山吹アマネの妖怪道中記

上坂 涼

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天狗大戦争

いちごパフェを食べるために

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 黄泉と現世を繋ぐ門前にて。
「また遊びに来い。姉さんの友人となれば、いつでも大歓迎だ」
「あの子にもよろしく言っておいてくださいね。私達は元気にしてると」
「おう。テラ公も同じことを言っていたよ。元気にしていると伝えてくれってな」
 当主二人と野沢が別れ際の挨拶を交わす中、アマネは神妙な顔を浮かべて紫がかった世界を眺めていた。門は丘の上ということもあって、その景色を一望出来る。
「アマネ。そろそろ帰るぞ」
 彼女の隣に相棒が並ぶ。少しの間、二人で一緒に景色を見つめた。彼女が言葉を発するのを待っていると、そっと手を結んでくる。
「私達って、こんなにも弱かったんだな」
「ああ」
「こんなにも中途半端だったんだな」
「そうだな」
「私、もっと頑張るよ」
「俺も頑張る」
「これからも一緒にいてくれるか?」
「おう」
 二人にとって今回の戦いは、己の未熟さを思い知らされる辛くて苦しいものだった。完全無欠のヒーローの如く、悪を打ち砕くことは出来なかった。実際に起きたことと言えば、相手の力にただひたすら圧倒され、好きなようになぶられただけ。話の中心に自分たちはおらず、崇徳と相模坊、スサノオとイザナミの四人がスポットを浴びていた。二人にとっては、実に得も言われぬ結果のまま。
 自分たちは特殊な力を持とうとも、漫画の中の主人公には程遠いのだ。それは能力の話だけでなく、心の強さも然り。
 今回は中途半端な行動が特に目立っていた。その場の感情に左右され、適切な対応をすることが出来ない場面ばかりだ。そのような心持ちで、事が上手く進むはずもなく。途方もないほど無様な結果で終わるのは当たり前の話だった。
「まずはお前の家族を供養してやらないとな」
「うん。けどその前に、警察からの事情聴取が先デスね」
 二人は崇徳と相模坊とは、あれから一度も口を聞かなかった。野沢とアマネを門前まで運んでくれた君主二人が、戦いを繰り広げたあの地で待つよう崇徳達に言ったため、この場にもいない。
 本当に良かったのか。そう彼女に聞くのも野暮な話だった。
 もうそうやって決めたのだから、貫くしかない。いつか傷口が傷跡へと変わった時、アマネが自ら罪滅ぼしの内容を彼らに提案することだろう。
「そろそろ行こうか」
 アマネが野沢の手を引いて、門前へと進もうとする。
「いちごパフェはどうする?」
 一旦立ち止まり、野沢は彼女にそう問うた。
「それをお前と食うために、頑張るんだよ」
 それは彼女が見せる久方ぶりの力強い笑みだった。野沢は何も言わず、目を閉じて静かに笑った。
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