転生したら王族だった

みみっく

文字の大きさ
89 / 223
第一章 - 出会いと成長

89話 ミアとリリィと川遊び

しおりを挟む
 食事を終え、美しい川のほとりで、再び水遊びを楽しんでいたレイニーたち。しかし突如として周囲の雰囲気が一変し、川の水面が揺れ始め、空気が一気に冷たくなった。
 
 その異様な気配にレイニーたちが目を向けると、川の奥から巨大な影が浮かび上がってきた。現れたのは、鋭い牙と爪を持つ鱗に覆われた巨大な魔物だった。その体は蛇のように長く、全身を覆う黒い鱗は光を吸い込むかのように黒く輝いている。目は赤く光り、口からは蒸気のような息が漏れ、周囲の空気を毒々しく染めていた。

 ミアが驚きの声を上げた。「あれは……何かなっ!?」

 魔物が唸り声を上げると、その声はまるで空間を震わせるように響いた。レイニーは冷静に考えた。相手は水属性の魔物と判断し、あまり得意ではない水属性の対極の雷属性の魔法の準備を始めた。「みんな、気をつけて! これは強敵かも! 普通の魔物じゃない気配がする、ミアはドラゴンブレスは控えて! たぶん相手は水属性だから、効かないと思う!」

 「うん。わかったっ!」ミアが前に出て、両手を広げて魔物に立ち向かおうとした。その瞬間、魔物が猛然と突進し、鋭い爪を振りかざした。ミアは素早く身をかわし、反撃の一撃を放つ。彼女の拳が光り輝き、魔物に衝撃を与えた。

 ミアは、ドラゴンブレスが無くても、物理攻撃が得意でパワーも桁外れに強い。

 リリィが影の中に溶け込み、瞬時に魔物の背後に現れた。彼女はナイフを振り下ろし、魔物の正確な急所に一撃を加える。しかし、魔物の鱗は硬く、ナイフは表面を滑るだけだった。

「むぅ……この鱗、硬すぎ……ムリ……」リリィが歯を食いしばる中、レイニーが魔法の詠唱を完了させた。「みんな離れて!……雷撃!」手をかざし放たれた雷が魔物に直撃し、電撃が体中を駆け巡った。

 魔物は怒りの唸り声を上げながら振り向き、猛毒の息を吐き出した。皆はいち早く身をかわし、その毒の影響を避けた。レイニーもかわしたが、魔物がトラップ魔法を使っていて、それを受けてしまった。

 レイニーは立っていることが精一杯な状況だった。力が抜けていく中で大声を上げた。「気をつけて! やっぱり、この魔物は普通じゃない、危険だよ!」レイニーが警告をした。

 トラップ魔法は熟練した魔術師が高度な待機魔法の魔法陣を設置し、その魔法陣の上を通過をすると発動するトラップとして使われる、かなり上級の魔法技術と戦術が必要だった。

 レイニーが受けた魔法は麻痺魔法で、動けなくなったところを、追撃をされ猛毒の息を受けてしまった。まさか、魔物がトラップ魔法を使ってくるとは思ってもいなかった。そんな情報を聞いた事もなく、まったく警戒も予想もしてなく完全に油断をしていた。

 レイニーは、皆に警告をし完全に動けなくなり、その場に倒れこんだ。

 その瞬間、ミアの瞳が再びピンク色から赤色に変わると輝き、彼女の身体から強力なオーラが放たれた。彼女は全力で魔物に向かって突進し、一撃を加えると、魔物の鱗が砕け散り、その内側から青白い光が漏れ出した。

「もう二度と、レイニーくんを傷つけさせない。これで終わりだよ、さようなら!」ミアが力強く呟き、最後の一撃を放つ。彼女の拳が魔物の核心に達し、その瞬間、魔物は轟音と共に崩れ落ちた。


 -・-・♢・-・-・♢・-・-・♢・-・-
 

 戦いが終わり、彼らは深呼吸をしながら一息ついた。「すごいね……ミアちゃん」リリィが恥ずかしそうに満面の笑みで彼女を褒めていた。
 
 俺はというと、元々ステータス異常の無効があるけど、スキルレベルが低く一時的に効果が表れてしまったっぽい。なので数秒で無効化され、気づいたら戦闘が終わっていた。

 ……というか、何だったんだ?? あれ、魔物じゃないよね? 魔石も無かったし、そこそこの知能どころか、熟練魔術師と同等の戦術を使ってたんですけど。毒ノブレスを吐き避けた所に、トラップ魔法の設置ですか……。で、外皮を破ると出血じゃなくて、青白い光って? まるで、ゴーレムじゃないの? でもゴーレムって……命じられた事のみで、戦術を考えないと思うんだけど。それに、形状がトカゲのようなドラゴンのような生き物だったし。不思議すぎる。

 次に、ミアさん……あの状態って、ダンジョンで手に入れた書物に書かれていた感じじゃないんですか? 目が赤く、強大なオーラだったし。それに、かなり硬い鱗を拳一撃で鱗を破壊して、もう一撃でとどめを刺した。しかも擬人化をした状態で、能力値が激減していて、いろいろと抑制をされているのに……
 
 今回の件で、推測から確信に変わったなぁ……ミアは、ただのドラゴンロードじゃないって事は確実になった。普通のドラゴンロードも通常のドラゴンに比べれば、桁外れな能力値を持っているんだけど、それをはるかに超えた能力値だった。

 当人のミアは、リリィに褒められていないので、顔を照れ臭そうにして逃げ回っていて、寝転がっている俺を思い出したのか、慌てた表情で俺の元へ駆け寄ってきた。「レイニーくん! わ、わぁ……大丈夫? 起きれる?」

 上半身を起こすと、ミアが心配そうに抱きしめてきた。麻痺も毒も無効化されていて問題ないけど、初めての経験だったからビックリした。背中には、リリィがピタッと顔をつけて……泣いてる?? あれ? リリィ……?

 僅かに「ぐすっ。ぐすん……」とリリィの泣いている声が聞こえた。
 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

小さな貴族は色々最強!?

谷 優
ファンタジー
神様の手違いによって、別の世界の人間として生まれた清水 尊。 本来存在しない世界の異物を排除しようと見えざる者の手が働き、不運にも9歳という若さで息を引き取った。 神様はお詫びとして、記憶を持ったままの転生、そして加護を授けることを約束した。 その結果、異世界の貴族、侯爵家ウィリアム・ヴェスターとして生まれ変ることに。 転生先は優しい両親と、ちょっぴり愛の強い兄のいるとっても幸せな家庭であった。 魔法属性検査の日、ウィリアムは自分の属性に驚愕して__。 ウィリアムは、もふもふな友達と共に神様から貰った加護で皆を癒していく。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

乙女ゲームの隠れチートモブ〜誰も知らないキャラを転生者は知っていた。〜

浅木永利 アサキエイリ
ファンタジー
異世界に転生した主人公が楽しく生きる物語 その裏は、、、自分の目で見な。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

スキル買います

モモん
ファンタジー
「お前との婚約を破棄する!」 ローズ聖国の国立学園第139期卒業記念パーティーの日、第3王子シュナル=ローズレアは婚約者であるレイミ・ベルナール子爵家息女に宣言した。 見習い聖女であるレイミは、実は対価と引き換えにスキルを買い取ることのできる特殊な能力を有していた。 婚約破棄を受け入れる事を対価に、王子と聖女から特殊なスキルを受け取ったレイミは、そのまま姿を消した。 レイミと王妃の一族には、数年前から続く確執があり、いずれ王子と聖女のスキル消失が判明すれば、原因がレイミとの婚約破棄にあると疑われるのは明白だ。 そして、レイミを鑑定すれば消えたスキルをレイミがもっている事は明確になってしまうからだ。 かくして、子爵令嬢の逃走劇が幕を開ける。

処理中です...