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2章
モテてる?
しおりを挟むSSたちを市場まで見送り、簡単なレクチャーをして後は店主に任せたね。
店舗に戻り、1階の開店準備をしてから2階の寿司の仕込みをする。
7:00
「ふわああ~。お、お早うございます、ヒジカタさん……」
「あ……、お、おはようございます」
眠気眼をこするヒトミさんもイイなー。
「どうされました?」
「い、いや。あー今日はいい天気ですねー」
「はい」
「そろそろ、帰りましょうね。司教さん、心配しているかもしれないし」
「そうですね」
ヒトミさんをアンフィニ大司教さんの宿泊施設に送り届けたよ。
いつまでも店舗にいさせるわけにはいかないもんね。
◆
アンフィニ大司教御一行、宿泊施設。
「これは、わざわざ、ヒジカタさま。
どうぞ、奥で大司教様がいらっしゃいますよ」
案内された広く豪華な部屋では、大司教さんと使徒100名、そして奴隷さんたち20名が遅めの朝食をとっていた。
「いや~、凄い、驚いたよ!」
「どうされました、ヒジカタさま」
「いや、だって、全然違うじゃない」
ヒトミさんがクスッと笑う。
彼女たちは、呪縛の法術が解けたとはいえ、現在もやっぱり奴隷だ。
だけど、彼女たちの着ている衣服はパーティーに参加するようなエレガントな物ばかり。
頭髪も美容院でカットしたみたいに整っているし、化粧も薄っすらしているみたい。
前と待遇が違い過ぎるんだけど!
まあ、確かに言ったよ俺は。
司教さんに、奴隷たちに優しく接して欲しいって。
でも、貴族レベルじゃない、これ?
良い家柄のお嬢さんみたい。
みんな美しく可愛いくなっちゃってる!
なにより彼女たちが、ニコニコ食事を楽しんでいるのが素晴らしい。
「昨日はここまで凄くなかったわ。私もちょっと驚きです」
今までは奴隷の食事も、使徒たちが食べ残した残飯や雑穀類で腹を満たすだけ。
それが、同じ部屋で同じメニューを食べている。
「ええ、大司教さまのご指示ですので」
そう案内してくれた使途が言う。
昨夜から、こうなったらしい。
「きっとヒジカタさんが司教さまに口添えして下さったおかげ……」
ふと横のヒトミさんに目を向けたら、目をうるうるさせ、両手をお祈りするみたいに組んで俺を見ていた。
いやー、照れるんだけど。
「あらっ……!」
食事中だった奴隷さんの1人が俺に気付いたみたい。
「……ヒ、ヒジカタ様だわ」
「そうよ、間違いないわ。ヒジカタ様よ」
「まあ、あの御方が」
他の奴隷さんたちも慌てて食事を中断し、バタバタと席を立ち始める。
「私たちの救世主さまよ……」
「すごいわぁ」
あ~、ヒトミさんから事情を聞いたんだね。
ぞろぞろ近寄ってきて、俺を中心に2メーターくらいで囲って立ち止まったよ。
な、なんだろう。
女の子に取り囲まれた経験がないから、ドキドキしてしまうよ。
それに、何だろう、そんな女の子のみなさんは、頬をポッと紅く染め、もじもじとはにかんだ笑みを浮かべているけど。
俺以上に、緊張しているみたい。
な、なんでなんだ?
「ちょっと、ちょっと、ヒトミっ!」(ヒソヒソ)
お嬢様みたいな容姿の1人が、ヒトミさんを手招き。
向かったヒトミさんに耳打ちしているよ。
「もーっ、私たちにも紹介してよ」(ヒソヒソ)
「紹介?」
「そうよ、そうよ」(ヒソヒソ)
「ちゃんと、私たちにも紹介して、一人だけ抜け駆けして、ずるいっ」(ヒソヒソ)
俺に聞こえないように、話しているみたいだけど、SSSレアの高身体能力のお陰で、あいにく聴力も桁違いに高かったりするので、聞いちゃいけない内容まで俺にはまる聞こえなんだけど。
「ヒトミだけ、どうしてヒジカタさまのお店に出かけるの?」(ヒソヒソ)
「私たちも連れてってよ、誘ってよ」(ヒソヒソ)
「お泊りするなんて、いつ、そんな間柄になったの?」(ヒソヒソ)
「なっとくいく、説明をしてよねっ」(ヒソヒソ)
「そ、そうね……」
ヒトミさん……、た、大変だなあ。
てか、俺、人気者?
ヒトミさんが苦笑いで、俺を見ている。
あ~、何となくわかった。
みんなに、自己紹介してくださいってことね。
「コ、コホンッ! え……ええっと、俺は、ヒジカタと言うよ」
話し出したら、女の子の視線が一斉に俺に向いた。
話しにくいんだけど。
「キキンの外区に、魚屋を出してて、そこで働いてます」
「まあ……お魚をっ!」
「男らしい!」
「あ、どうも」
「聞いたことがあります。刺し身を発明したとか」
「そう、よく知ってますね」
「お米を海苔で巻いた食べ物も発明されたわ」
「そんなことまで――」
「それ、おにぎり?」
「巻き寿司よ。おにぎりじゃないわ」
「素敵なネーミング」
「血を吐いたヒトミも、手をかざすだけで治された」
「すごい」
「治癒気功師でもあるのよ」
「多方面に才能をお持ちなのね、ヒジカタ様」
「天才だわ」
「うらやましい……」
「戦争孤児を無償で引き取り、養ってもいるそうよ」
「お優しい」
「普通出来ないわ」
「こんど、大きなお店を出すとか」
「まあ、事業もなさるの」
「ヴァーチェにも出店して欲しい」
いや、あの……。
俺が話す前に、勝手にどんどん井戸端会議しちゃってて。
しかも、俺のことメチャクチャ詳しいんだけど。
自己紹介する必要ないじゃん、俺。
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