転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ

文字の大きさ
18 / 78
転生しました

18

しおりを挟む

「そろそろ夕飯の時間だな」

父さんの声が聞こえる。どうやら戻ってきたようだ。空は先程と同じ紺色がかったオレンジ色。神様の言った通り時間は経っていないようだ。俺は返事をすると父さんと家の中へと入っていった。




「ごちそうさまでした!!」

俺はご飯を食べ終わると自分の部屋へと戻った。汗を吸収している服を早く脱ぎたかったからだ。この世界では風呂は贅沢品で、毎日入れない。水も、風呂を沸かす薪も貴重だからだ。いつもは濡らしたタオルで身体を拭いて、何日かに一度風呂に入っている。

「風呂に入りたいよなぁ」

地球では蛇口を捻るだけでお湯が出るって貴重だったんだよな。濡れタオルで身体を拭くのもいいけどなんかさっぱりしない。こう、ぱぱっと魔法でお湯でも出せたらいいんだけど…

「創ってみるか…」

水魔法と火魔法の応用だろう。イメージとしては蛇口を捻るとお湯が出てくる感じだ。頭の中で水魔法を思い浮かべ、その後火魔法で適温になるように温める。

すると自分の魔力が熱を帯びている感じかする。隠蔽魔法を創ろうとした時とは違う感じだ。直感で成功したと思った。

俺は自分の考えが正しいか確認するため風呂場にいった。当然お湯なんてはられていない。俺は浴槽の上に手をかざして、先程創った魔法を思い浮かべる。

「えーっと…“お湯よでてこい”」

そういった瞬間俺のかざした手からお湯が一気に出て、一瞬で浴槽を満たしてしまう。出たお湯を見ると湯気もたっている。いい感じだ。あとは温度だな。浴槽に溜まったお湯に手を触れると熱すぎず、ぬる過ぎずといった温度だった。

「やった!!成功だ!!」

初めて魔法を作ることが出来た。鑑定で自分のステータスを確認する。スキルの所に【生活魔法】が増えている。それに魔法を使用したのに魔力も1しか減っていない。

(あれ?生活魔法?風呂魔法とかじゃなくて?)

俺はスキルの書き方に疑問を覚えたが、初めて魔法を創造できたことが嬉しくて深く考えなかった。

「ソラお風呂場で何してるの?あら?今日は風呂の日じゃ無いはずだけど」
「母さん!!俺魔法を創れたんだよ!!このお湯魔法で出したんだ」
「あら、ソラは凄いわね。魔法の才能もあるじゃない」

俺は興奮気味に母さんに先程の事や、どうやって魔法を創造したのか事細かに説明した。そんな俺を母さんは笑顔を浮かべながら頭を撫でている。

「2つの魔法を組み合わせるのね。そんなことが出来るのは創造のスキルを持ってていて、全属性の魔法が使えるソラぐらいかもしれないわ。2属性持っていても組み合わせるなんて考えつかないし、創造のスキルを持っていても水と火の魔法が使えないと作れないんだから」


そうか。俺は神様から色々な物を貰ったことと、前世の知識があるから創れたんだ。風呂が少ないと嫌だという気持ちがなければ考えつかなかっただろう。

「それよりせっかくお湯があるんだからお風呂に入ったら?後で母さんたちも入っていい?」
「もちろんだよ!!じゃ俺風呂に入るね」

さすがに母さんと入るのは恥ずかしいから4歳を過ぎた頃から1人で入るようにしている。母さんは少し寂しそうだけどそこだけは譲れない。
俺は部屋から着替えを持ってくると温かいお湯に浸かった。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

私のお父様とパパ様

ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。 婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。 大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。 ※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。 追記(2021/10/7) お茶会の後を追加します。 更に追記(2022/3/9) 連載として再開します。

【バフ】しかできない無能ちゃん。クランから追放されたら、全員を【バフ】する苦行から解放される。自分一人だけ【バフ】したら、なんか最強でした

北川ニキタ
ファンタジー
ニーニャは【バフ】と呼ばれる支援スキルしか持ってなかった。 おかげで戦闘には一切参加できない無能。 それがクラン内でのニーニャの評価だった。 最終的にクランはニーニャを使い物にならないと判断し、追放することに決めた。 ニーニャをダンジョン内に放置したまま、クランメンバーたちは去っていく。 戦えないニーニャはダンジョン内で生き残ることは不可能と誰もが思っていた。 そして、ニーニャ自身魔物を前にして、生きるのを諦めたとき―― 『スキル【バフ】がレベル99になりました。カンストしましたので、スキルが進化します』 天の声が聞こえたのである。 そして、ニーニャを追放したクランは後に崩壊することとなった。 そう誰も気がついていなかった。 ニーニャがクラン全員を常に【バフ】していたことに。 最初だけ暗いですが、基本ほのぼのです。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」  お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。  賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。  誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。  そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。  諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。

処理中です...