SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)

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3章

30レベ機能停止

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 機能停止って――――。

 疑問が浮かぶと答えてくれるテロップには。

 
 ~ SSSレアスライム レベル上限 30 ~

 レベルが30に到達すると、機能が永久に停止する、と記されていたよ。

 それって30レベ以上には上がらないってことかな。


 ~ 機能が永久停止 ~

 SSSレアスライムの活動停止
 30レベルで寿命が尽きる
 

「……、……」

 死ぬってこと?
 マジなの。

 同じ説明テロップが繰り返し流れるだけ。

 いや、いや、おかしいって。
 だったら、他のモンスターや、SSたちもレベルが上限に達したら活動停止するわけ?


 ~ 上限レベルについて ~

 ノーマルスライム  レベル30以上不可 活動可
 Sレアスライム   レベル30以上不可 活動可
 SSレアスライム  レベル30以上不可 活動可
 SSSレアスライム レベル30以上不可 活動不可 回避不可 

 30レベで機能停止は、SSSレアスライムだけの特典


 どこが特典なんだろうか……。
 特典って、良いことなんじゃないの?
 せめて、他のスライム同様に30レベになっても活動させてよ~~っ!

「……ああ、……うう……」

 この世界に魚屋さんを、日本の魚屋さんを広めたかったのに。
 スタッフの調理技術も様(さま)になってきたばかりなのに。
  
 ショックで言葉もでないよ。
 ぼーぜんと項垂れていたら、ビトくんが舞い降りて来て、俺の周りをふわふわ漂ったね。

「……ありがとう、ビトくん、慰めてくれて」

 ビトくんに返事はなく、気の毒そうに顔を伏せている。

「俺、もうすぐビトくんと同じになるんだね。
 そっちの世界じゃ、ビトくんが先輩だね」 

 ポンポ――――ン!!
 ポンポ――――ン!!
 
『レベルアップ レベル26』

 突然だったよ。
 びっくりしている俺の目前で、テロップが流れ始める。

 膨大な経験値、SSレア・エインシェントを倒した時と同じ量が俺に流れ込んできたよ。
 続いて、劣るけど、高い経験値がぽつぽつと入る。
 レベル50クラスのモンスターを倒した時と同じくらいだね。
 経験値の獲得は終わらない。どんどん入ってくるんだけど。

 SSたちが戦って得た経験値と同じ値が俺に入る仕組みだから、つまり、いま、SSたちが戦っているということ。
 それも、かなりの強敵たちと。

 脳裏を過ぎったのは、2体のSSレアエインシェントと戦っていたとき、俺の分裂個体10体を一瞬に焼き消した未知の生物の事。 
 アレは、俺の動体視力でも、早くて何も見えなかった。

 アレではないとは思う。
 アレをSSたちが倒せるはずないから。
 SSエインシェントと同等のモンスターを、SSたちが倒したと考えるのが正しいと思う。

 なんにしても、キキンで、SSたちが戦っているのは間違いないよ。
 キキンの首都は、ヒトミさん、アハートさん、店主やスタッフたちは無事だろうか……。
 
 ビンソンの本性が分かったいま、一刻も早くキキンに戻らなきゃ。
 戻って、地上のモンスターを一掃して――、
 いや、可能なら戦って倒さず、全ての敵を俺のアイテム収納庫に入れたい。
 経験値は出来るだけ獲得せず、収納庫の世界に入れて沈静化したいよ。
 
 とにかく、早く。
 早く戻って、SSたちにも戦いを止めさせないと、俺が30レベルになっちゃう。

「よしっ!」

 カシさんたちのいる病室に戻りつつ、俺はアイテム収納庫からラミアキングを1体出して、取り込んだね。
 2倍に肥大した俺は、核なし分裂でもう1体のヒジカタ(コピー)を作る。
 性能は劣るけど、スキルは同じものを獲得したままだよ。

 なんで、わざわざ個体を作ったかって?
 
 気になる事があったから。
 1つだけね。 
 レプリカンスタの件。

 レプリカンスタは、ロアロク国が極秘で進める計画だよ。
 失敗の確率が高いのを知りながら、国は検体者に何も説明せず、モルモットに薬物投与する感覚で種を食べさせたわけ。
 非合法で道徳に反する人体実験。
 
 この事実は絶対に秘匿。国民に知れたら暴動が起きる。
 だからカシアキさん姉妹や、人間に戻ったビンソンの部下たちを、ロアロク国が野放しにしておくわけがない、きっと口封じに来る、そう思うね。

 だから――。
 
 病室に戻り、カシさんたちに俺の分身を紹介したよ。
 合わせてキキン国の状況も説明する。

「少しの間、コイツが用心棒だから」

 分裂個体の5感と意識は俺に通じている。
 個体(ヒジカタコピー)の視界は俺の眼そのもの。

「へー、エロカタのコピーかあ~♪」

 カシさんがコピーの股間をニギニギしてニヤけたね。
 もちろん、ドギマギしたよ。おくびにも出さないけど。

「……あの」

「なあに? もっとシテ欲しいわけ」

「いえ、感覚を遮断してるんで、意味ないですけど」

「なーんだ、つまらない」

 ウソだけどね。

「もし、危険を感じたら、直ぐコイツに教えてください。
 迅速に対応しますから」

「はいはい。分かったから、さっさとキキンに戻りな」

「ありがとう、カシさん」

 本来なら、俺自身がロアロクに住んで、カシさんたちを守るべきなんだろう。
 それか、カシさんたちと被害にあった人たちをキキンに連れて行くべきだと思う。

 だけど、今も間隔を置いて流れてくる高い経験値。
 それ相応の戦場と化しているだろうキキン国に、3姉妹と部下たちを連れて行きたくはないね。

 俺のアイテム収納庫に入れれば安全だけど、30レベ機能停止(特典らしい)を知った後だと、
 もし、入れたまま俺が30レベに成りでもしたら、永久に閉じ込めたままになる。

 もちろん俺が29レベになった瞬間に収納庫から取り出せば回避できるけど、
 1000層にも及ぶツェーン迷宮には、アレ以外にも未知モンスターがいるはずだし、
 弱いけど経験値だけがべらぼうに高いのがいたりして、
 知らずに戦い、倒して得た経験値だけで2~3レベ上がったら、俺と一緒に永久停止。
 
 悪人やモンスターならともかく、カシさんたち人間を収納庫に入れるなんて出来ないよ。
 むしろ、ロアロク国のほうが安全な気がする。

「では、また」

「ありがとう、ヒジカタさん!」
「キキンが平和になったら、戻りたいわ」
「私たちの故郷ですもの」
「頑張って、ヒジカタさん」

 キキンが平和になったらか……。

 戦争がない、戦いがない世界。
 日本にいたときは、それが当たり前過ぎて、平和を願う気持ちに切実さは感じなかったよ。
 だけど、今は違う。

 平安じゃないと、魚屋さんどころじゃないもんね。
 平和だからこそ、美味しい物が食べられる。
 魚文化が育むんだよね。 

 3姉妹と握手をした後、俺は一礼して、開いた窓からジャンプしたよ。
  
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