道楽草

十三岡繁

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 お金という概念はいつ頃できたのだろうか? 世界的に言われているのは2~3千年前で、日本で初めて作られた貨幣、和同開珎は1300年前のものらしい。もしかしたら漫画に出て来るように石でできた貨幣を石器時代の人間も使っていたのかもしれないし、お金の存在自体はかなり古い物に間違いないだろう。

 しかしそれらはいつの時代でも、物理的な実体を伴ってきた。貨幣が紙幣に変わったのは革命的だったと思う。製造コストを遥かに上回る価値を紙幣は持っている。もうそれは信用取引の証書みたいな物だろう。そこまできたところで既にお金は将来概念化する運命にあったと思う。銀行から銀行へお金を振り込んだとしても、現金がやり取りされているわけではない。単に信用という情報が交換されているだけだ。コストも手間もあまりかからない。

 当然最近のキャッシュレス化も避けようのない流れだったのだろう。もうお金というものは個人レベルでも信用の情報をやり取りする、完全な概念の様な物になってしまった(日本はまだ物理的に残ってはいるものの)。しかしこれは人間社会にとっては、かなり激しい変化ではないかと思う。お金に関して紙幣登場以来の革命だ。情報だけのやり取りである限り、外部から手を加えられてどうこうされる可能性も大きくなる。一昔前であれば三億円事件の様にお金を強奪するにしても手間がかかった。物理的な存在なので盗んだ方も運搬や保管方法など色々と苦労が多かっただろう。何より現金を盗むには、実際にその場に行って物理的な犯罪行為を行わなければならないのだから、リスクがかなり高い。

 しかし今やネット上の情報を操作すればお金と同等の価値を入手する事が可能になってしまった。トップの道徳観が国際常識から外れた国であれば、そういった技術者を国家を挙げて育成して、外貨を稼ぐなんて事を本気でしているかもしれない。この世界の急激な変化に対応するには、本当は日本も国を挙げてセキュリティ対策をしていくというのが必須であり急務だったのだろう。しかし残念ながらこの国は、知ってか知らずかその部分を長らく見て見ぬふりをしてしまった。

 ここのところ、金融関係でシステムの不具合がニュースでよく報道されている。それは単なる技術的な不具合というだけではないだろう。順当に考えれば海外からのネットを使ったサイバー攻撃が、トラブルの発端になっていると思ってしまう。今やネットを使った攻撃は核ミサイル並みの破壊力を持っているような気がする。それは物理的な破壊ではなく情報や信用を破壊して行く。そうして情報通信が現代社会の基礎部分になってしまったが故に、その上に構築されている実社会も破壊されて行くのだ。

 後れをとってはしまったものの、早く本気で国を挙げてネットに精通した技術者を、質も量も養成すべきだと思う。しかし今の所あまりそんな声は聞こえてこない。それこそ異次元ぐらいの意気込みでやって欲しい。自分が情報弱者になりつつある今、とてもとても心配である。
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