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6、
しおりを挟むガシャーン!!!!
大きな音を立てて、食器が、料理が床に散らばる。
その床に、私自身も手をついて倒れ込んでいた。幸い、料理は冷めていて火傷の心配はないけれど。
(ああ、制服が汚れてしまったわ……)
洗って落ちるだろうか?最悪買い替え無いと……などとどこか他人事のように呆然と考えていたら。
「この泥棒猫!」
叫び声で顔を上げた。
目のまえには鬼の形相のメリッサ。私の妹。
私と同じ白銀の髪を振り乱し。
私の茶眼と異なる紫の瞳を揺らしながら。
彼女は怒りを顕にしていた。
けれど私には分からない。彼女が何に怒っているのかを。
どうして、彼女は怒ってるのだろう?
学園の昼食時間。
私はいつも通りアイラや他の学友と共に学食に来ていた。いつもと同じ場所に座り、楽しく談笑しながら食べていただけなのに。
突然視界が陰って何かと顔を上げた瞬間。
ドンと押される体。宙に舞う料理。
全てはスローモーションだった。
ゆっくりと、けれど一瞬。
避ける事もままならないまま、私は床に倒れ込み、落ちて来た料理まみれになったのだ。
そして目の前の存在に、メリッサに泥棒猫と叫ばれたのだ。
「メリッサ……一体……」
どうしたの?
言葉は続かなかった。
頬に感じた痛みに止められた。
メリッサが私の頬を叩いたのだ。口の中に鉄の味が広がる。どうやら切って血が出たようだ。
「フィリア、大丈夫!?メリッサ、貴女一体何を──!!」
「部外者は黙ってて!!」
アイラが抗議の声を上げようとして、けれどメリッサの一喝で言葉を失う。
一瞬アイラに向いたメリッサの視線は、すぐに足元の、私へと向く。
「このあばずれ、淫乱女!そんなに人の男が欲しい!?」
「な、何を……」
「さっき!中庭でエディとお話ししてたのよ!」
それは知ってる。
メリッサは毎日のようにエドワード王子と共に居る。それは当然のように昼食時も同じで、天気のいい日はいつも二人は中庭で食事をしていることは。私じゃなくても学園中の皆が知っていた。
だから私はそれを邪魔しないように、中庭に近寄らないようにしていたというのに。
一体何を怒ってるか分からず、戸惑っているとメリッサが言葉を続けた。
「エディが……エディが!もっとお姉様を見習えって!もう少し色々勉強しないと大変だよって!」
それは……言われても仕方ないと思う。
メリッサは、学園に入ってから碌に勉強してないのが見て取れた。
授業中どうしてるのか知らないが、従業終了の鐘と同時に王子の教室へダッシュ。
それから次の授業まで王子とベッタリ。
まあそれはいい。
だが、時に授業に出る事もしてないと聞いた。どうやらこっそり王子の様子を見ていると言うのだ。
それには流石の王子も苦笑し。教師も──学園もあまりいい顔をしてはいなかった。
とはいえ第一王子の婚約者。後継と決まったわけではないが、このままいけば王太子となり王となる人の婚約者なのだ、あまり強く言えないのがメリッサを増長させる結果となってしまったのだ。
当然、彼女は家でも勉強などしない。
家に帰れば己磨きとせっせと美貌を磨く日々。そのかいあって彼女は確かに美しい。
けれど。
もしかしたら後の王妃となるかもしれない人物が無学でいいわけもなく。
だからこそ、王子はメリッサに苦言を呈したのだろう。
なのに、それがなぜ私への暴言となるのだろう?さっぱり分からなくて首をひねってしまった。
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