外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~

名無し

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68話 殺風景

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「――なっ……?」

 気が付いたとき、僕は仄暗い空間に立っていた。なんだよ、ここ……。壁もなければ窓もない、先がまったく見えない不気味な場所で、足元にある床だけがぼんやりと確認できる。

 ま、まさか、ここってあの世なんじゃ? 自分を削除=死亡……? 僕は恐る恐る、ステータスを確認するべく【鑑定士】スキルを自分に使う。もしこれが適用されなかった場合、ここから復元もできないことになるから死んだも同然だよね……。


 名前:カイン
 レベル:53
 年齢:16歳
 種族:人間
 性別:男
 冒険者ランク:S級

 能力値:
 腕力S+
 敏捷B
 体力S+
 器用A
 運勢S+
 知性SS

 装備:
 ルーズダガー
 ヴァリアントメイル
 怪力の腕輪
 クイーンサークレット
 活力の帯
 エンシェントロザリオ
 宝珠の杖

 スキル:
【削除&復元DX】E
【ストーンアロー】B
【殺意の波動】B
【偽装】C
【ウィンドブレイド】C
【鑑定士】A
【武闘家】B
【瞬殺】D
【亜人化】D
【難攻不落】D
【進化】E
【擦り抜け】B
【混合】D
【維持】E
【ファイヤーフィスト】F
【アイススマッシュ】F

 テクニック:
《跳躍・大》
《盗み・中》
《裁縫・大》
《料理・大》

 ダストボックス:
 アルウ(亡霊)
 ファラン(亡霊)
 髑髏1956
 背中の痛み7
 肩の痛み8
 息苦しさ7
 腰痛10
 疲労24
 頭痛16
 眠気13
 倦怠感17
 カイン(自分)

「……」

 よかったあ。ちゃんとステータスを見られるし、ダストボックスの一番下に自分が入っててしかもカイン(亡霊)じゃない。

 ここがあの世じゃなくてダストボックスの中だってことがはっきりしたわけだね。こんな殺風景なところだったのか――

 ――ボソボソッ……。

 ん? 今話し声が聞こえてきたような。こっちの方向からだ。

 まさか、がいるんじゃ……? 期待感を膨らませながら声がしたほうへと歩いていく。なんか、景色がずっと同じなせいで歩いてるのに前に進んでる気がまったくしなかった。

「――っ……!?」

 誰かの姿が朧気に見えてきたと思ったら、それはアルウ(亡霊)とファラン(亡霊)の二人で、お互いに座った状態でブツブツと何やら言い合ってるのがわかった。

 そういや以前、成仏しそうになってたファラン(亡霊)を削除したあと、ダストボックスの中でアルウ(亡霊)と楽しく会話するかもしれないみたいなことを思ったわけなんだけど、楽しいかどうかは置いといてまさか本当にお喋りしてるなんてね……。

「アルウ、ファラン……!」

「「あっ……!」」

 二人に近付きながら声をかけると、いずれも僕のほうを向いてはっとした顔で立ち上がった。

「カインンン……あなたって人はあぁぁっ……!」

「ア、アルウ様、いけません……!」

「っ!?」

 う、うわ、アルウが顔を真っ赤にしながら駆け寄ってくる、ぶたれる――

「――バカあぁっ……!」

「えっ……」

 アルウは涙ながらに抱き付いてきた。び、びっくりした……。

「一人にしないでって言ったでしょ……!」

「……ご、ごめん、アルウ。でも、寂しくないようにファランを中に入れてあげただろ……?」

「バカッ。それまでどれだけ心細かったと思ってるのよ……」

「あはは……」

 まあなんとなくアルウの言いたいことはわかる。ファランを入れるまではずっと独りぼっちだったわけだし、ダストボックスっていう場所が場所だけにね……。

「あ、そうだ。ファランも久々だね」

「はい。カインさんとはあのとき以来でございますね……」

「うん。ファランはいつの間にか謀殺されてたんだから、無能じゃなかったってことだよね?」

「いえっ、自分はただの無能でございますっ」

「あははっ……」

 彼女の頑固さも相変わらずだ。

「ファランってばいつもこうなのよ。無能っていう割りに、カインとは随分いい空気になってたみたいじゃない……?」

「そ、それはですね、スキルやテクニックを譲渡する際に仕方なく、と何度も釈明したではございませんか……」

「ふーん。仕方なくねぇ。あたしにその件について話すとき、凄く嬉しそうだったくせに……」

「アルウ様、またその話をするのでございますか……?」

「あはははっ……」

 どうやらそのことで大分揉めてたみたいだね。

「てかカイン、どうしてここに来られたの?」

「え……アルウ、知らないの? たまにアルウの声とか聞こえてきたから知ってるとばかり……」

「わ、私は何も言ってないわよっ……! ここにいればわかると思うけど、外も見えないし何も聞こえないのに。ねえ、ファラン」

「はい、アルウ様の仰る通りでございます」

「そ、そうだったんだ……」

 まあよく考えたら、全部見えてたらそのたびに突っ込まれてもおかしくないわけだしね。ってことは、あの心の声のように聞こえてたものは一体なんだったんだろう?【鑑定士】スキルの受動的効果の一種で、危機意識みたいなものが強く働いたってことなんだろうか?

 そこら辺はどう考えてもよくわからないことだと思えるから、これ以上無駄に思考するのはやめておこう……。

「それよりアルウ、記憶は戻った……?」

「うん……。カインにここに閉じ込められたおかげでループしなくなって、ファランから外界のことを色々と聞かせてもらったから……」

「おおっ……」

 じゃあ話は早そうだ。王位継承権争いについて今後どうすればいいのかとか、積もる話はいくらでもあるわけだしね。
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