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障害編
21話【Seminar】神沢 隼人:「とんだ勘違いでした」(藍原編)
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第4会議室に行くと、扉が閉まってた。さっき出てきたときは、あたしも焦ってたから開けっ放しだったはず。ということは……神沢先輩、さすがに帰ったのね。
ほっとしながら、扉を開けた。途端に目に飛び込んできた衝撃の光景に、固まる。
神沢先輩と、梨沙ちゃんがいた。梨沙ちゃんは先輩の目の前に膝をついていて、先輩は……ズボンとトランクスが、完全に足首までずり落ちてる。そして……そして……! その股間には、確かに、確かに、しっかりと上を向いた、大きな……大きな、肉棒が! そ、そそり立っていて……!
「かっ、香織ちゃん……っ!」
先輩が真っ赤な顔をしてあたしを凝視してる。でもあたしは、先輩の顔をまともに見られない。だって……だって、股間にそそり立つモノが、あまりにもリアルで、そして立派過ぎて……! もう先輩の股間から、目が離せない!
「香織ちゃん! 違うんだ、これは……っ!」
先輩が慌ててズボンを引き上げた。でも、もう遅い! 先輩のモノは、しっかりとあたしの脳裏に焼き付いてしまった。それに……それに、先輩の屹立したソレにくっつくくらいの近さで顔を寄せている、梨沙ちゃんも……!
これがどういうことか、あたしだってわかる。梨沙ちゃん……先輩と……こ、こんなところで……『んんっ、先生の、おいしい……』『ああ、梨沙ちゃん、キモチいいよ……もっと、もっと、舐めてくれ……ッ』『ああ、先生……ッ!』『ううッ、梨沙ちゃん、上手だよ……ああ、もっと……! あっ、いいッ、イク――!!』……てことでしょ!? ねえ、そういうことよね、梨沙ちゃん!?
一気に頭の中がふたりの淫らな姿でいっぱいになり、かあっと頭に血が上った。バクバクと心臓が飛び出そうなほどに早鐘を打ち出す。
「香織ちゃん、ごめんっ、これはその、成り行きというか、り、梨沙ちゃんが僕を、慰めてくれようとして……っ」
先輩があたしに謝るのが、すごく不思議だった。先輩は別に、謝らなきゃいけないようなことはしてない。だって……。
「……やっぱり先輩、梨沙ちゃんに、惹かれてたんですね……」
うん、納得がいく。だって先輩、さっきだって梨沙ちゃんを探してたし。それに、先輩はいい人だから、梨沙ちゃんが好きになるのも無理はない。
「だから、違うって! これには訳が……」
「先輩、あたしに遠慮なんてしなくていいです! 梨沙ちゃんはいい子だから、先輩とお似合いです。だからホントに、気にしないでください、梨沙ちゃんも!」
梨沙ちゃんが申し訳なさそうな顔をして立ち上がった。
「藍原先生! ごめんなさい、あたし、先生に秘密でこういうことするつもりはなくて……っ、ただ、神沢先生が素敵だから、藍原先生の気持ちも考えずに、つい……」
「いいの! 本当にいいのよっ、あたし、片付けに戻ってきたんだけどっ、お邪魔しちゃったわよね!? いいのよ、ふたりでどうぞ続きをしてくださいっ! あたし、誰にもいわないから! あっ、できれば梨沙ちゃん、終わったら、片付け、してもらえると助かるわ! じゃあねっ! いい夜を! あっ、もうすぐ見回りが来るから、それまでには終わるといいと思うわよ!? おやすみなさいっ!」
一方的にまくしたてて、ドアを閉めた。ああ、まだドキドキしてる。先輩と、梨沙ちゃんの、あんな姿。全然心の準備ができてなくて、ホントにびっくりしたけど。でも……。なんだろう、このドキドキは。なんていうか、親に隠れてこっそりアダルトビデオを見てるときに似た、ドキドキ。見ちゃいけないものを見て興奮したときの、ドキドキ。……そう、このドキドキは……。
息を落ち着けようと壁にもたれて深呼吸をする。でも鼓動はなかなか収まらなくて、代わりに……股の奥のほうが、ジンジンしてくる。やだ、あたし、先輩と梨沙ちゃんの姿を見て……感じちゃった……!?
「香織ちゃん!」
突然会議室から神沢先輩が出てきた。
「香織ちゃん、待ってよ! 僕に、説明させてくれ。僕が好きなのは、香織ちゃんなんだから!」
先輩が必死の形相であたしを見つめる。そのときあたしは、気がついた。
胸は、ドキドキしてる。でも……全然、ズキズキ、しない。先輩がほかの女の子とイチャイチャしていても……全然、平気だ。なんでだろう? 再会してから何度も先輩に好きだっていわれて、そのたびに翻弄されていたのに。先輩のキスや愛撫にとろけそうになる自分を抑えるのに、あんなに必死だったのに。今、好きだっていわれても……全然、響かない。
「……先輩。大丈夫です。梨沙ちゃん、いい子ですから、本当にもう、大丈夫です。あたし……先輩のこと好きですけど……もう、そんなふうには、好きじゃないので」
すごく自然に、言葉が出た。やっと、わかった。西園寺先生のいっていたことは、嘘じゃなかったんだ。
先輩が梨沙ちゃんとあんなことしてても平気でいられるのは、あたしが先輩のことを、好きじゃないから。……そうなんだ。あたしはずっと、自分が先輩をまだ好きなんじゃないかって思ってた。先輩に触れられるたびに、あのときの記憶が蘇って、あのときの想いが蘇って。でもそれは、今のあたしの想いではない。昔を今に重ねていただけ。
先輩は、すれ違いがなければ僕たちはまだ付き合ってたっていうけど。それは確かにそうかもしれないけど、でも、それはもう、あり得ない仮定に過ぎない。あたしはもう先輩と離れ、新條くんに出会ってしまって、新條くんを好きになってしまったんだ。今さらそれを、なかったことにはできない。
「そんなこといわないで、香織ちゃん! 香織ちゃんだって、僕に触れられて、キモチよさそうにしてたじゃないか……!」
「……あれは……とんだ、勘違いでした!」
「え……」
神沢先輩が呆気にとられた顔をしてる。でもあたし、気がついちゃったから!
「先輩をまだ好きかもしれないって……とんだ、勘違いでした! あたし、今の彼が、大好きなんで! 梨沙ちゃんと、末永くお幸せにしてください!」
そういうと、あたしは先輩にお辞儀をして背を向けた。足早に廊下を歩く。先輩はもう、追いかけてこなかった。心臓は、まだドキドキしてる。でも、さっきまでのドキドキとは、ちょっと違う。わくわくするような、胸の高鳴り。
……何だろう、今、無性に、新條くんに会いたい。あたし、新條くんが好きなんだ。こんなことで自覚するなんて、情けなさすぎるけど……。
速足じゃ我慢できなくなって、走って病院を出た。なぜだか勝手に、顔がにやけてくる。自分の本当の気持ちに気づいた途端、頭の中が新條くんでいっぱいになった。そうか、本当に好きな人のことを考えると、こんな気持ちになるのね。あんなに辛かったのが、嘘みたいだ。
あたしはダッシュで駅に向かった。
新條くんに、会いたい!
ほっとしながら、扉を開けた。途端に目に飛び込んできた衝撃の光景に、固まる。
神沢先輩と、梨沙ちゃんがいた。梨沙ちゃんは先輩の目の前に膝をついていて、先輩は……ズボンとトランクスが、完全に足首までずり落ちてる。そして……そして……! その股間には、確かに、確かに、しっかりと上を向いた、大きな……大きな、肉棒が! そ、そそり立っていて……!
「かっ、香織ちゃん……っ!」
先輩が真っ赤な顔をしてあたしを凝視してる。でもあたしは、先輩の顔をまともに見られない。だって……だって、股間にそそり立つモノが、あまりにもリアルで、そして立派過ぎて……! もう先輩の股間から、目が離せない!
「香織ちゃん! 違うんだ、これは……っ!」
先輩が慌ててズボンを引き上げた。でも、もう遅い! 先輩のモノは、しっかりとあたしの脳裏に焼き付いてしまった。それに……それに、先輩の屹立したソレにくっつくくらいの近さで顔を寄せている、梨沙ちゃんも……!
これがどういうことか、あたしだってわかる。梨沙ちゃん……先輩と……こ、こんなところで……『んんっ、先生の、おいしい……』『ああ、梨沙ちゃん、キモチいいよ……もっと、もっと、舐めてくれ……ッ』『ああ、先生……ッ!』『ううッ、梨沙ちゃん、上手だよ……ああ、もっと……! あっ、いいッ、イク――!!』……てことでしょ!? ねえ、そういうことよね、梨沙ちゃん!?
一気に頭の中がふたりの淫らな姿でいっぱいになり、かあっと頭に血が上った。バクバクと心臓が飛び出そうなほどに早鐘を打ち出す。
「香織ちゃん、ごめんっ、これはその、成り行きというか、り、梨沙ちゃんが僕を、慰めてくれようとして……っ」
先輩があたしに謝るのが、すごく不思議だった。先輩は別に、謝らなきゃいけないようなことはしてない。だって……。
「……やっぱり先輩、梨沙ちゃんに、惹かれてたんですね……」
うん、納得がいく。だって先輩、さっきだって梨沙ちゃんを探してたし。それに、先輩はいい人だから、梨沙ちゃんが好きになるのも無理はない。
「だから、違うって! これには訳が……」
「先輩、あたしに遠慮なんてしなくていいです! 梨沙ちゃんはいい子だから、先輩とお似合いです。だからホントに、気にしないでください、梨沙ちゃんも!」
梨沙ちゃんが申し訳なさそうな顔をして立ち上がった。
「藍原先生! ごめんなさい、あたし、先生に秘密でこういうことするつもりはなくて……っ、ただ、神沢先生が素敵だから、藍原先生の気持ちも考えずに、つい……」
「いいの! 本当にいいのよっ、あたし、片付けに戻ってきたんだけどっ、お邪魔しちゃったわよね!? いいのよ、ふたりでどうぞ続きをしてくださいっ! あたし、誰にもいわないから! あっ、できれば梨沙ちゃん、終わったら、片付け、してもらえると助かるわ! じゃあねっ! いい夜を! あっ、もうすぐ見回りが来るから、それまでには終わるといいと思うわよ!? おやすみなさいっ!」
一方的にまくしたてて、ドアを閉めた。ああ、まだドキドキしてる。先輩と、梨沙ちゃんの、あんな姿。全然心の準備ができてなくて、ホントにびっくりしたけど。でも……。なんだろう、このドキドキは。なんていうか、親に隠れてこっそりアダルトビデオを見てるときに似た、ドキドキ。見ちゃいけないものを見て興奮したときの、ドキドキ。……そう、このドキドキは……。
息を落ち着けようと壁にもたれて深呼吸をする。でも鼓動はなかなか収まらなくて、代わりに……股の奥のほうが、ジンジンしてくる。やだ、あたし、先輩と梨沙ちゃんの姿を見て……感じちゃった……!?
「香織ちゃん!」
突然会議室から神沢先輩が出てきた。
「香織ちゃん、待ってよ! 僕に、説明させてくれ。僕が好きなのは、香織ちゃんなんだから!」
先輩が必死の形相であたしを見つめる。そのときあたしは、気がついた。
胸は、ドキドキしてる。でも……全然、ズキズキ、しない。先輩がほかの女の子とイチャイチャしていても……全然、平気だ。なんでだろう? 再会してから何度も先輩に好きだっていわれて、そのたびに翻弄されていたのに。先輩のキスや愛撫にとろけそうになる自分を抑えるのに、あんなに必死だったのに。今、好きだっていわれても……全然、響かない。
「……先輩。大丈夫です。梨沙ちゃん、いい子ですから、本当にもう、大丈夫です。あたし……先輩のこと好きですけど……もう、そんなふうには、好きじゃないので」
すごく自然に、言葉が出た。やっと、わかった。西園寺先生のいっていたことは、嘘じゃなかったんだ。
先輩が梨沙ちゃんとあんなことしてても平気でいられるのは、あたしが先輩のことを、好きじゃないから。……そうなんだ。あたしはずっと、自分が先輩をまだ好きなんじゃないかって思ってた。先輩に触れられるたびに、あのときの記憶が蘇って、あのときの想いが蘇って。でもそれは、今のあたしの想いではない。昔を今に重ねていただけ。
先輩は、すれ違いがなければ僕たちはまだ付き合ってたっていうけど。それは確かにそうかもしれないけど、でも、それはもう、あり得ない仮定に過ぎない。あたしはもう先輩と離れ、新條くんに出会ってしまって、新條くんを好きになってしまったんだ。今さらそれを、なかったことにはできない。
「そんなこといわないで、香織ちゃん! 香織ちゃんだって、僕に触れられて、キモチよさそうにしてたじゃないか……!」
「……あれは……とんだ、勘違いでした!」
「え……」
神沢先輩が呆気にとられた顔をしてる。でもあたし、気がついちゃったから!
「先輩をまだ好きかもしれないって……とんだ、勘違いでした! あたし、今の彼が、大好きなんで! 梨沙ちゃんと、末永くお幸せにしてください!」
そういうと、あたしは先輩にお辞儀をして背を向けた。足早に廊下を歩く。先輩はもう、追いかけてこなかった。心臓は、まだドキドキしてる。でも、さっきまでのドキドキとは、ちょっと違う。わくわくするような、胸の高鳴り。
……何だろう、今、無性に、新條くんに会いたい。あたし、新條くんが好きなんだ。こんなことで自覚するなんて、情けなさすぎるけど……。
速足じゃ我慢できなくなって、走って病院を出た。なぜだか勝手に、顔がにやけてくる。自分の本当の気持ちに気づいた途端、頭の中が新條くんでいっぱいになった。そうか、本当に好きな人のことを考えると、こんな気持ちになるのね。あんなに辛かったのが、嘘みたいだ。
あたしはダッシュで駅に向かった。
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