転生したら王族だった

みみっく

文字の大きさ
18 / 223
第一章 - 出会いと成長

18話 はじめて王城の外へ

しおりを挟む
 エリゼが父親のセリオスと俺を交互に見て、がっかりした寂しそうな表情をしていた。実際に父親のセリオスの顔を見るとおじけづき、諦めた様子になった。

 はぁ……ダメ元で聞いてみるか。俺から誘ったことにすれば、次回も来るなとは言われないだろうし。

 一応、俺は……第三王子なので護衛兵が付いている。といっても、俺がキケンな事をしないかの見張りだけどね。観覧席の外で待機している護衛兵に声を掛けた。

「あのさぁ~騎士団長を呼んできてくれるかなぁ?」ニコッと笑顔で話し掛けた。

 すると護衛兵の顔色が変わり、怯えた表情になった。

「え?……騎士団長様ですか? え? 私が? 騎士団長様にお声を?」怯えた表情と声で聞き返してきた。

 嫌なら俺が直接声を掛けるけど? 訓練場に勝手に入ったら迷惑かと思って……気を使って声を掛けたのにぃ……

「ん……じゃあ、俺が行ってくるからさぁ、エリゼを任せたよ」

「え? わ、私は……レイニー様の護衛でして……」

 だから何? 護衛兵だって兵士でしょ? 訓練場に普通に入れるでしょ。護衛兵だから見守ることしか出来ないっていうの? あぁ……そっか、勝手に自己判断をするなってやつね。はいはい、これはあまり好きじゃないんだけど……

 訓練場に向かって俺が手を上げた。騎士団長のお付きが気づき、騎士団長に声を掛けると、騎士団長が慌てて俺の元へやってきた。

「なにか、ございましたでしょうか?」騎士団長が緊張をした様子で俺に聞いてきた。だから……嫌だったんだよね……。訓練中に呼び出すのってさぁ……常識が分かってない子供かお貴族様みたいでさぁ。

「あ、あのね、訓練中に悪いね。エリゼと街で買い物をしたいんだけど……ダメかなっ?」うん。知ってる、ダメって言うのはさぁっ。

 跪いていたセリオスさんが顔を上げてエリゼを睨んだので、エリゼが怯えて俺の腕にしがみついた。
 
「あっ、俺が誘ったんだよっ。俺さぁ……城から出た経験が無いからさ。エリゼに案内を頼んだんだぁ~。そしたら、エリゼがお父さんに聞いてみないとって言うから、その確認をしたかったんだぁ~」

「……エリゼ、お前は街を案内できるのか?」セリオスさんが不安そうな表情をして、エリゼを見つめて聞いた。

「うん。お母さんと行くお店なら案内は出来るよっ♪」エリゼが自信ありげな表情をして答えると、セリオスさんが考え始めた。あれ?これって、チャンスがあるかも??期待の眼差しで二人でセリオスさんを見つめた。

「そうか。まあ、その周辺なら……警備兵もいるから安心か」悩んでいたセリオスが、不安も残るが何とかするつもりみたい。

 安心なのか? 大丈夫……なの? 逆に俺が心配になってきたんですけど?? さっきは、自信無さそうな返事だったのに……今度は、セリオスさんが自信がある感じで返事を返しているし。

「行ってもいいかなぁ……? お父さん♪」エリゼが、甘えた声を出して聞いた。

「そうだな、二人の社会勉強にもなるか……分からない道を通るんじゃないぞ」

「はいっ!」エリゼがニコッと、元気に返事を返した。

 まさかの許可が出たんですけどぉ~? これは、あれか……俺が、エリゼの護衛をしろってことか?? 魔術師団長、騎士団長のお墨付きを貰ったからか? あの……俺、一応……王子なんですけど?
 
 
「レイニー様、娘をよろしくお願いします」あれ? やっぱり、娘を頼まれた。普通、逆でしょ! と、思うけど、王城の外に出られるならば文句はないっ♪ それに、エリゼの事は頼まれなくても守るしさ。

「あ、うん……わかったぁ♪」外に出られるなら、どっちにしろエリゼを守るつもりだしね!

「娘が珍しく懐いているようですし」セリオスが、真面目な顔をして言ってきた。

 あ、それは……騎士団長が近寄るなオーラを出してるからと、外で遊ばせないようにしているからでしょ……

 セリオスの言葉を聞いて、二人で顔を見合わせてニコッと笑いあった。話が済んだので、騎士団長が頷き頭を下げると訓練に戻っていった。心配だろうなぁ……と思いつつ、エリゼと手を繋ぎ、広い敷地内を歩いて、俺に付いている護衛兵が事情を説明してくれ、王城の外に無事に出れた。

 良いのか? と思っていると複数の気配が、あちらこちらで俺たちを監視しているのが分かった。

 ぬいぐるみのバッグに見えるあーちゃんに話し掛けた。あーちゃんが器用に背負うタイプのバッグに擬態をしていた。

『ねぇ~、視線を感じるんだけどさぁ、この視線って護衛だよね~?』

『ですね。敵意も害意も感じられないですね。安心して大丈夫かなぁ……。というか……レイニー様を、どうこうできる存在は、いないと思いますけどねー』あーちゃんが、呆れたように言ってきた。

『あーちゃん、ひどーい……俺の従者だよねぇ?』

『……はい、失礼しましたぁ』

「あっちだよ。行こ♪」エリゼに手を引かれて、後をついていく。平和だね~? これって……この通りって、明らかに規制をされてるよね?? すれ違う人の仕草が軍人ぽいんですけど??

「エリゼ、これって……普段と同じ感じなの?」普段の王都を知らないで、エリゼに聞いてみた。

「うぅ~ん……少し人通りが少ない気がするぅー。歩きやすいかなぁ」ニコニコした表情をしてエリゼが答えた。

大通りを歩き、しばらく進むと商店が並ぶ通りに入った。

……わぁ……♪ 武器屋だぁ……入りたい! 武器だよ、武器! 王城では、武器といえば剣くらいしか見てないんだよね~

「ねぇ、ねぇ……武器が見たいんだけど……だめ?」

「んぅ……お兄ちゃん、見たいのぉ?」エリゼが、少し困った表情をして聞いてきた。

「うん。見たい!」

「ちょっとだけだよ? わかったぁ?」

「うん。ちょっと……だけね」

 と言っていたけど、エリゼも騎士団長の娘で剣術を習い、武器にも興味があるらしく二人で目を輝かせてはしゃいで店内を見ていた。

「ねぇ~これ、これ~双剣って格好良いよね~♪」俺が目を輝かせて言うと、エリゼが微妙という表情をした。

「これ、これの方が格好良いよぉ~」エリゼが短剣を指さした。

 うぅ~ん……短剣も良いねぇ♪ どっちも好きだなぁ。

 そんな時に悪そうな警備兵が現れた。

「貴様たち……武器屋で何をしているのだ? 冒険者ごっこか? 買えもしない物を見て盗みでもする気か?」ニヤッと笑い、言ってきた。上司っぽいやつは見回りなのか、部下を6人ほど連れていて、その部下も悪そうな悪人面だった。

「あぁ~商売の邪魔だったかなぁ、ごめん。買えないけどさぁ~ちょっと見てたんだー」俺が正直に言うが、納得してくれそうなヤツらじゃない。

「怪しい……少女だな……取り調べの必要がありそうだ……」悪そうな警備兵たちがニヤニヤしながら近づいてきた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

小さな貴族は色々最強!?

谷 優
ファンタジー
神様の手違いによって、別の世界の人間として生まれた清水 尊。 本来存在しない世界の異物を排除しようと見えざる者の手が働き、不運にも9歳という若さで息を引き取った。 神様はお詫びとして、記憶を持ったままの転生、そして加護を授けることを約束した。 その結果、異世界の貴族、侯爵家ウィリアム・ヴェスターとして生まれ変ることに。 転生先は優しい両親と、ちょっぴり愛の強い兄のいるとっても幸せな家庭であった。 魔法属性検査の日、ウィリアムは自分の属性に驚愕して__。 ウィリアムは、もふもふな友達と共に神様から貰った加護で皆を癒していく。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

乙女ゲームの隠れチートモブ〜誰も知らないキャラを転生者は知っていた。〜

浅木永利 アサキエイリ
ファンタジー
異世界に転生した主人公が楽しく生きる物語 その裏は、、、自分の目で見な。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

スキル買います

モモん
ファンタジー
「お前との婚約を破棄する!」 ローズ聖国の国立学園第139期卒業記念パーティーの日、第3王子シュナル=ローズレアは婚約者であるレイミ・ベルナール子爵家息女に宣言した。 見習い聖女であるレイミは、実は対価と引き換えにスキルを買い取ることのできる特殊な能力を有していた。 婚約破棄を受け入れる事を対価に、王子と聖女から特殊なスキルを受け取ったレイミは、そのまま姿を消した。 レイミと王妃の一族には、数年前から続く確執があり、いずれ王子と聖女のスキル消失が判明すれば、原因がレイミとの婚約破棄にあると疑われるのは明白だ。 そして、レイミを鑑定すれば消えたスキルをレイミがもっている事は明確になってしまうからだ。 かくして、子爵令嬢の逃走劇が幕を開ける。

処理中です...