11 / 53
十一話「バレンタイン」
しおりを挟む
鬼村はこれで中々の人気作家である。普段からファンレターとプレゼント(それとバラエティに富んだ謎の呪物)が編集部に届いているが、やはり季節のイベント時期にはプレゼントが集中し、バレンタインに送られてくるチョコレートを筆頭とするお菓子の量は毎年段ボール三箱にもなった。
「よし、仕分けよう」
鬼村は大層甘いもの好きで、無料で無数のお菓子が手に入るこの時期をいつも心待ちにしていた。
しかしいくらエキセントリックな彼女でもある程度の常識は持ち合わせているようで、不特定多数から送られてくる手作りの食べ物だけは絶対口にはしなかった。
「先生、いくらなんでも雑に扱いすぎですよ」
段ボールの中を漁り、手作りを見つけてはレジ袋に乱暴に投げ捨てていく鬼村。流石に良心が痛む光景だ。せめて中を見て、自分の為に頑張ってくれたんだなという気持ちくらいは受け取ってもバチは当たらないだろうに。
だが鬼村は「手作りなんぞ送る方が悪い」ときっぱり言い放ち、その手を止めることはない。「それに、トラウマなんだよ手作り。昔、チョコに毒入れられた事があってさ」
「えっ、本当ですか!?」
「うん。やっぱりバレンタインのプレゼントでね、手作りだったのよ。トリュフっつーの? 丸いころころしたチョコ。なーんか怪しいなと思って、そこら辺の野良犬に一個食わせたら、その犬、死んだんだよ。怖いよねー」
「……先生」
「うん?」
「チョコレートは犬にとって猛毒です」
「え、そうなの?」
ああ、私の業が深まっていく。
「よし、仕分けよう」
鬼村は大層甘いもの好きで、無料で無数のお菓子が手に入るこの時期をいつも心待ちにしていた。
しかしいくらエキセントリックな彼女でもある程度の常識は持ち合わせているようで、不特定多数から送られてくる手作りの食べ物だけは絶対口にはしなかった。
「先生、いくらなんでも雑に扱いすぎですよ」
段ボールの中を漁り、手作りを見つけてはレジ袋に乱暴に投げ捨てていく鬼村。流石に良心が痛む光景だ。せめて中を見て、自分の為に頑張ってくれたんだなという気持ちくらいは受け取ってもバチは当たらないだろうに。
だが鬼村は「手作りなんぞ送る方が悪い」ときっぱり言い放ち、その手を止めることはない。「それに、トラウマなんだよ手作り。昔、チョコに毒入れられた事があってさ」
「えっ、本当ですか!?」
「うん。やっぱりバレンタインのプレゼントでね、手作りだったのよ。トリュフっつーの? 丸いころころしたチョコ。なーんか怪しいなと思って、そこら辺の野良犬に一個食わせたら、その犬、死んだんだよ。怖いよねー」
「……先生」
「うん?」
「チョコレートは犬にとって猛毒です」
「え、そうなの?」
ああ、私の業が深まっていく。
2
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
父の周りの人々が怪異に遭い過ぎてる件
帆足 じれ
ホラー
私に霊感はない。父にもない(と言いつつ、不思議な体験がないわけではない)。
だが、父の周りには怪異に遭遇した人々がそこそこいる。
父や当人、関係者達から聞いた、怪談・奇談を集めてみた。
父本人や作者の体験談もあり!
※思い出した順にゆっくり書いていきます。
※場所や個人が特定されないよう、名前はすべてアルファベット表記にし、事実から逸脱しない程度に登場人物の言動を一部再構成しております。
※小説家になろう様、Nolaノベル様にも同じものを投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる