転生したら王族だった

みみっく

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第三章 ‐ 戦争の影

138話 きっかけ_6

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 好きで教えに来ているわけじゃないし、魔物に遭遇したときのリオンの反応も見てみたい。もし怖がっていきなり逃げ出すようなら、練習に付き合う価値がないかもしれないし。そんな程度の覚悟だったら、その時点でお終いにして帰ろう。

「レイニーくんが、良いんだって!」リオンはそんな俺の態度にもめげず、満面の笑顔で答えた。その明るさに一瞬こちらも戸惑うが、まあ……やる気があるなら良いだろうと軽く肩をすくめて先に進むことにした。
 
「遅れるぞー。ちゃんと付いてきてよ? 逸れると置いてくからね~。」リオンは慌てて貰った剣を腰にベルトで付けようとしながら、歩き始めた。しかしその手元はぎこちなく、うまく固定できずに苦戦している様子だ。

「もぉ~仕方ないなぁ。ほらぁ……こうやって……っとぉ……。」俺はリオンの後ろに回り込み、抱きしめるようにして彼の腰にベルトをしっかりと付けた。

「ひゃっ。わっ……あ、ありがと……。ビックリさせんなよー!」リオンは突然の俺の行動に驚き、頬を赤くしながら目を逸らしてお礼を言いつつ、少し文句も付け加えてきた。その反応がどことなくロディーやシオンのリアクションに似ていて、思わずクスッと笑ってしまった。

 まあ、俺の雰囲気が女の子っぽいせいでビックリしたのかもしれないな。相手の意外な反応に軽い達成感を覚えつつ、リオンの剣がしっかり固定されたのを確認して、先に進む準備を整えた。

 さてと、やっと森に入れるなぁ。一足先に森へ足を踏み入れた途端、後ろからリオンの慌てた声が聞こえてきた。

「えっ!ちょ、ちょっとぉぉぉ! 置いてかないでよ、レイニーくん! 今、追いつくから待っててー!」リオンはカタカタと剣を揺らしながら、大きな音を立てて駆け寄ってくる。その姿に思わず笑ってしまいながら振り返った。

「大丈夫だよ、ゆっくり来なよ~。慌てて走ると転ぶよ~。」軽く注意しながら声をかけると、自分でも驚くほど親っぽい口調になっていることに気付いた。うぅーん、サクラの面倒を見てた影響が出てるのかな。

「えへへ。レイニーくん……親みたいだなー。歳下なのに……甘えちゃいそうになるなー。」リオンがぽつりと可愛らしい笑顔で言った。その突然のデレた態度に、一瞬ドキッとしてしまう。

 急に、可愛くデレてくるなぁ~! お兄ちゃんだけど、笑顔が可愛いと素直に思ってしまう自分がいる。慌てて心を落ち着けながら、軽く手で森の奥を指した。

「ほら、行くぞー。今日は練習だけど、油断はしないでよ。」できるだけ冷静を装ってそう声をかけたが、内心ではまだリオンの反応に少し動揺している。

「もお、ふざけてると……帰るよ?」俺はそっぽを向きながら答え、先に歩き出した。

「悪い、悪い! べつに怒ることないだろー? なあぁー。」とリオンが慌てて人懐っこい様子で追いかけてくる。その態度は、出会った時から変わらないな、と内心思う。

 ガサガサ……と枝が揺れ、擦れる音がした。探索魔法を使っていた俺は既にその気配を認識していたが、リオンは気付いていない様子だった。

「話に夢中になってると危険だよ。気配や物音に気を配ってないと、不意打ちを喰らうことになるよ。ほら、そこに魔物が潜んでるよ。」俺は草むらを指さしてリオンに伝える。

「え? 魔物!? えっと、ん……よし!」リオンは慌てて帯剣した剣を抜こうとするが、手間取っている。それでも逃げ出すことはなく、やる気を感じさせる態度だ。

 しかし、魔物と対峙してみれば力の差がはっきりと分かるだろう。まだムリだろうけど、そういう経験が必要だ。力の差を知らないと、戦うべきか逃げるべきかの判断もつかないからだ。

「お兄ちゃんでも、十分勝てる弱い魔物だよ。がんばってー♪」俺は木に寄り掛かりながら、リオンの様子を見ることにした。

「はあ!? おれが一人で戦うの!? え? はわわぁぁぁっ!」リオンは急に内股になり、ガタガタと震えだした。その様子が少し滑稽で思わず笑いそうになったが、ここはぐっと堪える。

「おーい、そんなんじゃ女の子みたいで、勝てる戦いも勝てないよー!」と軽くからかいながら声をかける。恐怖に飲み込まれると動けなくなるし、正しい判断もできなくなるから、少しでもリラックスさせてやらないと。

「そんなこと言ったって……初の戦闘なんだぞー! それと、女の子って言うなあぁぁー!」リオンは頬をふくーっと膨らませながら文句を言ってきた。その仕草がなんとも子供っぽくて、少し緊張が和らいだみたいだ。震えも止まっている。

「ああ、今の方がずっと良い感じだよ。」と俺は軽く頷きながら声をかけた。「ほら、自分の力を試すチャンスだと思ってやってみなよ。魔物もビックリするくらい成長するかもね。」

 リオンは俺の言葉を聞いて一瞬考え込んだ後、剣をぎゅっと握りしめて草むらをじっと見つめた。その姿から、少しずつ勇気を振り絞っているのが伝わってきた。
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