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第三章 ‐ 戦争の影
221話 平穏な日々を壊す、新たな脅威
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森の奥、まだ湿った朝露の残る古道跡に、レイニーの軽やかな足音が響いていた。木々のざわめきと鳥のさえずりだけが聞こえる静かな場所。レイニーは辺りの気配を注意深く探っていた。
「ふぅーん……この辺り、ちょっと気配が変だなぁ……」
草をかき分け、足元に目を凝らすと、奇妙な跡が残っていた。それは人の靴跡のようにも見えるが、ただの旅人にしては深く地面に沈んでいる。さらにその横には、鋭い爪痕がいくつも刻まれていた。
「これは……靴跡? いや、こんな深く沈むの、ただの旅人じゃないぞ……しかもこの爪痕……え、なにこれ、魔獣でも一緒にいたの!?」
レイニーはしゃがみ込み、指先で地面に残る痕跡をなぞる。その感触から、ただごとではないことを察した。さらに視線を先に向けたとき、草むらの中に、何かが光っているのを見つけた。
「ん? なにか……落ちてる。金属片? うわっ、ちょっと光ってるじゃん……えっ、これって魔力回路?」
それは、手のひらサイズの金属の破片だった。表面には、淡く紫の光を帯びた魔法陣のような模様が描かれている。紋章には、剣と蛇と、そして目がひとつ。見慣れない紋章と、そこから放たれる不気味な魔力の気配に、レイニーの心臓がどきりと跳ねた。
「……うそ、見たことない……けど……ヤバいやつなしかしない……!」
背筋を冷たいものが走り、レイニーは一気に緊張する。このままここにいるのは危険だと直感し、彼女は金属片を拾い上げると、ぱたぱたとその場を飛び出した。一目散に村へと駆け戻る。その足音は、先ほどまでのんびりとしたものではなく、焦燥に駆られた、けたたましいものへと変わっていた。
《村・アリシアの調査室》
レイニーが勢いよく扉を開け、調査室に駆け込んできた。息を切らし、手に持った金属片をアリシアたちに見せる。
「アリシアーっ!! ルフィアもミーニャもーっ!!」
その声は、いつもの明るい調子ではなく、少しだけ切迫していた。
「ちょっとコレ見て! さっき森で拾ったんだけど、変なんだよ!」
アリシアは真剣な表情で金属片を受け取り、目を細めてじっくりと観察する。表面に刻まれた紋様を指でなぞりながら、彼女の顔から表情が消えていく。
「これは……見覚えがあるわ。魔力回路の痕跡……しかもかなり精密に作られてる……」
アリシアの声は低く、重かった。ルフィアも覗き込み、首を傾げる。
「この辺でこんな金属、見たことないよ……レイニーくん、これ、どこで拾ったの?」
「森の西側の古道跡! あそこ、あんな金属とか足跡なかったはずなのに……」
レイニーの言葉に、ミーニャが小さく呟いた。
「……これ、昔、追われた時にはなかったよ……たぶん、最近……」
アリシアは顔を上げ、静かに、しかしはっきりとした声で告げた。
「これはね、シャドウヘルム帝国のものよ」
「……え? 帝国……? シャドウ……? なにそれ、聞いたことないんだけど!?」
レイニーは驚き、思わず手に持った金属片を持ち直す。アリシアは深い溜息をつき、その重苦しい空気をさらに濃くするように語り出した。
「シャドウヘルム帝国。鉄と闇と魔法で武装した、征服国家よ。私たちの国、グリムファングも何度も対峙してきた……。魔法で民を縛り、反抗すれば即処刑……そんな国」
アリシアの言葉を聞きながら、ルフィアもミーニャも肩を強張らせている。二人の表情は、一瞬で凍り付いたかのように硬くなっていた。
「えぇー……マジでヤバいじゃん、それ……」
レイニーは苦笑いをして後ろ頭をかいた。いつもの調子で軽口を叩こうとするが、声が震えているのが自分でもわかる。
「ねぇ、村じゃムリムリじゃない……? 帝国相手とか、ちょっと規模が違いすぎるんですけど……」
ふざけたように笑いながらも、手のひらに残る金属片の冷たい感触が、やけに重く感じられた。それは、これから村に降りかかるかもしれない、見えない脅威の重さだった。
《アリシアの調査室》
静寂が満ちる中、レイニーが机の上に置かれた帝国の金属片をじっと見つめ、不満そうに口を尖らせた。
「シャドウヘルム帝国……ほんとにヤバいの?なんかこう、ただの軍事国家って感じじゃなくて?」
アリシアは深く息を吐き、瞳に暗い影を落としながら、ゆっくりと椅子に腰を下ろす。
「ただの、じゃないのよ。あの帝国は――狂ってるの」
その言葉が意味するものの重さに、レイニーは言葉を失った。
「ふぅーん……この辺り、ちょっと気配が変だなぁ……」
草をかき分け、足元に目を凝らすと、奇妙な跡が残っていた。それは人の靴跡のようにも見えるが、ただの旅人にしては深く地面に沈んでいる。さらにその横には、鋭い爪痕がいくつも刻まれていた。
「これは……靴跡? いや、こんな深く沈むの、ただの旅人じゃないぞ……しかもこの爪痕……え、なにこれ、魔獣でも一緒にいたの!?」
レイニーはしゃがみ込み、指先で地面に残る痕跡をなぞる。その感触から、ただごとではないことを察した。さらに視線を先に向けたとき、草むらの中に、何かが光っているのを見つけた。
「ん? なにか……落ちてる。金属片? うわっ、ちょっと光ってるじゃん……えっ、これって魔力回路?」
それは、手のひらサイズの金属の破片だった。表面には、淡く紫の光を帯びた魔法陣のような模様が描かれている。紋章には、剣と蛇と、そして目がひとつ。見慣れない紋章と、そこから放たれる不気味な魔力の気配に、レイニーの心臓がどきりと跳ねた。
「……うそ、見たことない……けど……ヤバいやつなしかしない……!」
背筋を冷たいものが走り、レイニーは一気に緊張する。このままここにいるのは危険だと直感し、彼女は金属片を拾い上げると、ぱたぱたとその場を飛び出した。一目散に村へと駆け戻る。その足音は、先ほどまでのんびりとしたものではなく、焦燥に駆られた、けたたましいものへと変わっていた。
《村・アリシアの調査室》
レイニーが勢いよく扉を開け、調査室に駆け込んできた。息を切らし、手に持った金属片をアリシアたちに見せる。
「アリシアーっ!! ルフィアもミーニャもーっ!!」
その声は、いつもの明るい調子ではなく、少しだけ切迫していた。
「ちょっとコレ見て! さっき森で拾ったんだけど、変なんだよ!」
アリシアは真剣な表情で金属片を受け取り、目を細めてじっくりと観察する。表面に刻まれた紋様を指でなぞりながら、彼女の顔から表情が消えていく。
「これは……見覚えがあるわ。魔力回路の痕跡……しかもかなり精密に作られてる……」
アリシアの声は低く、重かった。ルフィアも覗き込み、首を傾げる。
「この辺でこんな金属、見たことないよ……レイニーくん、これ、どこで拾ったの?」
「森の西側の古道跡! あそこ、あんな金属とか足跡なかったはずなのに……」
レイニーの言葉に、ミーニャが小さく呟いた。
「……これ、昔、追われた時にはなかったよ……たぶん、最近……」
アリシアは顔を上げ、静かに、しかしはっきりとした声で告げた。
「これはね、シャドウヘルム帝国のものよ」
「……え? 帝国……? シャドウ……? なにそれ、聞いたことないんだけど!?」
レイニーは驚き、思わず手に持った金属片を持ち直す。アリシアは深い溜息をつき、その重苦しい空気をさらに濃くするように語り出した。
「シャドウヘルム帝国。鉄と闇と魔法で武装した、征服国家よ。私たちの国、グリムファングも何度も対峙してきた……。魔法で民を縛り、反抗すれば即処刑……そんな国」
アリシアの言葉を聞きながら、ルフィアもミーニャも肩を強張らせている。二人の表情は、一瞬で凍り付いたかのように硬くなっていた。
「えぇー……マジでヤバいじゃん、それ……」
レイニーは苦笑いをして後ろ頭をかいた。いつもの調子で軽口を叩こうとするが、声が震えているのが自分でもわかる。
「ねぇ、村じゃムリムリじゃない……? 帝国相手とか、ちょっと規模が違いすぎるんですけど……」
ふざけたように笑いながらも、手のひらに残る金属片の冷たい感触が、やけに重く感じられた。それは、これから村に降りかかるかもしれない、見えない脅威の重さだった。
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「シャドウヘルム帝国……ほんとにヤバいの?なんかこう、ただの軍事国家って感じじゃなくて?」
アリシアは深く息を吐き、瞳に暗い影を落としながら、ゆっくりと椅子に腰を下ろす。
「ただの、じゃないのよ。あの帝国は――狂ってるの」
その言葉が意味するものの重さに、レイニーは言葉を失った。
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