乙女ゲームに転生したので、推しの悲恋EDを回避します〜愛され令嬢は逆ハーはお断りです!

神城葵

文字の大きさ
52 / 93
本編

王太子妃候補、独走中。

しおりを挟む
 居づらい。学園の居心地は、最高に最悪だ。

 サフィール・ルーチェ学園は、若い貴族達の社交界でもある。王族が通うと、選ばれた生徒達が「御学友」の栄誉を受ける。現在はリヒト殿下の学友がシルヴィス(と、あと二人か三人いるらしい)、エージュの学友が私。

 私は、その「御学友」の栄誉――しかもエージュの御学友は私だけだ――に加えて、王太子妃候補の筆頭だった。過去形です。今は、王太子妃候補も、私だけになった。
 リースル達は、リヒト殿下の意が私にあると知ってからは、私の取り巻き状態だ。王太子妃の友人となれば、結婚相手の選択肢は広がる。

 エージュと一緒の時は、リースル達も遠慮して近づかない。けれど、そうなるとリヒト殿下が私に話しかけることが増えるのだ。殿下はエージュを優先しているつもりでしょうけど、周りから見たら、妹をダシに私に話しかけているようにも取れるのよ!

 そんな私の、最近の主な話相手は、シルヴィスだったりする。エージュはまた何か考えているらしくて、私には「あなたを困らせたりしないから」と笑うだけだ。私は、エージュの役に立てないのかな……。

「そんなことはない。逆だ」

 リヒト殿下の名で利用申請した(躊躇いがなかったので、常習だと確信している)貴賓室で、シルヴィスは珈琲を淹れてくれながら、私の溜息を否定した。私は紅茶派だったんだけど、シルヴィスの淹れる珈琲はおいしい。砂糖もミルクもなしで飲めるくらいにおいしい。今度、ローランにも飲ませてあげたい。

「逆?」
「そう。君がいるから、エルウィージュは何でもする。君の為になることを考え、実行する。君の為にならないことは、思いついても実行しないし、誰かが実行しようとしたら阻止する」

 エージュの生きる意欲、源は私だと言うと、シルヴィスは自分のカップに口をつけた。会心の出来らしく、少し微笑む。今日も、あなたの珈琲は間違いなくおいしいですよ。……これも、ブラックコーヒーを飲めなかったリヒト殿下の苦手克服の為にと、習得した技術でしたっけね……あなたの愛は深くて広いわ。前は狭かったのに、最近は私やエージュにも優しい。お願い、デレないで。

「どうして断言できるの?」

 悩み相談するうちに、私のシルヴィスへの口調はかなり砕けている。あちらも素を出すようになってきたので、イーヴンではある。

「私にとってのリヒトが、エルウィージュにとっての君だからだ」

 何という説得力。血縁は薄いはずなのに、エージュとシルヴィスはよく似ている。

「シルヴィスって、リヒト殿下を愛しちゃってるの?」

 私の遠慮ない質問にも、シルヴィスは肩を竦めるだけで怒らない。デレてるからですか。もうどうしようもないし、彼はリヒト殿下を優先するから、別にいいけど。

「愛してはいる。大切な従弟だ。だが、恋情ではない」

 公式説明と微妙に違うなあ。いいのよ、取り繕わなくても。私は私に関係しないところでなら、薔薇も百合も両刀も、個人の自由だと思っているもの。

「君とエルウィージュだってそうだろう。お互いを愛しているが、恋ではない」
「そう言われると」
「納得したか?」
「私のエージュへの友情が、友愛スレスレのヤバいものなのかと思うと」
「……時々、君は意味不明のことを言うな」

 シルヴィスが小さく笑う。それは、美玲が持っているゲーム知識について語っている時なんだけど、そこまでは言えない。このことを明かしているのは、ローランとエージュだけだ。

「ああ、そういえば。クルムバッハ公爵の処遇が決まった」
「早いのね」
「リヒトを廃嫡する動きにも加担していたからな。大神官様が、二番目に処分すると決めておられた」

 ちなみに、最優先で処罰されたのはナルバエス大公パラメデウス。シルヴィスの父上だ。
 処分は、大公位をシルヴィスに譲ることと、自邸での軟禁。宰相職は正式に解かれ、現在はアトゥール殿下の就任待ちになっている。

 自邸での軟禁になったのは、シルヴィスが監視しやすいようにする為。長年宰相職にあり、また大公家の当主だった彼には、私的な繋がり――裏稼業の方々を含む――があるからだ。遠方に軟禁して、知らない間に策謀されたのではたまらないと、シルヴィスが申し出た。結果、パラメデウスさんは、おはようからおやすみまで、すべてを息子に監視されている。

 シルヴィスが見たいと思った時、あちらの意志は関係なく、パラメデウスさんの状況が見え、聞こえるように、映像ヴィジョン漏洩リークを組み合わせて、監視記録撮影モニタリング・ケルベロスという術が常時発動中だ。これ、魔力はシルヴィスのものだけど、律を編んだのはローラン。よって、誰にも解呪できない。魔力消費は小さく効果は大きい上、絶対に破棄できないという、コスパのよろしい魔法になっている。

 そして、同じ監視魔法が、ギルフォード陛下にもかけられた。こちらも、術者はシルヴィス。リヒト殿下に負担をかけたくないとのことです。あなたは本当に従弟が好きですね。
 二人にかけた魔法は、「術者がシルヴィス一人」なので、「連携コネクト」も使った。ギルフォード陛下とパラメデウスさんを、シルヴィスが「連携」で繋いだことで、双方が通じようとすれば、術者――シルヴィスにバレる仕組みだ。
 どこまでも自分の父を信じていないシルヴィスが、ギルフォード陛下とパラメデウスさんの動きを完全に把握し、相互連絡できないようにする魔法はないかとオリヴィエに相談し、レフィアス様が授けて下さった。

「処分は?」
「爵位の剥奪と、家名の断絶だ。アルドンサはヴェルフ尼僧院に入る。クルムバッハ公爵は、ただの「アルブレヒト・クルムバッハ」として裁かれることになる――王太子廃嫡に加担した罪だけでも、終身刑は確定だ」

 つまり、アルドンサは還俗できないということだ。貴族御用達の尼僧院なら、お金さえ積めば大抵は還俗可能だけど、ヴェルフ尼僧院――国内で最も戒律に厳しいとされるあの尼僧院じゃ、無理だ。
 ヴェルフ尼僧院は、前王朝で直系の王位継承者が絶えかけた時、先に尼僧院に入っていた直系の王女を還俗させてくれという嘆願すら拒否した逸話がある。
 当時の尼僧院長は「国が滅んでも、民は滅びぬ。まして、たかが王朝の変更ごとき、何の問題がありましょうや」と強硬に突っぱねた。もちろん、信心深い王女様自身が「尼僧のままがいい! 王位など嫌!」と拒否したからでもある。
 その結果、傍系のカイザーリング家が王位を継ぎ、ヴェルスブルク王国は王朝を変えて続いている。

「かなり、厳しい処分ね」
「ギルフォード陛下と、父上を厳しく咎められない分も、クルムバッハ家に加算されてしまったな。申し訳ないとは思う」

 殊勝な口調だが、賭けてもいい。絶対「うちの分まで押し付けてサーセンwww」程度の気持ちだ。

「それより、君だ。……どうする?」
「…………」

 私は黙って珈琲を飲んだ。シルヴィスの問いかけは、リヒト殿下とのことをどうするか、という質問で。

 実際のところ、こうしてシルヴィスとの茶話会イベントが発生している時点で、リヒト殿下のルートに入ってしまっている。ここから殿下のルートを脱するには、バッドEDを迎えるしかない。だけど、そうなったらローランとも会えなくなる。
 何せ、リヒト殿下ルートのバッドは、「即位の日、他国の賓客に紛れた暗殺者から殿下を庇い、来世での巡り会いを誓いながら死亡」なのである。ルートに入る前なら、他のバッドもあった。でも、殿下の好感度が最高レベルの場合は、この悲恋EDしかない。

「……君が、リヒトではなく神竜王陛下を好いていることは、わかっている。リヒトもだ」
「……はい」
「その上で、リヒトは君に恋している」

 そう言って、シルヴィスは私を見た。でもねえ、リヒト殿下の好意はゲームに沿ったもの……じゃ、ない。エージュの出生のことも、シルハークを「私が」退けることも、ギルフォード陛下を断罪することも、何もかも、「華寵封月」とは違っている。

 そのことに今更気づいて、私は心臓が凍った気がした。私自身の選択が、行動が――無意識に、リヒト殿下ルートへと繋がっている。

 嫌だ、違う、私が好きなのはローランだもの。リヒト殿下のことは、嫌いじゃないけど、異世界転生をあっさり受け入れるほど好きでもない。この異常事態を受け入れられたのは、ローランを幸せにするという目的があったからだ。

「……想っていない相手からの恋情は、重いか? 君を、苦しめるか? ならばそう言え。そうすれば、リヒトは自分の感情を殺す」

 でもそれは、シルヴィスが愛してやまない、明るく闊達で裏表のないリヒト殿下を殺すことだ。

「……させないくせに」
「そうだな。君がそんなことを口にする前に、私は王太子妃決定の公布を出すよ。枢密院の名を使ってね」

 私の抗議を簡単に受け止めて、シルヴィスは困惑したように呟いた。

「だが、君の意志も尊重したいと思っている。私の最優先はリヒトだが」

 うん、知ってる。知ってるけど、改めて堂々と言われると、ちょっと怖い。

「君に、友情めいたものを感じていることも事実だ」

 それは、私にはリヒト殿下への盲愛を隠さなくていいから、ラクなだけではないでしょうか。とはいえ、私もシルヴィスに友情っぽいものを覚えている。

「いっそ、神竜王陛下が君をさらってくれればいいのだが。……亜界では、人は生きられないのだったか」

 事実そうなんだけれど、そうじゃなくても――ローランは、私をさらったりしない。そんな愛し方を、彼は知らない。

「リヒトは、君のことは諦めていた。君の気持ちがどなたにあるかはわかっていたからな。ただ、あの一瞬だけ、咄嗟のことで自制ができなかった」

 レフィアス様は、それを狙った。リヒト殿下の迷いを、公にする為に。

「王たる者は、惑ってはならない。惑いを持ってはならない。だから、王となる前に、迷いも惑いも、すべて解決しろと――そういうことなのだろうな」
「それなら、私達が迷ってても意味ないじゃない」
「人は一人では王にはなれないのだよ、アレクシア。リヒトに足りないものを補う為に、私がいる」

 ――そして、できるなら君もいてほしい。

 言葉にしなかったシルヴィスの想いは、私の心に重く響いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?

六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」 前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。 ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを! その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。 「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」 「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」 (…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?) 自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。 あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか! 絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。 それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。 「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」 氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。 冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。 「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」 その日から私の運命は激変! 「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」 皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!? その頃、王宮では――。 「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」 「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」 などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。 悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!

不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。

桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。 戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。 『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。 ※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。 時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。 一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。 番外編の方が本編よりも長いです。 気がついたら10万文字を超えていました。 随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...