
種別:『技能』
レア度:『S』
効果:『他者のステータスを覗くことができる。最初は低確率だが、スキルレベルが上がるほど成功率は高くなる。また、スキルレベルが上がるごとに基本ステータス以外にも見たい情報を一つ追加できる。成功率は相手のレベルや隠蔽スキルにも左右される。精神力を少し消耗する』
なるほどなるほど。あると地味に便利なスキルっていうか、対人だけじゃなくモンスターにも使えるわけで、物凄く有利になるのは間違いないね。疲れそうだけど、レベルを上げるためにどんどん使っていかないと。
名称:『異空間レベル1』
種別:『技能』
レア度:『SS』
効果:『ダンジョンとは異なる異空間を出すことができる。スキルレベルが上がるほど空間が増え、自分のイメージ通りの場所にすることができる。精神力を中程度消耗する』
うはあ。こりゃ物凄い効果。さすがSS……。倉庫になるしここで休むこともできそうだ。あと、誰に気兼ねすることもなく従魔を出したりスキルや武器、道具を試したりできる。
それにしても、自分のイメージ通りの異空間って、どんなものでもいいのかな? スキルレベルが低くてもトイレとか風呂とか台所とか、それくらいならできそうだけど、これは実際に試してみないとね。
俄かには現状を信じられないような夢心地の中、実物を見て実感しようと思う。さあ、とくと眺めるとしようか。僕の生まれ変わったステータスを……。
ステータス
名前:『白石優也』
年齢:『15』
性別:『男』
称号:『いじめられっ子』『Gクラス』『ラッキーマン(NEW)』
レベル:『30』(+29)
腕力:『2』
俊敏:『2』
体力:『2』
技術:『2』
知力:『1』
魔力:『1』
運勢:『2』(+1)
MP:『0』(-1000)
DP:『420』(-80)
スキル:『合成マスター(NEW)』『鑑定眼レベル1(NEW)』『異空間レベル1(NEW)』
従魔:『メタリックスライム(NEW)』
武器:『ゼリーソード(NEW)』
防具:『水の鎧(NEW)』
道具:『無限の水筒(NEW)』
素材:『神秘の羊羹(NEW)』
「……」
ふう。惚れ惚れするステータスだ……っていうか何気に運勢が1つ上がってるし、『ラッキーマン』っていう新しい称号が追加されてる!
僕が無事に帰還したことが影響してそうだけど、縁起のいい称号だし、僕が『合成マスター』スキルを得られたのも、これがあったからかもしれない。
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