SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)

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1章

真実

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「こんにちは……」

 長い黒髪を揺らし、アハートさんが剣の受け取りに来たのだけど。

「ロ、ロアン、どうしてここに」

 うろたえるアハートさん。
 ロアンくんも顔色を変えて立ち上がり、しどろもどろになっていたけど、やがて――。

「……アハート」
「……ロアン……」

 じっと見つめ合う。
 いい感じの雰囲気だよ、この二人。
 俺の視線にハッとしたアハートさんが、思い出したように忙しく俺の手を掴んだよ。

「ヒ、ヒジカタさん。早くいっしょに上がりましょうよ!」

 いっしょに上がりましょうよ?

「……そうですか」

 上ずった声で言い、ぐいぐい引っ張って階段を上がり始める。
 やけに積極的だけど。
 
 ロアンくんが俺たちを見上げている。
 アハートさんは無視して3階の部屋に入り、それから手を放し、思いつめたように、ため息をひとつ。

 さっきから、どうしたんだろう。 
 俺が押入れから剣を収めた包みを出すと、アハートさんが寂しそうに窓から外を見ていた。

 俺が包みを置いたのも気づかない。
 
「気になりますか、ロアンくんが?」

「えっ! あ……すいません、私、ぼーっとしていて……」

 慌てて取り繕ったアハートさんは、俺の顔は見ない。
 視線を合わせないまま包みを受け取り、「ありがとうございました」と小さく言って部屋を出る。
 振り返りもせず、そのまま階段を降り、ロアンくんにお辞儀をして帰って行った。

 アハートさんが見えなくなっても見つめ続けるロアンくん。

「あのう……知り合いなんですか? アハートさんと」

「……そうです。3ヶ月前までは」

「3ヶ月前?」

「アハートの父上が事故死する3ヶ月前までは、私たちは恋人でした」

 ――――恋人。
 ちょっとショックだったよ。

「父上が亡くなり、ロダン家と疎遠になってしまい、そしてどういうわけか、弟のファーストがアハートとの交際を断りに来ました」  

「ファーストくんが、姉の交際に口を出したわけ?」

「はい。私を兄のように接していたファーストが、手の平を返したように……。まるで別人でした」

「何が気に入らないんだろう」

「わかりません。ただ、ファーストには、自衛軍の中で何かを企んでいる噂もあります」

 革命のことがバレちゃってる?
 
 
「へえ~、これが噂のヒジカタさんの子供たちか」

 そんなとき、ファーストくんがやってきたよ。
 ロアンくんが睨む。

「これはこれは、ロアンさん。意外な所で対面ですね」

 ロアンくんとファーストくんは険悪な雰囲気。

「あたしも来たよー、ヒジカタさん、やっほー!」

 アリシアちゃんが元気に手を振っているよ。
 
 実は最近、誰にも分からないよう身体の一部をスライム化し、眼を作っているんだよね。
 もちろんステータスを見るため。
 
 ちなみにアハートさんのステータス値は、ロアンくんの半分くらい。
 女の子だから頑張っていると考えていいだろうね。 
 ちょうどファーストくんが来たから、どれほどの値なのか、見させてもらおうかな。


―――――――――――――――――

 魔族 サキュバット LV 2
(人間 ファースト・ロダン 変身中)

 生命力 27/27 
 魔法力   32/32  

 攻撃力   9 
 素早さ   19 
 知能      13  
 運           7 

『へんげ』
『虜』

――――――――――――――――


「剣の作成は順調ですか? 今日から毎日20振りですけど」

 別の意味で絶句したよ。
 爽やかなイケメンに見えるファーストくんだけど、あの洞窟にいたサキュバットの仲間だったなんて……。 
 レベル2だから洞窟から出て来れたんだろうけど……、いやそんなことより、なんで人間に化けてるんだろう。

 あ……俺も同じか。
 
「あたしの可愛い短剣もできてるかなあ~。くすくす」

 なんと!
 ウインクするアリシアちゃんまで、浮かぶ半透明のステータスには、
(人間 アリシア・ロダン 変身中)と表示されているぞ!

 3人兄妹の中で、唯一人間なのはアハートさんだけってことになるけど……。 

「ねえ、ねえ、ヒジカタさ~ん。どうしちゃったのお」

「あ、いや、なんでもない。も、もちろん出来てるよ。ここで待ってて、持ってくるね」

「きゃっ! 出来てるんだあ、嬉しいな。ヒジカタさんだあ~い好き♪」

 いやもう、どんなにミニスカートをチラチラさせようが、ウインクしようが、なんとも思わないんだけど。
 俺はサキュバットの能力『虜』に引っかかっていた?
 動揺しているのを悟られないよう3階に上がる。  

 ファーストくんがSSの頭を撫でようとしたら、ささっと躱し、6人の子供たちは離れた場所に移動したよ。
 じいぃぃーっ、とファーストくんとアリシアちゃんを見ているんだけど。

「いやあ~、嫌われちゃったなー」
「おいでおいで、おねえちゃんが飴をあげるよー」

「「いらないです」」
「「あっちいって」」

 SSたちも俺と同じで、ステータス確認能力を持っているから見えるんだ。
 てか、身体のどこかをスライム化しているの?

「さんきゅー、ヒジカタさん♪」
 
 アリシアちゃんが出来上がった剣を受け取り、ファーストくんと帰ってゆく。
 その後ろは、

 魔族 サキュバット LV 2
(人間 ファースト・ロダン 変身中)

 魔族 サキュバット LV 2
(人間 アリシア・ロダン 変身中)

 恐ろしい、恐ろし過ぎる。
 二人の狙いはなんなんだよ。

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