フットモンキー ~FooT MoNKeY~

崗本 健太郎

文字の大きさ
39 / 46

第39話 不協和音

しおりを挟む
バランサーズは昴と瑞希が練習に参加しておらず、連絡も取れない状況であった。
そして友助は保の説得があり、昴が居ないAFC開催中だけ練習に参加していたのだが、そんな状況でモチベーションが上がるはずもなかった。そんな中、キャプテンである保は、苦境を打破するために皆に発破を掛ける。

「よ~し、みんな。次のソウルフラーズ戦は、絶対に落とせない試合だからな!」
「「お~!!」」
「気合い入れて行くぞ!!」

 だが、それを聞いた蓮は、よろよろとその場にへたりこんでしまった。
「もうムリだよ。友助が累積退場で、昴さんは行方不明。次の試合は予報で雨」
「弱気になるな!正念場でこそ、チームの真価が問われるんだ」

「え~でも、僕の所為じゃないですし。それになんで最終戦がチャンピオンズとなんだよ。ベストメンバーでも勝てるか分かんないってのに、もう棄権したいよ~」
「バカ言うな!勝てば東海大会に行けるんだし、何より相手に失礼だ。最後までやってみないと分かんねーだろ。根性みせろよ!」

 それから練習が終わって皆で話をしていると、保の携帯にメールが入った。
そのメールを見て、保が顔色を変えて皆に報告する。
「今、昴から連絡があって、練習に参加したいって」
「昴さん!やっと戻ってきてくれるんですね!」

 複雑な心境だが喜びが勝っているような蓮の言葉を余所に、友助は既に冷めてしまっていたようだ。
「じゃ、俺はこれで退団ってことで」
「待て待て。お互いが謝れば済む話だろ?」
「俺は絶対に謝んないですよ。向こうが悪いんだし」
「う~ん、それはそうだな。けど、昴が謝って来るかもしれないだろ」

「あの人、謝ったりするんですか?」
「――しないな」
「じゃ、退団ってことで」
「まあそう言うなよ。何か方法を考えるからよ」

 それから保は少しの間思考を巡らせたが、いいアイデアが浮かばないようだった。
「あの僕、家が三島に近いんですけどーー」
「!!。けど、次の対戦相手だぞ?」
「まあそうですけど、練習に参加させてもらえるよう頼んでみてもらえないですか?」

「ソウルフラーズ。ニコラスかーー」
「友達なんですよね?ニコラスさんて、どんな人なんですか?」
「ん?ロシア人でよ。身長2mくらいあって氷山のような奴なんだ」
「外国の方ならフレンドリーに接してくれるんじゃないですか。こんな時ですし」
「そうだな。ちょっと電話掛けてみるよ。けど期待すんなよ土台無茶な話なんだし」
「はい、よろしくお願いします」

 保が電話を掛けると、久々なこともあって、少々会話が長引いたようであった。
「悪りい、長くなったな」
「で、どうだったんですか?」
「いいってよ。まったく、お人好しだなアイツは」

 それから2日後、友助は教わった場所へと足を運びそこに居た凍郷という名の選手にニコラスを呼んでもらって挨拶をすることにした。
「あれ?この人なんですか?」
「そうだよ、ニコラス。自分で呼んだんだろ?」

「ニコラスさんって日本人なんですか?なんか聞いてた人と違うようなーー」
「ああ、ニコラスってのはあだ名でさ。苗字が凝(こらす)だから、そう呼ばれてんだよ」
「そうだったんですね!すみません、ロシア人って聞いてたもんだから」

それを聞いて、チーム内で小さな笑いが起った。
「そういうことか。福祖の奴、いい加減なこと言いやがって」
 それから一緒に練習をして、凝は穏やかだが、芯のしっかりとした人物であるといった印象であった。話を進めるうちに、自ずと昴の話題となった。

「スゲエよな、あいつのーー『ジンガ』」
「えっ!?あれってそんな名前あるんですか?」
「そうだよ。なんだ、お前のチームの奴らは知らなかったのか?」
「そうだったんですね。僕らアレ、ふらふらフェイントって呼んでました」

「はははは。お前らホントおもしれえな」
 友助はなんだか、ソウルフラーズの雰囲気に馴染んできてしまったようだ。
「あーあ。もう一層のこと、ソウルフラーズに入っちゃおうかな」
「はははは。ウチはいいけど、お前んとこのチームはそれで納得しねえだろ」

「どうかな。俺、入ってまだ一年経ってないですし、案外その方が丸く収まるかもしれないっすよ」
「何言ってんだよ。チームメイトってのは、そんな簡単に変えられるようなもんじゃねえだろ?絆ってもんがあるじゃねえか」

「絆――か」
「なに家出少女みたいな顔してんだよ、仲間だろ。そろそろチームに戻ってやれよ」
 保から事情を聞いていたのだろう、凝はそれとなく諭してくれた。だが当の友助は、結局試合の日までチームに戻ろうとはせず、ソウルフラーズの練習に参加し続けた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

ただいま作者の崗本は『賞レース中にて書籍化のチャンス』に直面しております!!

下記サイト(Note創作大賞2023)にて各話♡ハートボタンを押して頂けたら幸いです。

スクロールして行くと下部に次の話のリンクがあります。所要時間5分ほどです。

一人一人の応援が力になります。よろしくお願い致します!!

https://note.com/aquarius12/n/nb3ace3ccac08
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

処理中です...