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恋愛編
6話【off duty】岡林 幸太郎:送別会(岡林編)
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とうとう、最終週の水曜日が来た。明日は藍原先生が当直、明後日は俺が当直だから、今日の送別会を兼ねた夕飯で落とさないと、俺は賭けに負けることになる。
本当は、女が喜ぶようなレストランで雰囲気よく食事をしたかったけど、送別会という建前上藍原先生がおごってくれることになってるから、あまり高いところは選べない。勝負は、レストランのあとだ。
「8週間、お疲れ様でした、岡林くん!」
藍原先生が上機嫌に乾杯する。ここでほろ酔いにさせておけば、勝機はある。
「岡林くん、本当に優秀だったから、あたし助かっちゃった。次は何科だっけ?」
「外科です。循環器外科」
「外科ね。岡林くん、手先が器用だから外科向きよね」
「ありがとうございます、俺、外科志望なんで」
「そうだと思った。きっといい外科医になるわよ。間違いないわ」
藍原先生、もうほっぺたをピンク色にしてニコニコしてる。やっぱり、酒が回った先生は可愛い。
「……楓ちゃんのことなんだけど」
突然話を振られて思わず吹きそうになる。
「……ありがとうね、岡林くん」
「え?」
まさか礼をいわれるとは思わず、訊き返す。藍原先生は、酔っぱらってとろんとした目で俺を見た。
「ここだけの話……楓ちゃんがね、岡林くんにフラれたー! って、泣きついてきたの」
そうだったのか。
「遊び人のはずなのに、なかなか落ちないって」
藍原先生がケタケタ笑ってる。えーと、藍原先生の耳にも、俺が遊び人だって、入ってたのか……。それはちょっとまずいかもしれない。
「でもね、楓ちゃんが猛アタックしても、岡林くん、手を出さないで、しっかり断ってくれたんでしょ? それがね、うれしくて」
藍原先生がにっこり笑った。
「楓ちゃんを、遊び相手にしないでくれて、ありがとうね」
……なんだか、胸の奥のほうが、ガラにもなく痛くなった。相手にしなかったのは、藍原先生狙いだったからだ。それに、佐々木さんがめんどくさいタイプだったから。別に、真剣に向き合ったからじゃない。藍原先生、俺のこと遊び人だって知ってるのに、いいように取りすぎだ。
「まっ、そういうあたしも、最初は体で攻めちゃえー! って、楓ちゃんをけしかけたりしたんだけどねっ。うふふ」
何だよ……そういうことか。ひょっとして、だから俺が藍原先生にちょっかい出しても、微妙な反応で逃げてたのか。佐々木さんに、遠慮してたから? だったら、しっかり佐々木さんをフッた今なら、藍原先生も、なびくかも……?
「……俺、確かに遊んでた時期もありますけど、今は違いますよ」
とりあえず、まずそこを訂正しておく。藍原先生は、ニコニコ笑ってうなずいた。
「うん、わかってる。岡林くん、とってもまじめでいい子だと思うわよ」
なぜだか、体が少しだけ熱くなった。俺の中のオスの本能と、理性と、賭けのリミットと、それからほんのちょっとの罪悪感と。いろんなものがごちゃ混ぜになって、妙な感情が沸いてくる。
藍原先生を、抱きたい。
とにかくそれだけが、はっきり自覚できた感情だった。
「……先生、2か月間ありがとうございました。このあと、時間ありますか? いい場所知ってるんです」
本当は、女が喜ぶようなレストランで雰囲気よく食事をしたかったけど、送別会という建前上藍原先生がおごってくれることになってるから、あまり高いところは選べない。勝負は、レストランのあとだ。
「8週間、お疲れ様でした、岡林くん!」
藍原先生が上機嫌に乾杯する。ここでほろ酔いにさせておけば、勝機はある。
「岡林くん、本当に優秀だったから、あたし助かっちゃった。次は何科だっけ?」
「外科です。循環器外科」
「外科ね。岡林くん、手先が器用だから外科向きよね」
「ありがとうございます、俺、外科志望なんで」
「そうだと思った。きっといい外科医になるわよ。間違いないわ」
藍原先生、もうほっぺたをピンク色にしてニコニコしてる。やっぱり、酒が回った先生は可愛い。
「……楓ちゃんのことなんだけど」
突然話を振られて思わず吹きそうになる。
「……ありがとうね、岡林くん」
「え?」
まさか礼をいわれるとは思わず、訊き返す。藍原先生は、酔っぱらってとろんとした目で俺を見た。
「ここだけの話……楓ちゃんがね、岡林くんにフラれたー! って、泣きついてきたの」
そうだったのか。
「遊び人のはずなのに、なかなか落ちないって」
藍原先生がケタケタ笑ってる。えーと、藍原先生の耳にも、俺が遊び人だって、入ってたのか……。それはちょっとまずいかもしれない。
「でもね、楓ちゃんが猛アタックしても、岡林くん、手を出さないで、しっかり断ってくれたんでしょ? それがね、うれしくて」
藍原先生がにっこり笑った。
「楓ちゃんを、遊び相手にしないでくれて、ありがとうね」
……なんだか、胸の奥のほうが、ガラにもなく痛くなった。相手にしなかったのは、藍原先生狙いだったからだ。それに、佐々木さんがめんどくさいタイプだったから。別に、真剣に向き合ったからじゃない。藍原先生、俺のこと遊び人だって知ってるのに、いいように取りすぎだ。
「まっ、そういうあたしも、最初は体で攻めちゃえー! って、楓ちゃんをけしかけたりしたんだけどねっ。うふふ」
何だよ……そういうことか。ひょっとして、だから俺が藍原先生にちょっかい出しても、微妙な反応で逃げてたのか。佐々木さんに、遠慮してたから? だったら、しっかり佐々木さんをフッた今なら、藍原先生も、なびくかも……?
「……俺、確かに遊んでた時期もありますけど、今は違いますよ」
とりあえず、まずそこを訂正しておく。藍原先生は、ニコニコ笑ってうなずいた。
「うん、わかってる。岡林くん、とってもまじめでいい子だと思うわよ」
なぜだか、体が少しだけ熱くなった。俺の中のオスの本能と、理性と、賭けのリミットと、それからほんのちょっとの罪悪感と。いろんなものがごちゃ混ぜになって、妙な感情が沸いてくる。
藍原先生を、抱きたい。
とにかくそれだけが、はっきり自覚できた感情だった。
「……先生、2か月間ありがとうございました。このあと、時間ありますか? いい場所知ってるんです」
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