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1章
総攻撃?
しおりを挟むおかしいな。
サキュバットを15匹も始末したのに静かすぎる。
前方のサキュバットたちが気づかないはずないんだけど。
「やっとおいついた」
「なにちてるの?」
SSたちが俺に群がるよ。
ここから先は一緒に進んだほうが良さそうだな。
やがて、天井の高さが100メーターくらいある巨大なフロアーに出たよ。
前回サキュバットに脅かされて引き返した場所だ。
「ウオオオオオオオオッ!」
突然、低い雄叫びが轟く。
岩陰から緑色の巨大モンスターが1匹登場したよ。
「あー、見たことあるー」
「ギガントオーガだね」
「キャッキャッ♪」
SSたちは全然ビビらない。むしろ喜んでるね。
だって真実の姿が丸見えだもん。
―――――――――――――――
魔族 サキュバット LV 7
(巨人 ギガントオーガ へんげ中)
―――――――――――――――
「何者だ。命が惜しくば、さっさとこの洞窟から出てゆけ」
「クスクス、前と同じこと言ってるー」
「「「ねーっ♪」」」
「どうするのヒジカタ?」
「どうするって、うーん」
サキュバットの能力は『へんげ』。
変形と違い、そう見えているだけ。基本彼らの能力は弱っちいんだよね。
もちろん普通の人間よりは強いけど。
だから、今も分かる。
巨大モンスターに注意を逸らしておいて、壁づたいに息を潜めて接近しているじゃない、サキュバットが10匹ほど。
それに正面と左右の岩陰にざっと30匹、天井に同化しているのが20匹。
一斉に俺たちを攻撃する作戦だね。
SSたちは気付いてないみたいだけど、俺は身体の周囲に小さな眼を作っているから丸見えだよ。
さてどうしよう。
さっきみたいに、瞬殺するのは簡単なんだけど。
「アイテム収納庫に入れようか」
「あいてむしゅうのうこ?」
「黒いぐるぐる、じゃないかな」
「こわいよお、あれこわい」
収納庫の投入口を言ってるんだな。
確かに、宇宙空間みたいで気味が悪い。
俺も絶対に入りたくない。
「そう、だから入れるんだよ」
サキュバットたちを、この場で皆殺しにするのは、この子たちの教育上良くないね絶対。
いくら人間を大量殺害したからと言って、俺に彼らを殺す権利はない。(もう15匹ほど勢いで殺しちゃったけど)
本来なら185名全員に償(つぐな)ってもらう。
遺族を亡くした人たちの為に、彼らに出来ることを一生償って貰うのがベストだと思う。
だけど、彼らを改心させるのは至難の業。
「そのぐるぐるに入れちゃうの?」
表示させた暗黒色に渦巻く投入口を、SSたちが恐る恐る覗きこむ。
「一度入ったら最後、俺がクリックしなければ、一生出れない牢獄だよ」
「おしおきだね」
「悪いことしちゃったからだ」
「バツをあたえなくちゃ」
「それがいい」
「全員一致だね」
「「「「うんうん」」」」
俺は収納庫を表示させたまま、高速移動したよ。
まずは接近中のサキュバットたちを順番に捕まえては投入口へ放り込む。
スッポン、スッポン。
身体の一部が暗黒世界に入りさえすれば、恐ろしい力で吸引されちゃう。
簡単だけど、怖いな。
続いて岩陰のサキュバット集団に移動し、スッポン、スッポン。
彼らは、俺が近づいたことも分からず、時が止まった世界に行ったわけだね。
西遊記に登場する、返事をしたら吸い込まれる『ひょうたん』を思い出すなあ。
「「「わああああああ」」」
サキュバットたちが、転げながら洞窟の奥へ逃げて行く。
あら、後の岩にも潜んでいたんだ。
残されたのは、巨人ギガントオーガただ一匹。
「……い、命が惜しくば……洞窟から出て……」
声は震え、ビルみたいな脚はガクブルだね。
俺をビビらせる任務なんだろうが、逆に自分がビビりまくっているし。
逃げれば良いのに、責任感強い子みたい。
「ど、どうした、スライムよ……」
「別に、どうもしないけど、それより、キミも一緒にこの中に入る?」
「……」
オーガのどうしょうもなく困った顔を見ていたら、気の毒になってきたよ。
◆
「サキュバットの本拠地?」
「はいっ! この奥でございますっ」
「キミ、軽やかな返事で気持ちがいいね」
「はっ、ありがとうございますっ!」
現在オーガにへんげしていたサキュバットは、俺たちの道先案内人になっているよ。
率先してボスの情報を教えてくれ、しかも巨大なコウモリ(飛行形態)になり、背中にSSたち6匹を乗せ、バッサバッサ洞窟を飛んでいるんだけどね。
「おじちゃん、もっと早く飛んでよ」
「ヒジカタに追いつけないよお」
「はい……。最善をつくします」
「ぜんぜん、おそいよー」
「「ぶーぶー」」
すっかり、SSたちの子分だね。
重いから無理だろうなあ。
むしろSS6匹も乗せてよく飛んでいるほうだよ。
10
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