転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ

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これならいつか隠蔽魔法も作ることが出来るかもしれない。他にもたくさんの魔法が作れそうだ。もしかしたらゲーム機だって作れるかも。
俺は貰ったスキルの有用性に気づきワクワクしてしまう。色々と考え込んでいた
が父さんの咳払いで現実に戻されてしまった。

「楽しいのはわかる。しかしスキルの練習をするのは家の中だけにしなさい。いいな?」
「はい…」
「それと魔法もだ。全属性使える人なんて言い伝えの中でしかいない。稀に多属性も使える人がいると聞くが本当に稀だ。外で使う時は風魔法しか使わないように」
「なんで風魔法なの?」
「オオカミにケガをさせたのが風魔法だからだ。あの時俺とリャド以外にも人がいたからな。お前が風魔法を使ったのは村の連中にも知られているだろう。そんなお前が風魔法以外を使ってみろ?多属性使いだと面倒なことになるからな」
「わ、わかった。約束する」

あの時は直ぐに眠ってしまっていて父さんとリャド以外の人がいるなんて思いもしなかった。まぁオオカミ相手に1人で挑もうなんて馬鹿なこと考えるの俺以外にいないよな。

「よしいい子だ。じゃあこの話はこれまでだ。ステータスカードはソラが持っておくといい。一定時間立つと文字は勝手に消えるから心配するな。また自分のステータスが知りたくなったら念じればいい」

父さんからステータスカードを受け取る。今更ながらA4サイズの紙をカードって言うのに違和感があるな。ステータスカードっていうよりステータス紙って感じだ。
俺は貰ったステータスカードを丸めて麻紐で開かないように縛っておく。

(よし、これから特訓するぞー!!)

俺は心の中で鑑定と創造スキルのレベルアップに燃えていた。もちろん魔法だって練習したいところだが家の中限定と言われると練習する場所がないため暫くはお預けだ。
そんな俺をみて父さんと母さんが笑っているのに気づかず、急ぎ足で部屋まで戻って行った。



「まずは鑑定から試してみよう」

俺は部屋のいたるものに鑑定をかけた。ベッドからカーテンまで部屋の中にあるもの全てだ。

「スキルって魔力使わないのかな?」

魔力が関係しているのなら無闇矢鱈にスキルを使用しない方が良いだろう。俺はステータスカードを開くと先程のように念じた。

魔力量:91/100

どうやらスキルの使用に魔力は関係ないようだ。さっき見た時よりも1つだけ魔力も戻っている。自然回復するってことなのかな?
でも最初から減ってるのは何故だ?

「ソラ。ちょっといい?」

疑問に思っていると扉を叩く音と同時に母さんの声が聞こえる。俺が返事をすると母さんが部屋の中に入ってきた。

「あら、またステータスカードを開いてどうしたの?」
「なんでもないよ。それより母さんこそどうしたの?」
「そうそう。怪我の具合がどうなのかと思って」

母さんの言葉にどう答えればいいのか分からなかった。オオカミに傷つけられたはずの右肩は痛みは全くない。怪我なんて初めからなかったようだ。
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