道楽草

十三岡繁

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旧帝国ホテル

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 日本の建築業界には今まで様々な愚行があったと思いますが、私が一番だと思うのはフランク・ロイド・ライトが設計した、帝国ホテルの解体ですね。都心の超一等地なのに、客室数が少なくて勿体ないというのが一番の理由だったみたいですが、どっちが勿体ないのでしょうか? 日本においては建築という文化に対してのリスペクトはそのレベルというのがどうにも悲しくなります。今もそれは大差ない気がします。

 とにかくライトの帝国ホテルは関東大震災にも耐えて、東京大空襲でも被害部分を修復して……最後は経済至上主義に耐えられず解体されてしまったわけです。別に経済性を重要視するのが悪いとは言いませんが、あれはちゃんと管理して修繕を続けて行けば、大げさではなくローマのパンテオンやコロッセオ、もっと言ってギザのピラミッドに匹敵するくらいの観光資源になっていたでしょう。結構本気で今でもそう思ってます。
 ホテル機能の拡張なんて周辺の土地を使えばいいでしょう。コルビジェの国立西洋美術館は世界遺産になりましたが、あと数十年もすれば帝国ホテルもそうなっておかしくないレベルだったと思います。

 現在エントランス部分だけは愛知県の明治村に移築されて残っていますが、なぜ私がここまで書くのかは、それを見た人には理屈ではなく、感覚的に分かるんじゃないかと思います。そこまでは言いませんが福岡市内でも、西日本シティ銀行本店という建築界のノーベル賞と言われるプリッカー賞も受賞した、大分出身の建築家故磯崎新氏が設計した建物がありました。これも老朽化と、容積率が勿体ないとのことで壊されてしまいました。その歴史を引き継いだ建物が建つならともかく、全く関係ない現代的なビルが建ちます。もちろん観光名所になる様な力はそこにはありません。別に権威とか名前とかに引っ張られているわけでは無いです。その建物が消え失せた事を寂しく思っている福岡の人は結構多いと思います。

 そのうち老朽化と再開発で、金閣寺や法隆寺も壊す時代が来るんでしょうか? 今はそんな事を言ってもジョークにしか聞こえないのはせめてもの救いです。代々木体育館辺りは怪しいですね。
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