道楽草

十三岡繁

文字の大きさ
95 / 341

改善できない国

しおりを挟む
 私の本業は建築士なので、一番身近な法律となれば建築基準法になる。

 建築基準法は弁護士の方と話しても、最も難解な法律のひとつだと言われる。日々業務で触れていて、世間的には専門家とされる我々ですら、その解釈に戸惑うことがしばしばだ。

 それ自体問題があると思うが、この昭和25年に作られた法律は、継ぎはぎしながら今でも使われ続けている。当然内容はおかしなところがたくさんある。

 中でも建築に携わる人間であれば、最も納得できない基準として排煙をあげる人が多いと思う。

 内容を簡単に言えば、火災時に煙が外に有効に排出できる窓等が必要だというものだ。大きな施設や不特定多数が使用する建物であれば納得できる部分もあるが、住宅であっても規模によってはこの法律が適用される。

 窓に関しての規定は換気用に床面積に対する換気上有効な窓の設置が義務付けられるので、個人的には住宅の場合こちらだけで十分だと思う(排煙用の窓と違うのは煙の排出と言う事で、排煙上有効な窓は部屋上部にないといけない)。

 もちろん実際の火災時に家の窓を開けて逃げる人なんていないので、実効性はどうなんだとも思う。消火活動時に窓を割って煙を外に排出する事はありそうだが、ならば鉄の扉や天窓を有効とするのはおかしいだろう。実効性がないので、基準も良く分からないものになる。判断に迷っても、根本的な理屈に納得できていないので、どうして良いのかがわからない。そんな曖昧な感じなので、細かい部分では審査する方の判断も行政によってまちまちだ。

 ただ一番の問題は、建築基準法に限らず、それら現場ではおかしいと思われている事が、改善していける仕組みがないことだと思う。人の作るものに完璧なものは存在しない。だからこそ改善していける仕組みが必要だ。扶養制度も年金制度も社会保険制度でもなんでも一緒だ。

 この歯車の組み合わせを考えるのが本来の政治の役目であるのに、一生懸命に回すことだけをしようとしている。老朽化して装置自体が不具合を起こすのは時間の問題だろう。

 ブツブツ独り言で文句を呟いていても何も変わらないので、日々自分には何ができるのかを考えている。考えるだけではなく、少しは実行しているつもりでもあるけれど、中々に壁は厚くて高い。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...