乙女ゲームに転生したので、推しの悲恋EDを回避します〜愛され令嬢は逆ハーはお断りです!

神城葵

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番外編~箱庭の姫君と闇の公主と光の王~

潰しましょうね。

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 すうっと、アレクシアの瞳が眇められた。淡い蒼だったはずの瞳が、薄い水色になっている。隣にいたローランがびくっと震えたので、その変化は「怒り」からだろう。

「ハユルスが? 馬鹿かあの国。神竜王ナシ、聖剣将軍ナシのヴェルスブルク王軍とどっこいどっこいの結果しか残せてないくせに、約定を無視して攻め入りましょうってか。どーせ、シルハークうちの兵力頼みだろ。何の利がある」
「ないですね。むしろ害にしかなりません。闇華様がヴェルスブルク王妃となられ、御子を生されれば、我が国とは血縁ですから」
「雪華が女王になれば、闇華が産んだ子とはいとこだ。立派な親戚関係です、攻め入る理由は何もない。安心しろ、アレクシア」
「……本当に?」

 アレクシアのものとは思えないほど、冷ややかな声だった。彼女の隣で、怯えていたはずの神竜王が、強い護りの結界を紡いでいる。

「リーシュ陛下。レンファン様。今、決めて下さいな。ハユルスの申し入れをお受けになる? それとも破棄なさる?」
「アレクシア」
「……いい加減、うんざりだわ。叩き潰すしかないのかしら」
「アレクシア様……?」
「リーシュ陛下。レンファン様。、あなた達が好き。感謝もしています。けれどね、レンファン様」

 全身が泡立つほどの魔力が、彼女達から放たれる。その瞬間、レンファンを包んだものは、畏怖でしかなかった。

「ヴェルスブルクの、その民の敵になるなら。ここでお別れ致しましょう。
「今、この世から消しはしない。戦場で、竜型の私と会うことになる。その後、王宮で王の姫と直接対峙すればいい」

 淡々と告げられたローランの声は、全くの無機質だ。アレクシアという枷がない今、彼は神竜王としての本質――破壊を躊躇わない苛烈さを隠さない。
 人化の秘術を受け、魔力を減じたとはいえ、彼は先代の神竜王だ。ただの神竜ではない。人型を取っていてさえ、これほどの魔力だと言うなら――竜型になられては、人はそれだけで魔力に中てられ、立ってはいられないだろう。

「神竜王陛下の魔力は、減ったはずだとお思いでした? ええ、減りましたの。減りましたけれど、ですけれどね、レンファン様」

 アレクシア――その体を一時的に支配しているらしい、ヴェルスブルクの王女は、底冷えする笑みを浮かべた。

「減ったものは、補充できる。容量は変わらないのだから」
「――っ」
「アリーを守って下さる神竜王陛下が、お力を減じられたまま。わたくしが、それで善しとすると、思っていらした?」

 くすくす笑う声はアレクシアのものだ。けれど中身が決定的に違う。

「ご心配なく、リーシュ陛下。あなた様には借りがございますもの、戦となったらすぐにアンファ様は返してさしあげます」

 だが、シルハークも、アレクシアとローランを虜囚にはできない。相手は神竜王だ。誰にも、できない。

「ねえ、レンファン様。シルハークは、わたくしに喧嘩をお売りになったハユルスと、手を結ばれるの?」
「詫びろ、レンファン!」

 鋭いリーシュの叱責で、レンファンは見えない束縛から解放された。同時に、膝をつく。

「……申し訳ございません、エルウィージュ殿下」
「あら、わたくしの名、ご存知でした? 呼ぶ許しは与えていないつもりですけれど」
「あなたの真名に誓います。私の真名――李蓮汎リー・レンファンの名に誓って、あなたの慈しむものを、私も守ると」
「わたくしの、慈しむもの?」

 問いかけてくる様子は、アレクシア本人と見紛うほどにあどけない。だが、違う。これはヴェルスブルクの王女だ。

「第一にアレクシア様。次いで神竜王陛下。そして、ラウエンシュタイン公爵家の家名と領民。その次辺りに、ヴェルスブルクの民。あなたが守りたいものはアレクシア様だけでしょうが、アレクシア様が守りたいと思うものはなかなかに多い。ゆえに、あなたはそれもお守りなさる」
「ご明察。それで、真名に懸けてまで誓って下さったのに、どうしてわたくしを試したのかしら」
「ハユルスの申し出を蹴るには、それなりの理由が必要です。まだ闇華様を妃となさっていない現状では、断りづらいのですよ」
「……つまり、ハユルスを潰したいのね、あなた」

 一瞬でその答えに辿り着いたエルウィージュに、レンファンはやはり自分と同類だと再認識する。

「はい。ハユルスは小賢しい」
「シルハークに親書を送り、返書が届く直前の頃合いに――勝手に、「シルハーク・ハユルス連合軍」を名乗って、攻め入るくらいはやるでしょうね」
「その上、ハユルスには口実がある。王位に、正統な者をと」
「……ハユルスの王女が産んだギルフォード陛下を、重祚させたい。そうね、ギルフォード陛下は、まだ御子を望める御年だわ。継妃には、またハユルスの王女を娶せればいい」
「シルハークには、領土の過半数をくれてやればよいと思っている。そうすれば、シルハークの国力も、一時的に殺げますからね」
「言語の統一、税制の変更、反逆者予備軍の監視、ふさわしい統治者の手配――確かに、シルハークの財政を逼迫させるし、能吏を地方官に格下げしなくてはならなくなる。まあ、なんてハユルスに都合のいい展開。国土を広げたシルハークが、今度はハユルスを狙わないと、どうして思い込めるのかしら」
「雪華様を、押さえているからですよ」
「何……?」

 黙って聞いていたリーシュが、レンファンの言葉に瞳をぎらつかせた。亡くなった兄の忘れ形見、次期女王となる姪。まだ一歳の赤子だから立太子させられないが、十歳になれば正式に東宮とする予定だ。

「如何に陛下が魔力で宮を守っていようと、雪華様の乳母が、ハユルスの男に骨抜きとなりましてはね……」
「……レン」
「いつでも可能ですよ。手筈は整っております。ただ、その男を片づけると、ハユルスに気づかれる。だから監視だけに留めていましたが」

 頷いた主の意を受けて、レンファンは「その男」を片づける手配を進めることにした。そんな主従のやりとりを見ていたエルウィージュは、「その次」を要求してきた。

「如何なさいます? リーシュ陛下。わたくし、待つのは嫌いですの」
「ハユルスは潰す。雪華に手を出したら殺す」
「ふふ。わたくしはね、アリーに手を出される前に潰したいのです」
「……そうだな。手出しされるまで待つ義理はない」

 薄く笑みを刷いたリーシュは、確かに「戦狂いの王」の側面を持っている。彼の中の神竜の血は、時に発散させないと危険だ。

「では、リーシュ陛下。ハユルスは潰しましょうね。ああ、心が痛いわ、祖母君の祖国を滅ぼすなんて」
「心にもねーこと言うなよ」
「アリーが泣いてしまいますもの。ですから、武力行使はなしにしましょう」
「武力行使なしで、どうやって潰す?」
「国民を煽ってあげればいいのです。戦はもう嫌だと。先年もヴェルスブルクに攻め入りながら、利もなく終わったというのに、懲りもせずにまた仕掛ける。増税される。徴兵される。苦しむのは、いつも民」

 痛ましげに呟いた少女に、神竜王が言葉を継いだ。

「王の姫。私はハユルスに行って、主戦派の貴族達の館を潰してくる。人は死なないように守ろう。少しは、戦への気持ちが挫かれるだろう。その上で、売られた喧嘩を買ったと宣告してくればいい?」
「ええ。喧嘩を買ったところで、やられるまで待ってあげる必要はないのですもの」
「神竜王の加護する国に戦を仕掛ける以上は、何が起ころうと覚悟の上だろうよ。それに合わせて、こっちは使者を送り返そう。五体満足で返していいのか、王女様」
「かまいませんわ。ただし、魔力は奪って下さいな。使い物になるようでは困りますから」

 う、とリーシュは言葉に詰まった。魔力を奪う――要するに、封じるには必要な手順がある。魔力の高い者が、劣った者に所有の印を刻むことだ。

「……アレ、俺はちょっと嫌なんですが」
「頑張りましょう、陛下。嫌なこともやってるうちに慣れるものです」
「何が嬉しくて男の首を噛まにゃならんのだ……」
「頑張れ、シルハークの王。心から応援する」
「神竜王がやってくれたら完璧じゃないのかな」
「私は嫌だ。気持ち悪い」
「気持ち悪いってだけで拒否しちゃ駄目だぞ、さっきもアレクシアに言われてただろ?」
「アレクシアがやれと言うならやる。でもアレクシアは何も言わない。だからやらない」
「神竜王陛下を困らせてアリーが悲しんだら、わたくしはその時点でシルハークも敵と見做します」
「ご心配なく、王女殿下。陛下には何がどうでもやらせます」
「ありがとう、レンファン様」

 愛らしい微笑みに騙されてはいけない。この笑顔はアレクシアだが、中身は桜華公主よりも苛烈かもしれない王女様だ。

「では、リーシュ陛下」
「はい?」
「北方の商人同盟ギルドにお願いして、用意していただきたいものがありますの。お取次ぎいただけます?」
「何がいるんだ?」

 問うたリーシュに、エルウィージュは手近な紙に筆ですらすらと文字を書いた。

「邪竜の牙、飛獣の爪、魔木の芽……何だこれ」
「指向性質を持ち、空気散布できる毒薬の材料ですわ。わたくし、か弱い女ですから、戦は恐ろしいのです。ですから、主戦派の皆様を一同に集めて、まとめて片づけます」
「怖い! レン、この子怖い!」
「ですがそれが一番確実ですからねえ……どうやってお集めに?」
「神竜王陛下が、主戦派の館をすべて壊して下さったら、集まる場所はもう――ハユルス王宮しかございませんでしょう?」

 つまり、ハユルス王家も滅んでいいと思っているわけだ、この王女様は。祖母の祖国を滅ぼすとは心が痛むというのは、信じていたわけではないが、やはり真っ赤な嘘だった。

「王族も皆殺しはあんまりじゃないか? 女子供くらいは」
「積極的な主戦派以外は、男でも成人していても生かして残しますわよ。そうしたら、ヴェルスブルクとシルハークに有利な条約も結びやすいでしょう? 一罰百戒ですわ」

 平和派なら、成人した男でも許すと言うが、積極的な主戦派は女子供でも許さないらしい。

「女でも子供でも、戦を好む者ならいらないのです。女は子を産み、憎しみを繋ぐ。子供はいつか大人になるのですから」
「……ほんと、君が王位に就いた方がよくない?」
「わたくしは、王の器ではありませんから」

 軽やかに笑った後、がくりと頽れたアレクシアの体は、神竜王がしっかり支えていた。

「……だから言っている。王の姫は怖い」
「うん。ほんと怖い」
「ある意味、純粋な御方ですね。清いからこそ、穢れたものを赦さない」
「……うん、そう言えるおまえも怖いぞ」
「アレクシアを頼む。まだ眠っているから、その間にやってくる。やってしまった後なら、アレクシアは怒るだけで許してくれる。やる前だと、泣かれるから私は何もできなくなる」
「……君も、大概、あの王女様に毒されてますね……」
「私は元からこういう気質だ。――王だったのだから」

 その時に神竜王が浮かべた笑みは、戦狂いと言われたリーシュも、腹心であるレンファンも、心肝寒からしめる、ぞっとする美しさのものだった。
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