SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)

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2章

魔法

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 これでもう、ヤンキー料理人アシダダムはちょっかい出して来ないだろうね。
 
 ランちゃんも奪還したし(本人は、誘拐された実感ないけど)、後は魚の仕入れだね。
 お昼から魚市場や、漁師の自宅に出向き、明日から魚が仕入れられるよう手配しておいたよ。
 
 これでたぶん1階店舗の方は大丈夫。
 
 その足でロアイドさんと共に大工の棟梁さんのところへ出向き、新店舗の話し合いをしたよ。
 焼け跡の整地も含め、取り掛かる日取りも決まった。
 ロアイドさんも大満足みたい。

「うーん。いいねー、この場所は♪」

 ロアイドさんとキキンの表玄関と呼ばれるT字路に来ているよ。
 今も香料を積んだ馬車が3両、内区に向かって走っていったぞ。
 
「馬車の往来が激しいね」

「はい。売人だけじゃなく、冒険者や旅人もここを通ってキキン内区に入都しますね。それに滞在日数が多い人は、必ずと言っていいほど、ここで宿泊します。内区はかなり割高なので」

「なるほど」

 だからこんなにたくさんの宿屋が密集しているのか。
 ほとんどの宿屋が1階に居酒屋を開いているのも、旅や戦いで疲れや癒(いや)し需要を見込んでのことだね。
 地元の人も一杯飲むのに訪れているようだし、ここら一帯が飲み屋街になってるんだね。
 西商店街からも近いし、利便性が高いよな。

「だけど……この新店を建てる場所……」

「どうかされましたか、ヒジカタさん?」

「……いや、なに、綺麗にロアイドさんの店舗だけが焼け落ちていて……」

 出火当時、無風だったとしても、わずか50~100センチほどの間隔で密集するこの飲み屋街だ。
 防火素材を使用した日本家屋ですら、燃え広がるだろうに、両隣の木製の宿屋は全くの無傷。焦げすらない。熱風の影響すら受けていないってどうなの?

「こんな芸当、火災じゃ起こりえないと思う」

 そう。
 噂通りアシダダムが放火したと仮定しても、こうはならないよ。

「魔法使いなら可能ですけど」

「魔法使い……」

 お茶を飲んでいたローブの女性を思い出したよ。
 ロアイドさんが悔しそうに話しだす。

 魔法の種類は5系統プラスその他補助系。

 火
 水
 風
 稲妻
 地震
 補助

 魔法使いが念じて魔法を放つわけじゃなく、デーモン(稀にモンスター)を召喚し、そのデーモンが魔法を発動。攻撃、防御を行う。

 デーモンが魔法使い(当人)を襲わないかって?
 はい。ないそうだよ。
 召喚した魔法使いに服従。

 だけど、デーモンが現世(この世界のことね)に滞在すればするほど、人間の魔法力(数値化された魔法残量)か生命力を消費する。
 
 デーモンが放つ魔法も、召喚者の魔法力か生命力を大量消費し、魔法力か生命力が高い魔法使いが、より高レベルで強いデーモンを召喚できるそうだよ。
 
 魔法使いというより召喚士、いや悪魔デーモン使いと言い換えるべきだね。
 
「魔法使いが火を操るデーモンを呼び出し、指定した範囲だけが燃焼します。
 私の店舗火災が、アシダダムの仕業だと、確たる証拠はありませんが、たぶん……」 

 魔法使いがキキンに入国するおりには、魔法の有無を判定する魔結晶に手をかざし、冒険者ギルドで魔法使いとして登録される。
 許可無くキキン内区で魔法使用は禁止。
 稀にモンスターが出没する外区は許される。
 
 登録魔法使いは、だいたいいつも20~30人。
 魔法は、剣や武術と違い、持って産まれた能力。訓練で習得できない能力。
 それだけ、魔法使いは貴重なんだね。

 登録者を調べれば、犯人に辿り着くだろうけど証拠はないし、徒労だろうな。
 あの商人ギルドにいた魔法使いが怪しい。
 ロアイドさんの店舗を焼き消し、今度は俺を消すつもりだったと思うよ。

 知らなきゃ、マジで殺されていたかもしれないな。
 いくら強くても、所詮はスライム。体内の核が傷ついたら活動停止(死亡)だもん。
 俺は心臓の位置に核を置いているから、心臓に稲妻(高電流)を落とされたら防げないね。

 血を吐いてまで教えてくれたヒトミさん。
 優しさが嬉しかったけど、こりゃ、本当に感謝しなくちゃいけないな。
 
 魔法使いか~。
 トランプで例えると、ジョーカーみたいなカードだよ。
 アシダダムが大人しくしてくれるだろうか。

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