虹の月 貝殻の雲

たいよう一花

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Ⅰ 強奪

15. 凌辱(4)

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「ぐっ…う、あ! やめろ、そんな、所にっ……指を……ふっ、…くぅっ……!」

ぬめった魔王の指が、中を掻き回すようにグチュグチュと抜き差しされる。
前を弄られるのとは違った快感に、レイはびくびくと身を震わせ、ただ喘ぐしかなかった。

「レイ……気持ち良いだろう? 魔族は体のあらゆる箇所に性感帯を持っているが、特にこの部分は敏感だ。……おまえのここは、ちゃんと魔族仕様になっているぞ」

「な…にっ……うっ! やめろ! うご…かす、な!」

「素直になれ……レイ。……ほら、ここはどうだ?」

「やっ、うあっ、あああっっ!」

魔王の指がある一点を捉え、やんわりと内側を刺激した。
途端に強烈な快感が走り、一度達して萎えていたものが、頭をもたげ、再びち上がり始めた。

「はっ…あっ……くぅっ!! やっ、やめろ……!」

「不思議だな……レイ、おまえの体は。外見は人間と同じ、男根も一振りのみ。しかし中身は……ちゃんと魔族と同じ機能をそなえている。……安心したぞ。これならおまえと……存分に体を繋げられる」

「何……言ってる……あうっ、やめろっ、魔王っ! はっ、あっ……!」

「まあ……それでも、初めての相手が私ではきついだろうが……。すまない、レイ……」

「指、をっ、抜け! 魔王っ……、いい、かげんに……ひっ!」

中をうごめいていた指が、一本から二本に増やされ、びくびくと痙攣しているレイの内側を広げてゆく。

「あっあっ、うっ、あぁっ! やめ、ろ!」

「よくほぐしておかないと、おまえがつらいだけだぞ……。ただでさえ、手順を省いているのだ……」

魔王の節くれだった長い指が、くちゅくちゅと音を立て、根元まで押し込まれては、ゆっくりと引き抜かれる。
指が押し込まれる際は息を詰め、引き抜かれる際は自然と漏れ出る喘ぎ声と共に息を吐き出す。その直後に、ヒュッとレイが息を吸いこむ間、魔王は指の動きを止めた。そんな風にレイの息遣いと呼応させながら、魔王はなおもしつこく、レイの後ろを責め立てた。

敏感な粘膜を傷付けないようにと、何度も継ぎ足された潤滑剤が溢れだして、レイの太ももの内側を伝い下りてゆく。
欲情をそそるそのさまが、魔王自身の猛りを怒張させてゆく。
今にも爆発しそうな欲求に耐えながら、魔王はゆっくりと指を引き抜くと、レイの体を再び仰向けに返した。
対面する姿勢となり、震えながら吐き出された魔王の熱い息が、レイの顔にかかる。

「おまえに会うたび……この衝動を抑えるのが辛かった。だが離れているときは、もっと辛い。おまえに会えない日々は、砂漠の太陽に焼かれ、乾きに苦しむ旅人のごとく、私をさいなんだ。おまえという生命の水が、私には必要なのだ」

魔王の潤んだ瞳が、まっすぐにレイの目を射抜き、わずかに閉じられた後、唇が重ねられた。

「んっ……」

互いの乱れた息が絡まり、体の中心でそそり立つ欲望が、痛いほど熱く滾る。
やがて魔王はわずかに唇を離すと、甘い囁きを、濡れそぼった舌に乗せた。

「レイ……どうか私とひとつになり、私のすべてを受け入れてくれ。私は生涯、ただおまえ一人を愛すると誓う」

熱烈な口説き文句に、レイは世界がぐにゃりと歪むのを感じた。
――体と魂は、すでに答えを出している。
それを、ぼんやりと自覚しながら、レイは自分の心の中を探っていた。

(……なんで……。なんで俺は、こんな……。分からない……もう、何も、考えたくない……)

レイは荒い呼吸で胸を上下させながら、考えることを放棄した。
甘い痺れに犯され、思考は麻痺し、おぼつかない。
体中が熱を帯び、ドクドクと脈打っている。

レイの蜂蜜色の瞳が焦点を失くし、とろんと潤むのを見て、魔王は時が来たのを感じた。

(頃合か……。私も、もう限界だ)

レイは知るよしもなかったが、目覚めた直後に飲ませた果実水と、後ろを馴染ませるために使った潤滑剤には、いわゆる媚薬が含まれていた。
どちらも魔界では、日常的に使われるごくありふれた薬で、依存性も副作用もない。安全な反面、効果が薄く、効き始めるまで時間がかかるのが難点だが、レイのようにこの手の薬に一切触れた経験がない場合、それなりの効果が期待できる。

――いや、効果を期待したい。

魔王は祈るような気持ちでレイを見つめた。
体を繋げた時のレイの負担を思えば、このような緩い薬では不充分なのは明白だ。
もっと強い薬を使えば苦痛を完全に取り除いた上、最高の快楽を与えることも可能だが、強い薬は内臓に大きな負担を強いるため、危険も高まる。呪具の腕輪によって一気に魔力を奪われ、その衝撃で弱りきった今のレイの体には、耐え切れないだろう。

(すまない……レイ。どうか私を許してくれ……)

いたわるようにレイの髪を撫で上げ、その額にそっと口付けすると、魔王は上体を起こし、レイの体を挟んで膝立ちになった。
そうして羽織っていた薄手のローブを、ゆっくりと脱ぎ捨てた。
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