転生したら王族だった

みみっく

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第二章 ‐ 迫害と対立と交流と絆

97話 焼き尽くされた森

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 結界を張って守られていた村自体は無事だった。だが、その周辺はドラゴンブレスの威力で完全に焼き尽くされていた。高熱で岩は溶け出し、その広範囲な破壊は圧倒的だった。見渡す限り焼け野原というよりも、まるで火山が噴火した後のような荒涼とした景色が広がっていた。炭化した地面、溶けて固まった岩、そして黒く結晶化した跡がその威力を物語っている。そこにいた魔物や魔獣の気配も当然ながら完全に消え去り、跡形も残っていない。

「ばかっ! なにしてるのさ! 死にたいのっ!?」
 ミアが慌てた様子で父親に叫んだ。その声には怒りと心配が入り混じり、全身で父を止めようとする必死さが伝わってくる。

「くっ……バカはどっちだ!? 連絡もよこさずに……この地で捕らわれていると思って助けに来たのだぞ! バカ娘が!」
 最強種のドラゴンロードであるミアの父は、苛立ちを隠せないまま怒鳴り返した。その声には娘への心配と、自らの誤解に気付いた悔しさが混ざっていた。

「もぉ、いつものことじゃない!」
 ミアは少しも動じることなく、冷静に言い返す。その姿は父親の怒りに圧倒されるどころか、軽くあしらうような余裕すら感じさせた。

「いつもとは違うだろ……いつもは、この森に近づくなと言っておいただろ。危険だと散々注意をしておいただろ。他の王国などは構わないが……ここは危険だと言っておいただろ……バカ娘がぁ……」
 ミアパパはとうとう声を震わせ、目には涙さえ浮かべていた。その感情の爆発は、娘への愛情と心配の裏返しだった。

「わたしは、無事だよ! 心配ないってば! 捕らわれてもいないし、大切にしてもらってるから♪」
 ミアはニコッと明るい笑顔を見せながらレイニーに抱きついてきた。その無邪気な仕草は、場の緊張を少しだけ和らげたが、レイニーの心にはまだ荒れ果てた森の光景が重くのしかかっていた。

「……そ、そうか……! その貴殿が――そうか、そうか! わっははは! でかしたぞ、我が娘よ!」 声を高らかに上げ、豪快な笑い声には誇りがにじむ。 「これで我が種族は安泰だな! わっはっはっは!」
 ドラゴンロードは豪快に笑いながら舞い降りた。その瞬間、敵意は完全に消え去り、彼は結界の中へと足を踏み入れた。そして、人の姿に擬態すると、ごついオッサンの姿へと変化した。その姿は威厳がありながらも、どこか親しみを感じさせるものだった。

「……すまなかった! 許してくれ……俺にできることがあれば、なんでもするぞ!」
 龍の王であるドラゴンロードが深々と頭を下げ、許しを乞う姿は圧倒的だった。その堂々とした存在が悔い改める様子は見る者の心に響き、ミアもすぐに頭を下げて彼に倣った。

 しかし、レイニーはそっぽを向きながら「ふんっ。ゆるさないー!」と突き放す。その様子にドラゴンロードの表情は一瞬の安堵と喜びを見せたものの、すぐに深い後悔と謝罪の色へと染まっていった。目には涙が浮かび、娘の無事を確認できたことで胸を撫で下ろしつつも、自分の行動による破壊の結果を重く受け止めていた。

 彼の豪快な笑顔は消え去り、今では深い反省の念が顔に刻まれている。その様子を見ていたセラフィーナが慌てて近寄り、「レイニー様は、この森を荒らされ、破壊をされて怒っているのですよね?ね?」と声を上げる。その様子はどこか張り切っているようで、場の緊張感とは少し異なる空気を漂わせている。
 
「あ、うん。せっかくみんなと暮らせる場所を見つけて、みんなと楽しく暮らせるって楽しみにしてたからさぁ……」
 俺は肩を落としながら、少し残念そうに呟いた。

「でしたら、私が森を修復するので大丈夫ですよ!」
 セラフィーナはニコッと明るい笑みを浮かべながら、俺の手を優しく握りしめた。その真っ直ぐな言葉は、沈んでいた気持ちを一気に引き上げるようだった。

「わぁ~ほんと? すごいじゃん、セラフィーナ!」
 俺が感嘆の声を上げて彼女を褒めると、セラフィーナはさらに嬉しそうに笑顔を輝かせた。その無邪気な表情に、場の空気が少しずつ和らいでいくのを感じた。

「あ、ですけど……森の修復はできますけど、無秩序の森の復元は、私には無理です。」
 セラフィーナは少し困ったような表情を浮かべながら続ける。「ですが、シオン様が復元できるかどうかですね……。」

 彼女の言葉はまだ完全な解決策には至らないものの、未来への一縷の希望を示しているようだった。セラフィーナの明るさと献身的な態度に、俺は少しずつ前向きな気持ちを取り戻していった。

「シオンくん、いる?」
 レイニーが呼びかけると、屋敷に隠れていたシオンが勢いよく駆け寄ってきた。

「レイニー様、お呼びでしょうかっ!?」
 シオンは嬉しそうに目を輝かせながら、レイニーの傍に立ち止まり、見上げて返事をした。その姿はまるで忠実な子犬のようで、思わず微笑みがこぼれる。

「うん。うん。呼んだよ。」
 レイニーは優しく頷きながら続けた。「あのね、セラフィーナが森を復活させてくれるって言ってくれたんだけど、無秩序の森の復元はシオンくんにお願いしたいなぁ~って思って。俺の森を直してほしいんだ。お願いできるかなあ?」
 そう言いながら、シオンの柔らかく可愛い両頬にそっと触れ、親しみを込めてお願いをした。
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