26 / 72
学園編
エリアストの贈り物
しおりを挟む
商人率いるキャラバンの行く先は、とある公爵邸。筆頭を掲げるだけあって、その嫡男の婚約者への贈り物を見繕うために呼ばれた商隊は、まさにキャラバン。まだあまり知られていない商会であったが、その品質にいち早く目を付けた筆頭公爵家の夫人が、店の物を丸ごと持って来いと命じた結果だ。
しかし商会の会頭は、嬉しさよりも恐ろしさの方が上回っている。それはもちろん、嫡男の噂のせいだ。冷酷、残酷、残忍。気に入らなければ首と胴体がお別れするかもしれない。だが会頭は、それならそれでいい、ともどこかで思っていた。なぜなら、商品は自分のすべてを賭けて厳選しているからだ。それが認められないと言うことは、商才を否定されることにつながる。商人として生きられないのなら、死んだも同じ。まだ二十代前半であるにもかかわらず、数店舗の店を切り盛りするだけの腕とプライドはあった。
広大な敷地に停められた馬車から次々と大ホールへ商品が運ばれていく。やっとすべての商品を並べ終え、準備が整ったことを執事に伝えると、少しして公爵夫人とその嫡男が現れた。その姿に、会頭始め、サポート役で残した二人の従業員は固まった。
なんという美しさだ。
月のように輝く銀色の髪に、春の空のような透き通った水色の瞳。だがその瞳はなぜか冬の海を思わせるほど、凍てついた印象だ。しかしその美貌には、その冷たさがひどく似合っていた。
執事の咳払いに、ハッと我に返る会頭たちは、慌てて礼をする。
「本日は我がネフェル商会のご利用、恐悦至極に存じます。会頭のティティと申します。こちら二人はサポート役として連れて参りました。ディレイガルド公爵令息様のご婚約者様のご卒業とお誕生日に贈るお品とのこと。商会の威信を賭けて、必ずやご満足いただける品をお持ちいたしました」
夫人が嬉しそうにゆっくり頷き、エリアストの背中に手を添えた。
「エリアスト、しっかり選びなさいな」
エリアストは頷くと、商品の方へ足を向けた。夫人は側のソファに座ると、ティティを呼び寄せる。
「いいこと、エリアストに話しかけてはダメよ。向こうから声をかけられたことにのみ、簡潔に答えるの。距離は必ず五メートルは取るようになさい」
わかったわね、と夫人に念を押され、ティティは一礼してエリアストの方へ向かった。それを見て、夫人はサポート役にあれこれと注文をして自分の元へ商品を並べさせながら、買い物を楽しんだ。
一方エリアストは。
愛しい大切な人への贈り物。綺麗に陳列された商品を一通り見て回ることにした。正直なところ、品物の善し悪しというものはわからない。だが自分の母親が推している商会。どれを選んでも間違いはないだろう。
商品を三分の一ほど見たあたりだろうか。エリアストはひとつの商品を手に取った。その商品を見て、ティティは目を丸くした。
「会頭、これは髪飾り、でいいのか」
「はい。東の国のものです。かんざし、と言います」
この国の貴族たちは、華美を好む。しかしこのかんざし、派手さはないが、意匠を凝らした逸品なのだ。一本かんざしというタイプのかんざしで、棒の部分は黒く、桜の花弁が無数に彫り込まれている。先端には、七連、五連、三連になった銀製の桜の花が二本ずつ、チャームとなって揺れている。光があたる度、棒部分に彫り込まれた桜の花弁が不思議な色をゆらめかせ、チャームの桜を幻想的に彩る。チャームは揺れる度にシャラシャラと美しい音を奏で、妖精が囁いているようだ。
「どう使う」
ティティはサポート役を一人呼び、実際に使い方を見せた。
「エルシィ、エルシィ」
いつも通りアリスを迎えに行きエリアストの部屋に入ると、いつも通りアリスをソファに座らせた。しかしいつもであればすぐ隣に座ってしばらくまったりするのだが、エリアストは机の引き出しから美しい箱をひとつ、そしてアリスの前に膝をついた。
「これ」
「まあ、なんて美しいのでしょう」
薄い木に彫刻が施されている。ちょうどネックレスが収まるサイズの長方形の箱は、四方を囲む短辺と長辺の一辺ずつと、フタの部分の四分の一から四分の三あたりを斜めに分割した半分に、見事な桜が彫り込まれていた。
「いや、エルシィ、中を。中を見て欲しい」
「中、ですか」
箱自体が芸術品のようで、入れ物だと思わなかった。何より、何かが入っていると思えないほど軽いのだ。
どこから開けるのか少し考え、スライドさせるものだと気付く。
「エル様、これ…」
「エルシィ、卒業式で着けてはくれないだろうか」
アリスは飛びつくように、その首に抱きついた。
「エル様、嬉しい、嬉しいです。ありが……うれし…」
涙声になるアリスの背に手を回し、優しく撫でた。そしてゆっくりその体を離すと、流れる涙にくちづけた。
アリスの喜びの涙は、とても温かい。エリアストは微笑んだ。
「本当に美しいな、エルシィ」
エリアストは、箱ごと愛おしそうに抱き締めるアリスをそっと抱き締め、頬に、耳に、首筋にくちづける。アリスと視線を合わせると、そっと唇が重なった。
「エルシィ、これ、つけていいか」
箱を抱き締める手に、エリアストの手が重なる。
「エル様がつけてくださるのですか?ふふ、嬉しいです」
エリアストは鏡をアリスの前に置き、自身はアリスの後ろにまわると、アリスの髪をほどいた。星空色の髪がさらりと揺れる。その髪を一房取ってくちづけると、鏡越しのアリスと視線が絡み合う。真っ赤になったアリスが恥ずかしそうにそっと俯く。
「エルシィ」
アリスの顎に手を当て、首を上向かせると、そのままくちづけた。
「きちんと顔を見せないとダメだろう」
「は、はいぃ」
再びエリアストの手が髪に触れる。丁寧にまとめられていく。
「エル様、器用ですわ」
「これの使用法を教わる時に見ていたからな」
「見ただけで出来ることが凄いのです、エル様」
クスクス笑うアリスに、エリアストも微笑む。
「わたくしのためにしてくださったことが、本当に嬉しいのです。エル様、ありがとうございます」
エリアストは応えるように、アリスの頭にキスを落とし、最後にかんざしを挿した。
「まあぁ」
アリスは感嘆の息を漏らす。かんざしが見えるようにまとめてくれたおかげで、繊細な意匠とチャームが織り成す芸術を、鏡越しに味わえた。
「なんて素晴らしいのでしょう」
うっとりとかんざしを見つめていると、エリアストが鏡とアリスの間に入った。
「エル様?」
「とてもよく似合っている」
そう言ってアリスの唇を塞いだ。何度も何度も角度を変え、アリスが酸欠寸前になるまでそのくちびるを貪った。
「だが、私以外に目を奪われているのは面白くないな」
くったりとエリアストの胸に凭れかかるアリスの耳元で、甘く囁いた。
*おしまい*
しかし商会の会頭は、嬉しさよりも恐ろしさの方が上回っている。それはもちろん、嫡男の噂のせいだ。冷酷、残酷、残忍。気に入らなければ首と胴体がお別れするかもしれない。だが会頭は、それならそれでいい、ともどこかで思っていた。なぜなら、商品は自分のすべてを賭けて厳選しているからだ。それが認められないと言うことは、商才を否定されることにつながる。商人として生きられないのなら、死んだも同じ。まだ二十代前半であるにもかかわらず、数店舗の店を切り盛りするだけの腕とプライドはあった。
広大な敷地に停められた馬車から次々と大ホールへ商品が運ばれていく。やっとすべての商品を並べ終え、準備が整ったことを執事に伝えると、少しして公爵夫人とその嫡男が現れた。その姿に、会頭始め、サポート役で残した二人の従業員は固まった。
なんという美しさだ。
月のように輝く銀色の髪に、春の空のような透き通った水色の瞳。だがその瞳はなぜか冬の海を思わせるほど、凍てついた印象だ。しかしその美貌には、その冷たさがひどく似合っていた。
執事の咳払いに、ハッと我に返る会頭たちは、慌てて礼をする。
「本日は我がネフェル商会のご利用、恐悦至極に存じます。会頭のティティと申します。こちら二人はサポート役として連れて参りました。ディレイガルド公爵令息様のご婚約者様のご卒業とお誕生日に贈るお品とのこと。商会の威信を賭けて、必ずやご満足いただける品をお持ちいたしました」
夫人が嬉しそうにゆっくり頷き、エリアストの背中に手を添えた。
「エリアスト、しっかり選びなさいな」
エリアストは頷くと、商品の方へ足を向けた。夫人は側のソファに座ると、ティティを呼び寄せる。
「いいこと、エリアストに話しかけてはダメよ。向こうから声をかけられたことにのみ、簡潔に答えるの。距離は必ず五メートルは取るようになさい」
わかったわね、と夫人に念を押され、ティティは一礼してエリアストの方へ向かった。それを見て、夫人はサポート役にあれこれと注文をして自分の元へ商品を並べさせながら、買い物を楽しんだ。
一方エリアストは。
愛しい大切な人への贈り物。綺麗に陳列された商品を一通り見て回ることにした。正直なところ、品物の善し悪しというものはわからない。だが自分の母親が推している商会。どれを選んでも間違いはないだろう。
商品を三分の一ほど見たあたりだろうか。エリアストはひとつの商品を手に取った。その商品を見て、ティティは目を丸くした。
「会頭、これは髪飾り、でいいのか」
「はい。東の国のものです。かんざし、と言います」
この国の貴族たちは、華美を好む。しかしこのかんざし、派手さはないが、意匠を凝らした逸品なのだ。一本かんざしというタイプのかんざしで、棒の部分は黒く、桜の花弁が無数に彫り込まれている。先端には、七連、五連、三連になった銀製の桜の花が二本ずつ、チャームとなって揺れている。光があたる度、棒部分に彫り込まれた桜の花弁が不思議な色をゆらめかせ、チャームの桜を幻想的に彩る。チャームは揺れる度にシャラシャラと美しい音を奏で、妖精が囁いているようだ。
「どう使う」
ティティはサポート役を一人呼び、実際に使い方を見せた。
「エルシィ、エルシィ」
いつも通りアリスを迎えに行きエリアストの部屋に入ると、いつも通りアリスをソファに座らせた。しかしいつもであればすぐ隣に座ってしばらくまったりするのだが、エリアストは机の引き出しから美しい箱をひとつ、そしてアリスの前に膝をついた。
「これ」
「まあ、なんて美しいのでしょう」
薄い木に彫刻が施されている。ちょうどネックレスが収まるサイズの長方形の箱は、四方を囲む短辺と長辺の一辺ずつと、フタの部分の四分の一から四分の三あたりを斜めに分割した半分に、見事な桜が彫り込まれていた。
「いや、エルシィ、中を。中を見て欲しい」
「中、ですか」
箱自体が芸術品のようで、入れ物だと思わなかった。何より、何かが入っていると思えないほど軽いのだ。
どこから開けるのか少し考え、スライドさせるものだと気付く。
「エル様、これ…」
「エルシィ、卒業式で着けてはくれないだろうか」
アリスは飛びつくように、その首に抱きついた。
「エル様、嬉しい、嬉しいです。ありが……うれし…」
涙声になるアリスの背に手を回し、優しく撫でた。そしてゆっくりその体を離すと、流れる涙にくちづけた。
アリスの喜びの涙は、とても温かい。エリアストは微笑んだ。
「本当に美しいな、エルシィ」
エリアストは、箱ごと愛おしそうに抱き締めるアリスをそっと抱き締め、頬に、耳に、首筋にくちづける。アリスと視線を合わせると、そっと唇が重なった。
「エルシィ、これ、つけていいか」
箱を抱き締める手に、エリアストの手が重なる。
「エル様がつけてくださるのですか?ふふ、嬉しいです」
エリアストは鏡をアリスの前に置き、自身はアリスの後ろにまわると、アリスの髪をほどいた。星空色の髪がさらりと揺れる。その髪を一房取ってくちづけると、鏡越しのアリスと視線が絡み合う。真っ赤になったアリスが恥ずかしそうにそっと俯く。
「エルシィ」
アリスの顎に手を当て、首を上向かせると、そのままくちづけた。
「きちんと顔を見せないとダメだろう」
「は、はいぃ」
再びエリアストの手が髪に触れる。丁寧にまとめられていく。
「エル様、器用ですわ」
「これの使用法を教わる時に見ていたからな」
「見ただけで出来ることが凄いのです、エル様」
クスクス笑うアリスに、エリアストも微笑む。
「わたくしのためにしてくださったことが、本当に嬉しいのです。エル様、ありがとうございます」
エリアストは応えるように、アリスの頭にキスを落とし、最後にかんざしを挿した。
「まあぁ」
アリスは感嘆の息を漏らす。かんざしが見えるようにまとめてくれたおかげで、繊細な意匠とチャームが織り成す芸術を、鏡越しに味わえた。
「なんて素晴らしいのでしょう」
うっとりとかんざしを見つめていると、エリアストが鏡とアリスの間に入った。
「エル様?」
「とてもよく似合っている」
そう言ってアリスの唇を塞いだ。何度も何度も角度を変え、アリスが酸欠寸前になるまでそのくちびるを貪った。
「だが、私以外に目を奪われているのは面白くないな」
くったりとエリアストの胸に凭れかかるアリスの耳元で、甘く囁いた。
*おしまい*
306
あなたにおすすめの小説
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。
でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。
もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……?
表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。
全年齢作品です。
ベリーズカフェ公開日 2022/09/21
アルファポリス公開日 2025/06/19
作品の無断転載はご遠慮ください。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
あなたの愛が正しいわ
来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~
夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。
一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。
「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」
悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」
「……あぁ、君がアグリア、か」
「それで……、離縁はいつになさいます?」
領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。
両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。
帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。
形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。
★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます!
※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる