道楽草

十三岡繁

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幾億年

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 ネットで自分で書いた小説を公開するようになってから、どれくらいの時間が経っただろうか? 一番最初の話の公開日時を見ると、もう2年以上前になるようだ。小説を書き始めたのは更にその1年ぐらい前かと思う。とりあえず書くだけ書いてみたものの、誰にも読んでもらえなければそれは寂しい。公募にも出す様になったが、審査する人以外には賞を取らない限り読んでもらえない。身近な人に読んでもらうにも多分迷惑だろうから、ネットで公開するようになったのは必然かもしれない。

 ネットで公開すれば、数は多くなくとも読んでくれる人がそれなりには現れる。そうして一度ネットの海に流れ出れば、情報を拾われたりどこかのアーカイブに格納されたりして、日の目をみなくてもデータとしては延々とどこかに残る事だろう。たとえ塵のような存在であっても、人類の歴史に足跡を残す事が出来たと自己満足ができる。

 しかし、この一旦ネットに流れた情報は、今後何年この世界に残ることができるんだろうか? 人類が滅んだとしてもアーカイブされた情報は残るかもしれない。いや、多分人類の存続と情報の存続であれば後者の方が遥かに期間が長いような気がする。例えば小説程複雑な情報でなければ、そう、仮に石を二つに割ったとしよう。その行為の痕跡は、きっと地面がマントルに飲み込まれるまで残るだろう。それは数億年単位の話だ。小説位の複雑な情報になればそこまでの存続性は望めないのだろうか?

 例えばそのデーターを電気信号という形に直して、宇宙に向けて発信すれば、どんどん電波は微弱になって行くものの、完全にはゼロにならないような気がする。同じような事を考えて、どこかの星の誰かが、外宇宙に向けて自分の作り出したものを、信号に変えて発信し続けているなんて事はないだろうか?

 現在ハッブル宇宙望遠鏡の後釜で、ジェイムズ・ウエッブ宇宙望遠鏡が地球の衛星軌道を周回している。詳しくは知らないが赤外線を中心とした光学望遠鏡だと理解している。光学的には情報を信号に変えたものは捉えられないかもしれない(そういう文明もあるかもしれないが)。そうして調べてみると電波天文衛星というものもあって、現在では結構な数が運用されているらしい。電波と言っても天体観測が主な目的だとは思うが、将来分解能が上がった場合、宇宙のどこかの星で書かれた物語の信号なんてものを、受信して解析できる日が来るのかもしれない。
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