外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~

名無し

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69話 意志表示

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「それで、これからカインはどうしたいわけなの? ファランにはまだ自分の意思をはっきり伝えてないって聞いたから、べ、別に期待なんてしてないけどっ……!」

「んー……王位争いについてなら、僕はやっぱり自由がいいし誰の味方もしたくないっていうのが正直なところかな」

「そ、そっか……やっぱりそうよね。わ、悪かったわよ、カイン。大変なことに巻き込ませちゃって――」

「――けど、アルウが生きてるのなら話は変わってくる」

「「えっ……?」」

 アルウとファランの上擦った声が僕の耳朶をくすぐる。

「ファランの話を聞いたときから薄々感じてたけど、やっぱり王様に一番相応しいのはアルウだと思うし、現実として生きてるなら多分協力してたよ。でも、アルウが亡霊である以上どうしようもないしね。仇を討ったところでアルウが蘇るわけでもないし……」

「……そ、それはそうよね。はー、あたしがもし生きてるなら、カインと一緒に二つの勢力をぶっ潰してやるのにっ!」

「カインさんのお気持ちもですが、アルウ様のお気持ちもよくわかります……」

「うん、アルウはそりゃ悔しいよね……」

 結構酷いやり方で殺されたようなものだし、死んでも死にきれないんじゃないかな。

「というかね、カインもこの二つの勢力から利用されようとしてるんだから、他人事じゃないでしょ!」

「確かにそうだけど、意地でもどっちの勢力にも協力しないように徹底することで諦めさせるしかないよ。それにミュリアたちとは知り合いだし、話せばわかってくれるかも――」

「――はあぁ……」

 僕の言葉に被せるように、アルウが一際大きな溜め息をついてみせた。

「カインは滅法強いくせに見通しが甘すぎるわ。ダリアたちもえげつないけど、ミュリアたちなんてなのに……」

「で、でも……クロードさんに関してはよく知らないけど、ミュリアはとてもじゃないけどそんな感じには見えない――」

「――それが甘いっていうのよ。ミュリアって、自分はなーんにも悪いことはしてないのにって普段から被害者みたいな顔して、あいつは都合の悪いことは全部兄のクロードにやらせてるのよ。クロードは昔からミュリアにぞっこんだから、それを逆手に取って」

「な、なるほど……」

 アルウの話はいつになく熱を帯びていた。そりゃ自分のことを謀殺した相手側のことだしね。

「あたしが飼ってた兎を見て、ミュリアがなんて言ったと思う?」

「なんて……?」

「ん~、この兎君、ボクが見た感じもう長くないね~。死に際を看取るのは悲しいだろうから今のうちにお別れして、新しいのを飼うべきだよ~って、濁りのない笑顔で……。もちろん、そのあとビンタをお見舞いしてあげたけどねっ!」

「あはは……」

 ミュリアは【鑑定眼】があるから兎の命がもう長くないってわかって、アルウを思いやって言ったつもりなんだろうけど、ちょっと他人とは感覚がズレてる子なんだろうね。そういう出来事の積み重ねから険悪な関係になっていったのかも……。

「ちなみに……」

 お、そこでファランが話に割り込んできた。

「ミュリア様が何故、ご自身のことをボクと仰るのか……それは、弟が欲しかったクロード様が【忘却】スキルによって長らくミュリア様に女の子であることを忘れさせ、男の子だと思い込ませていたからだそうでございます……」

「え、えぇっ……?」

「それを続けてどんどん仲良くなられるうちに、申し訳ない気持ちになったのかどうかは存じませんが、急に弟として扱うことをおやめになられたそうです……」

「へえ~……」

 じゃあミュリアがボクって一人称なのは、そのときの癖が残ってるからなのか。クロードとの仲は良好そうだし、それに関するわだかまりみたいなものはなさそうだけど。

「さすが、城の中でちょろちょろ鼠みたいに走り回ってただけあって、色んなことを知ってるわねっ、有能ファラン」

「いえ、滅相もございません、アルウ様、自分は無能でございます……」

「「あはは……」」

 僕とアルウの呆れたような笑い声が被る。

「あたしがいない以上、第四王女のソフィアがその気になってくれたら一番なんだけどね……」

「でも、僕はソフィアともよく話したけど、王位にはまったく興味がないみたいだし……」

「カインったら……ソフィアにも手を出してるの? この浮気者っ!」

「ちょっ――」

「――冗談よ。ソフィアが男の子に興味を持つはずないもの。あの子は騎士として色んなところを駆け回りたいタイプだしね」

「「確かに……」」

 今度はファランとの声が被った。ソフィアって玉座に座ってあれこれ指図するよりも、現地に向かって直接助けたいって思っちゃうタイプなんだろうね。

「やっぱりあたしが復活して玉座に就くしかないわね!」

「はい、アルウ様が一番でございます」

「……」

 なんかアルウとファランの二人から圧を感じる。

「そういうわけでカイン、あたしたちを復活させられる方法を探し出してきてよね。死に物狂いで頑張りなさいっ!」

「カインさん、どうかお願いいたします……」

「……あのね、死に物狂いって……僕にも選択の自由ってやつが――」

「――復活したらあたしがカインのお嫁さんになってあげるんだから、それくらい我慢しなさいっ!」

「……」

 僕の立場は一体……。まあ王様になるなら彼女が一番だとは思うけどね。庶民的っていうか裏表があまりない子に見えるし、素晴らしい王様だと思ってたのが豹変して暴政を敷くなんてこともなさそうだし……。

「……って、そろそろ戻らないと……」

 かなり長い時間喋ってた気がするからね。あれからどれくらい時間が経ってるのか想像もつかない。ギルド長としての仕事もあるし、なるべく早く依頼をこなすために出発したいんだ。

「カイン、ちょっと待ってよ!」

「え?」

「こっちへ来て!」

「え、ちょっ……」

 アルウに右手を握られて問答無用で引っ張られていく。一体どこへ連れていかれるのやら……。
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