外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~

名無し

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71話 水泡

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「お前たち……を実行するときがいよいよ近付いているわけだが、もう準備はできているだろうな……?」

 冒険者ギルド近くの路地裏にて、明け方を示す薄紅色の空に見守られながら、仮面の男が部下たちの前で重々しく口を開く。

「へいっ、シュナイダー様、ぬかりはねえっす。いつでもやれやすぜっ!」

「はっ、シュナイダー様、ご安心を。にはしっかり根回ししておきましたんで!」

「そうそう。シュナイダー様が考案したあの素晴らしい作戦なら、いくらカインでもひとたまりもねえでしょう……」

「ククッ……」

 部下たちの台詞に対し、一つ一つ満足げにうなずいてみせる仮面の男シュナイダー。まもなくマントを翻しつつビシッと空を指差してみせた。

(カインよ……お前はレインに似ているが、あの少年と違って強く賢い男だ。吾輩のやろうとしていることをしっかり読むこともできている。しかし、茶番はここまでだ。『破壊王』が戻ってきて今までの苦労が水の泡と化すまでに、必ずやお前をダリア様の元へ届けてみせる。悪く思うな。ククッ……)



 ◆◆◆



「――よし、今度はこれにしよう……」

 僕が次に選んだのはこの依頼だ。昨日からずっと気になって見ていたものなんだ。

 依頼者:ペルゼン伯爵
 依頼ランク:S
 依頼者の住所:王都中央区54番地
 依頼報酬:金貨250枚
 依頼内容:
『鬼哭の森』の中心の湖内にあるダンジョン、水の神殿の地下一階の隠し部屋にあるという水のオーブを、是非とも私に譲っていただきたいのです。無期限ではありますが、諸事情によりできるだけ早くお願いいたします……。

 この依頼の貼り紙でまず目を引いたのは、金貨250枚という報酬。Sランクは金貨200枚が上限といわれてる中でこれは破格なんだ。さすが伯爵。

 僕はのためにお金を一杯欲しいから、これを先に済ませておこうと思う。三日くらい前に貼られた依頼だし、後回しにしたら誰かに先に攻略されてしまう可能性だってあるわけだからね。たまにフラッと実力者が現れてあっさり終わらせる、なんてことは珍しいみたいだけど絶対にないわけじゃないようだし。

 それにしても、水の神殿っていうダンジョンが都の近くにあるっていうのは聞いたことがあったけど、まさかあの『鬼哭の森』の湖の中だったなんて……。

 そこは水の中にあるけど特殊な魔法の水が湧いてくることで知られていて、水の中なのに濡れないし呼吸もできるっていうとても神秘的なダンジョンなんだ。

 ただ、水が口の中に入ってくるらしく注意が必要みたいだし、動きもかなり制限されるってことで、人気は全然ないみたいだけど難易度は古城ダンジョンより格段に高いといわれている。

 ここにも当然のように隠し部屋があるんだね……ってことは、やっぱりスプリットガーディアンみたいなヤバいモンスターがいるんだろうなあ。それでも怖いっていうよりむしろ凄く楽しみだから自分のほうが怖くなってくる。こういう風に思えるなんて昔なら考えられなかったことだ。

 ちなみに、S級、SS級、SSS級の依頼はいずれも五つ攻略するだけで昇格できるみたいだから、これを含めてあと四つ一気に達成してやろうと思うし、今回もおまけでダンジョンの攻略を成し遂げるつもりだ。よーし、やるぞー。やる気がどんどん湧き上がってくる……!



 ◆◆◆



「「「「……」」」」

 水の神殿ダンジョンの入り口前にはナセルたちが待ち構えており、時折四つの大きな泡が水面に向かって浮かび上がっていた。

「おいっ――ゴポッ……お、お前たち、何か喋れよ。前回はダメだったけど、今回こそは入り口で直接、俺のパーティーに戻ってきてくれないかってカインに言うから大丈夫だって……」

「ゴポッ……ナセルったら、最初っからそうすればよかったのに……」

「オー、イエスッ――ゴポッ……ファ、ファリムの言う通りだ。リーダー、しかしカインは快く応じてくれるだろうかっ……」

「んー……リーダーさん、今更カインさんをパーティーに呼び戻すのは無理っぽくないですかぁ? ふわぁ――ゴポッ……」

 やる気に満ちた様子のナセルとは対照的に、一様に気怠そうなファリム、ロイス、ミミルの三名。

「だから心配ねえって……ゴポッ……! と、とりあえずカインが来たら挨拶して、そのあと追放してごめんなーって謝って、そ、そ、そこから……ゴポポッ……!?」

 ナセルが早口で喋る途中で見る見る険しい顔つきになり、水面へと一気に浮上していくのであった……。
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