転生したら王族だった

みみっく

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第三章 ‐ 戦争の影

213話 ツンデレたちの集いと、突然の嵐

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 まず現れたのは、小柄でちょっとふくれっ面の女の子。水色の髪がさらりと揺れて、ピンクの瞳がきらきらと光る。
 そう、ドラゴンロードのミアだ。

「ふんっ、なんで今さらなのよ。こんなの、とっくに紹介しといてくれたら……!」

 ぷくーっと頬を膨らませて、レイニーの袖をむぎゅっと掴む。
 可愛さが限界突破して、獣人の子供たちが「かわいい……!」と呟いたのを、彼女は聞き逃さなかった。

「な、なに見てるのよっ!!」

 でもそのツンデレっぷりに、場の空気が一気にやわらぐ。

 次に静かに歩み出たのは、アシュテリア。
 銀と黒のコントラストが美しい、凛とした佇まいの少女。瞳の奥に、燃えるような紅蓮の力を秘めている。

「私は戦うためにここにいるわけじゃない。だけど……レイニーが望むなら、爪も牙も使うわ。」

 言葉は少ないけれど、その背筋の伸びた姿勢が全てを物語る。
 背後の空気が、一瞬ピリリと引き締まった。

「ヒッ……」と怯えた獣人の子がいたが、その肩を優しくポンと叩いたのは――

 ルミエールだった。

「怖がらなくていいのよ。私たちはみんな、あなたたちの味方なんだから♡」

 淡い金色の髪、輝くような微笑み。
 人の姿をしていても、内に秘めた神秘的な気配は感じ取れる――それもそのはず、彼女もまたドラゴン。
 ルミエールはその場にふわっと座り込み、子供たちと目線を合わせた。

「ねぇ、恋ってなぁに?」

 突然の問いかけに、ミアが「なっ……!」と赤くなり、アシュテリアが咳払いをする。

 そこへ、セリーナ王女がわぁっと走ってきた。

「ちょっとちょっと! いまの子たち、なに!? レイニー様、ドラゴンばっかじゃないのっ!?」

 でも興奮気味のその瞳は、まるで宝物を見つけたみたいにキラキラしていて――

「……ふふっ、悪くないじゃない。わたし、強い子……好きよ?」

 セリーナの興奮ぎみのその声に、レイニーはふっと笑って――

「へぇ~? セリーナは、強い者なら誰でもいいんだぁ?」

 からかうように肩をすくめて、視線を逸らす。
 いつもの軽い調子、だけど、セリーナにとっては大事件!

「ち、ちがうってばぁっ!」

 顔を真っ赤にしながら、バッと一歩前に出て叫んだ。

「わたしが本当に好きなのは、レイニーくんだけだってばぁ!!」

 その瞬間、場の空気が――ぴたり、と止まる。
 ミアは目をぱちくりさせ、ルミエールは「あら♡」と小さく笑い、アシュテリアは「……大胆ね」とつぶやいた。

 そして、獣人の子どもたちの中から、

「うわぁ……王女さま、すごーい!」
「本当に好きなんだー!」

 なんて声がぽつぽつ聞こえてくる。

 レイニーはというと――

「~~~~っ!?!?」

 顔真っ赤にして、後ろ向いたまま固まってる。

「れ、れ、れいにー様……? な、なんか言ってよぉ……!」

 セリーナは今さら自分がやらかしたことに気づいて、耳まで真っ赤になって手をバタバタさせる。

「で、でも、ほんとのことなんだからねっ!! いまさら引っ込めたりしないもんっ!」

 それを見て、ミアがクスクスと笑いながらも頬をふくらませてつぶやいた。

「……ずるい。わたしだって、言いたいのにぃ……」

 その隣でルミエールが優しく微笑んだ。

「ふふ、恋ってにぎやかで楽しいのね♪」

 と、屋敷の前にほんわかとした、けどドキドキする空気が広がった。
村の住人たちの心も、なんだか少しずつほどけていくような、そんな一日だった――。

 騒ぎの中心で固まっているレイニーの背後――
 ふっと、空気がひんやりと静まる。

「……お騒がせのようですね、主様」

 いつの間にか、ラヴェンナが彼の背後に立っていた。

 漆黒の長髪が風もないのにふわりと揺れ、深紅の瞳が周囲を一瞥する。
 その視線だけで、数人の獣人たちがビクッと肩をすくめた。

「ラ、ラヴェンナ……今は、えっと……」

 レイニーが慌てるように振り返ると、ラヴェンナはすっと頭を下げた。

「申し訳ありません。ですが、主様の気配が乱れていたので……お休みの時間かと思い、お迎えにまいりました」

「いや、別に寝てないってばー!」

「ですが、先ほどの告白による心拍の上昇と、頬の赤み、耳の熱……それはすでに “羞恥による半覚醒状態” と診断できます」

「やめてぇ!? そこまで的確に言わないでぇ!!」

 そんなレイニーの声にも冷静な表情のまま、
 ラヴェンナはすっと手を伸ばし――

「では、寝室へご案内いたします」

 ひょいっとレイニーを抱き上げた。

「う、うわぁ!? まただぁーっ!?」

 見守っていた住人たちの中から、どよめきが起きる。

「なんかすごい人来た……」
「え、あの人レイニー様の……?」

 そんな声の中、セリーナがぷるぷると唇を震わせて前に出た。

「ま、待ってよぉっ!ラヴェンナ、その子、レイニーくんは今、わたしと恋の――」

「恋愛感情の対象としても、主様は高次の魅力を備えています。
 しかし、私は忠義を優先する立場。……けれど、感情が伴わないとは申しません」

 淡々と、けれどほんの少し頬を紅く染めてラヴェンナが答えると、今度はセリーナが真っ赤に。

「な、なにその冷静な宣戦布告ぅぅぅ~~っ!!」
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