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1章
困ったなぁ~
しおりを挟む洞窟出口。
外に出ようとして、むに――――っ!!
「ん? あれ」
見えないビニールみたいなのが邪魔して出れないぞ。
SSたちもマネして――。
むに――っ。
むにゅ――っ。
ぽよ~ん、ぽよ~ん。
何度やってもダメ。
「結界だ」
~ツェーン迷宮の結界~
モンスターの出入りを禁じる結界
しかし現在は結界が弱まっており、レベル2以下のモンスターなら出入りできる
そうか、入るとき俺はレベル2だったから、結界に反応しなかったけど、今の俺はレベル8だから結界が拒んで出れないんだね。
どうしよう。
洞窟の壁に穴を開けて、そこから出れないかな。
出入り口から20メートルずらし、触手をドリル状にして穴を開け――。
むに~~っ!
むにゅ~~~~~っ!
「結界がちゃんとある」
何処に穴を開けようが同じ。
この洞窟全体を結界がすっぽり包んでいるんだね。
そうだっ!
『モンスターの出入りを禁じる結界』なんだから、人間の姿になれば出れるかも。
さっそくやってみる。
服を着た状態のヒジカタに戻ったよ。
「なあなあ、俺のステータスってどうなっている?」
100パーセント人間だと、ステータス確認できないんだよね。
SSたちが、
―― レベル1 SSSレアスライム(人間に変身中) ――
と教えてくれた。
人間になるとレベル1に戻るんだ。
洞窟の出口で、結界の膜を押すと、ぷちっと手が中に入ったよ。
「よしよし」
そのまま歩いて行き、すんなり外に出ることができたよ。
もう夜。
月の光が周囲を照らしていて、ちょっとびっくりしたね。
SSたちが俺のマネして出てくる。
「「「わ~い」」」
そうか、SSたちが人間化すると、子供になるわけだ。
だけど、すっぽんぽん。
すっぽんぽんの子供6人が、俺のまわりにいるんだけど。
「お胸、ぺったんこ」
「おちんちん、ちいさいね」
「あたち、それないよ」
しかも、3匹ほど女の子に変身しているんだけど。
「きゃっ、きゃっ♪」
「ひっぱるなよ」
「いいじゃん」
この状態のSSたちを、すっぽんぽんの児童を、魚屋店舗まで引き連れて行くわけにはいかない……、行けるわけない。
「えっと……君たち、よく聞きなさい」
「「「「はーい」」」」
「ここの洞窟の結界が弱まっていて、中のモンスターが出てくるかもしれないんだ。だから、君たちはスライムに戻って、見張りをしてくれないかな」
「「「……見張り?」」」
「そう、洞窟から出てきたモンスターを、洞窟内に追い返して欲しいんだよね」
「「「「「スラ神さまは?」」」」」
「そうだなあ、俺は魚屋店舗に戻らなくちゃいけないんだよ。剣作成の依頼もあるしね」
「「「「「いっしょがいい」」」」」
言うと思ったよ。
困ったな……。
「あっ、そうだ! SSたちをアイテム収納庫に入れて、連れて行くのはどうだろう」
たしか生死を問わずってあったけど。
説明テロップが流れ始めたよ。
~生死を問わず、入れた時の状態のまま永久保存(詳細)~
入れられた時のまま、取り出されるまで、精神、肉体、記憶、すべてが出されるまで一時停止
入れられた時から取り出されるまでの時間移動と同等
なんと!
例えばSSたちをアイテム収納庫に入れて、100年後取り出すと、100年前の状態のまま復活。
つまり未来行き、片側通行のタイムスリップなんだ。
「……凄いけど、……うーん、でもなあ……」
気が引けるんだよね。
でも、まあ、いちおうSSたちに事情を説明してから、アイテム収納庫を出し、その黒く渦巻く投入口を見せると――。
「「「この中に入るの?」」」
まるで無限に広がる宇宙のよう。
「いや、まあ……」
「「「こわいよ」」」」
そうだろう、そうだろう。
いくら安全だと分かっている俺だって、底なし沼みたいな収納庫の中に、SSたちを入れるなんてできない。
止めだ止めだ。
魚屋店主に頼んで、3階の俺の部屋に住まわせてもらうぞ。
さて、そうしたらだよ。この子たちをなんて店主に説明しよう。
引き取り手がない戦争孤児とでも言ったら、信じてもらえるかなあ。
気が短い店主だけど、人情味厚いからたぶん……。
「よし。子供用の服を調達してくるから、それまでここで待ってなさい」
せめてSSたちに服を着せなきゃ、俺は犯罪者扱いだよ、きっと。
「ついていくの」
「いっしょがいい」
「さみしい」
「おいていかないで」
「……そ、……そうかあ……、そうだろうなあ」
SSたちが俺の頭に登ろうとするんだけど。
「困ったなあ……」
10
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