虹の月 貝殻の雲

たいよう一花

文字の大きさ
17 / 80
Ⅰ 強奪

16. 凌辱(5)

しおりを挟む
ぼんやりとそれを見ていたレイの目の前に、逞しい筋肉で覆われた魔王の裸体が晒される。
魔族は総じて背が高く、骨格も筋肉も人間より遥かに発達している。
魔王はその中でも抜きん出た体格を誇り、体中を鎧のような筋肉で覆われていた。

上気し、汗の浮かぶその肌には、全身の所々に、いばらで打たれたかのような痛々しい傷跡が走っている。いつ付けられたのか定かではないが、療術によって癒されることもなく、引きつって無残に固まったその傷跡は、王の息子として大切に育てられ、王位に就いてからは無敵と謳われる彼には、あまりにも不釣合いだった。

しかしレイの目を釘付けにさせたのは、その不可解な傷跡ではなく、まったく別の部分だった。

股の間から、大きく鎌首をもたげ、腹に付くかと思うほど反り返っている逞しい男性器――信じ難いことに、それは、根元から二つに分かれ、上下に並びっていた。
魔族の男は生殖器を二つ持つと、噂では聞いて知っていたが、人間のそれとはかけ離れた形状に、レイは驚きのあまり、魔王の逸物から目を離すことができなかった。

初めて目にする異様な性器は、魔王の堂々たる体躯に相応しい大きさを誇り、いくつも筋を浮かばせてビクビクと脈動している。
その二振りの性器のうち、特に下側から突き出た方が面妖で、竿の部分に丸い小さな突起がいくつも並び、先端の張り出た部分は二連になっている。
天を突く勢いで反りかえったそれらは、二本とも先端からだくだくと先走りの露を滴らせ、ぬるぬると妖しく光っていた。

「嘘……だろ……。それ…作り物……か…何か……?」

予想通りのレイの反応に、魔王は深い溜息をついた。

「これはれっきとした、生物なまものだ。生まれたときから私の股の間にある」

言いながら魔王は、その異様な二本の男根に、両手を使ってぬらぬらと潤滑剤を塗りたくっている。

「おまえを怯えさせると思い……隠していたのだが……」

魔王は言葉を続けながら、なおも丹念に、ぬめって糸を引く粘性の液体を、たっぷりと擦りこんだ。魔王の張り出た胸筋が、次第に荒くなってゆく呼吸に伴い、激しく上下する。

「……これから……おまえと繋がる身だ……。見せておいた方が…良いと思ってな……」

――そうではなく実際は、見て欲しいと、魔王は思ったのだ。

ありのままの自分の姿をレイの前に晒し、自分のすべてを受け入れて欲しい――魔王は強く、そう願っていた。

やがて魔王は、滴るほどに塗りこんだ逸物から手を離し、傍に置いてあった布切れで手を拭った。
そうしてレイの両脚を折り曲げながら、膝の裏側に自身の両腕を滑りこませ、レイの腰を持ち上げる。
不自然な姿勢を取らされ、苦しげに呻くレイの顔を見下ろしながら、魔王は優しく問いかけた。

「怖いか……?」

問われた意味が分からず、レイは怪訝な表情で魔王を見つめ返した。

「さっきから……何を言ってるんだ……? 繋がるとか、何のことだよ……?」

束の間、魔王の目が驚きに見開かれた。

「レイ……そうか……おまえは知らないのか……。男同士の……契りの交わし方を……」

「契りって……無理だろ、だってどっちも入れるほうで、受け入れるところなんか………」

――受け入れるところ。

レイはハッとして息を呑み、全身を硬直させた。
さっきまで、しつこい程に弄られていた、その場所。
言葉を失くし、さっと青ざめたその表情に気付いた魔王は、抵抗を封じ込めようと、レイの両手をシーツに押え付けた。

「レイ、頼むから、暴れないでくれ。大丈夫だ、何も心配するな。力を抜いて、私に体を預けろ」

「待て……! 何を…するつもり……まさか……それっ、むぐっ……んんっ!」

突然、乱暴に重ねられる唇。
強く吸われたかと思うと、次の瞬間、驚くほど優しく、そっと唇を揉むように押し付けられる。柔らかい感触と共に、互いの唾液が混じりあい、ぴちゃぴちゃと淫靡な音が耳を犯す。

「んっ……んんっ……ふ、あっ……」

「……レイ……愛してる。私のすべては、おまえのものだ。おまえのすべてを、どうか私に与えてくれ」

その言葉と共に、折り曲げられ、高く抱え上げられたレイの膝の裏側を、魔王の手が、がっしりと押さえ込んだ。自然に上を向いたレイの尻が、魔王の腰に晒され、硬い物がぐりぐりと双丘の谷間に押し当てられる。
それが屹立した魔王の欲望だと知り、レイは半狂乱になって叫んだ。

「待てっ、待て待て待て! 魔王、やめろ! まさか、それ、それ、を……俺の、中にっ……」

「……主根しゅこんだ。こちらの方が、若干小振りだ。……さあ、レイ、力を抜いて楽にしろ」

「小振り?! どこが小振りだ! 異常なでかさだろ! やめろ、やめてくれっ!」

従根じゅうこんよりましだろう。突起も付いていない。……最も、慣れてくれば、主根より従根の方をねだるようになる……」

言いながら魔王は、馴染ませるように先端部分を押し付けて、レイの後ろにぬるぬると擦り合わせる。

「うあっ…! あっ、ああっ! や、やめろっ! 無理っ……無理だっ! 入るわけ、ないっ……」

凶暴な猛りから何とか逃れようと、じたばたと身を捩よじるが、相変わらず力のこもらない手足は、レイを窮地から逃してはくれなかった。

しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました 2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。 様々な形での応援ありがとうございます!

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

処理中です...