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第23話 奴隷解放軍
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「ルーク。通路に火を放ってくれ」
【あいさ~!】
ルークが火の魔法を放ってステージに繋がっている通路を燃やす。
恐らく、ここから合流する予定だったと思われる。
「みんなさん、動かないように」
「「「は、はいっ!」」」
周囲に気配りをしながら奴隷達を守る。
「貴方達! こんなところで奴隷のままでいいの!?」
捕まえているエヴァさんが叫んだ。
それはここにいる奴隷達に向けられた必死の叫びだった。
「この先どうなるかくらい知っているでしょう!? まともな人生は歩めなくなるのよ!?」
「…………俺も聞きたい。まだ売られる前は奴隷商の商品であるから人権は守られる事になっている。でも売れてしまえばどんな目に遭っても奴隷は物扱いとなるはずだ」
九人いる奴隷達の中から、一人が前に出て来た。
「あんたなんかに私達の何が分かるっていうの!」
「っ……向こうに行ってもまともな――――」
「元々まともな生活をしていた人なんていないわ! 毎日硬いパン一つで一日を過ごす惨めな生活なら、どんな目に遭ってもそっちの生活の方がいい!」
「…………奴隷商人がどうしてみんなにこういう贅沢を与えているか分かりますか? それは自らの意志で奴隷として売られるように見栄えよく見せているだけなんです! 売られたらすぐに貴族のおもちゃとなり…………今までよりも惨めな生活を送る事になるんです! 今まで多くの観賞奴隷がそういう結末を辿っているんです!」
「う、嘘よ! ドスグ様はそんな事言ってなかったわ!」
「それは嘘なのです! ――――――私達はそういう奴隷達を多く見て来た……だからこそ、皆さんを助けたいんです! アルマさん! どうか彼女達を救ってください!」
必死に訴える彼女が俺を見上げる。
奴隷達も不安そうな表情で俺を見つめた。
「みなさん。落ち着いてください。彼女は賊です。聞く耳を持つ必要はありません」
彼女達を落ち着かせて、用意していた紅茶を勧める。
部屋にどんよりとした空気が収まったのを確認して、床に倒れていたエヴァさんを椅子に座らせた。
彼女は何も言わず、じっと俺を睨み続けている。
「エヴァさん。貴方の言葉は届かない。何故なら彼女達にとってドスグの方が説得力があるからだ。その理由が分かりますか?」
「…………いえ」
「人というのは手を差し伸べてくれる人を信じる。彼女達にとって貴方はきれいごとを言う人でしかないんです」
「ですが、本当のこと――――」
「知っています。彼女達もそれを知っているでしょう。でも目の前に暖かくて美味しい食べ物が置かれている。誰を信じるかは一目瞭然です」
「それは…………」
「力に頼った時点でエヴァさん達の負けなんです」
「…………」
屋敷のあちらこちらに爆発音が響いて、戦いがますます激しくなっていく。
その時、乱雑に開けられた扉からシャリーが入ってきた。
「シャリー。ちょうどいいところに。俺と変わってくれ」
「えっ!?」
「ルークも一緒にここにいる人達を守ってくれ。俺以外、ドスグさんでも入れないようにね。もしかしたら姿を変える力を持つ人がいるかも知れないから」
「わ、分かった!」
「それと、そこのメイドさんの話し相手になってあげて」
そう言い残し、俺は一人で部屋を後にした。
廊下を全力で走り込む。
道しるべの地図によると、青く光る点があちらこちらに点在している。
一番近くの場所に向かうと、予想通り黒い装束を着た人が見えた。
彼に飛び込んで腹部を蹴り飛ばす。
「なっ!?」
ドスグの私兵達との戦いに無理矢理混じったからか、驚いて反応できない彼を簡単に捕まえる事ができた。
すぐにハガネメルで彼も拘束する。
「賊は俺が確保します。冒険者ギルドの者です」
「お、おう!」
「貴方達は急いでホールに向かってください!」
「分かった!」
そこから同じように何か所か走り回り、黒い装束の人を四人確保して、シャリーが待っている部屋に駆け込んで、エヴァさん同様に部屋内に置いた。
「あ、アルマくん? この人達は?」
「エヴァさんの仲間だろうね。動けないと思うけど、もしもの時は首を飛ばしていいよ」
「飛ばさないよ!」
「ふふっ。でも俺はシャリーの身に危険が及ぶ方が嫌だから、彼らがなんらかの方法で君の身を傷つけようとしたら、容赦なく斬っていいからね?」
「う、うん……」
俺としても彼らを傷つけさせるわけにはいかない。
いまわざと口にしたのは、ただのハッタリだ。
それでも効果は十分のようで、黒い装束の人達は諦めの表情を浮かべる。
「また行ってくるよ」
「いってらっしゃい!」
見送られて、また部屋から飛び出して次の目標に向かって走った。
屋敷内に爆発の音が鳴り響いた割には、それ程大きな被害は受けてない様子。
もしかして、音すらフェイントだったのか。
次の目標でもある外の売り場を目指した。
【あいさ~!】
ルークが火の魔法を放ってステージに繋がっている通路を燃やす。
恐らく、ここから合流する予定だったと思われる。
「みんなさん、動かないように」
「「「は、はいっ!」」」
周囲に気配りをしながら奴隷達を守る。
「貴方達! こんなところで奴隷のままでいいの!?」
捕まえているエヴァさんが叫んだ。
それはここにいる奴隷達に向けられた必死の叫びだった。
「この先どうなるかくらい知っているでしょう!? まともな人生は歩めなくなるのよ!?」
「…………俺も聞きたい。まだ売られる前は奴隷商の商品であるから人権は守られる事になっている。でも売れてしまえばどんな目に遭っても奴隷は物扱いとなるはずだ」
九人いる奴隷達の中から、一人が前に出て来た。
「あんたなんかに私達の何が分かるっていうの!」
「っ……向こうに行ってもまともな――――」
「元々まともな生活をしていた人なんていないわ! 毎日硬いパン一つで一日を過ごす惨めな生活なら、どんな目に遭ってもそっちの生活の方がいい!」
「…………奴隷商人がどうしてみんなにこういう贅沢を与えているか分かりますか? それは自らの意志で奴隷として売られるように見栄えよく見せているだけなんです! 売られたらすぐに貴族のおもちゃとなり…………今までよりも惨めな生活を送る事になるんです! 今まで多くの観賞奴隷がそういう結末を辿っているんです!」
「う、嘘よ! ドスグ様はそんな事言ってなかったわ!」
「それは嘘なのです! ――――――私達はそういう奴隷達を多く見て来た……だからこそ、皆さんを助けたいんです! アルマさん! どうか彼女達を救ってください!」
必死に訴える彼女が俺を見上げる。
奴隷達も不安そうな表情で俺を見つめた。
「みなさん。落ち着いてください。彼女は賊です。聞く耳を持つ必要はありません」
彼女達を落ち着かせて、用意していた紅茶を勧める。
部屋にどんよりとした空気が収まったのを確認して、床に倒れていたエヴァさんを椅子に座らせた。
彼女は何も言わず、じっと俺を睨み続けている。
「エヴァさん。貴方の言葉は届かない。何故なら彼女達にとってドスグの方が説得力があるからだ。その理由が分かりますか?」
「…………いえ」
「人というのは手を差し伸べてくれる人を信じる。彼女達にとって貴方はきれいごとを言う人でしかないんです」
「ですが、本当のこと――――」
「知っています。彼女達もそれを知っているでしょう。でも目の前に暖かくて美味しい食べ物が置かれている。誰を信じるかは一目瞭然です」
「それは…………」
「力に頼った時点でエヴァさん達の負けなんです」
「…………」
屋敷のあちらこちらに爆発音が響いて、戦いがますます激しくなっていく。
その時、乱雑に開けられた扉からシャリーが入ってきた。
「シャリー。ちょうどいいところに。俺と変わってくれ」
「えっ!?」
「ルークも一緒にここにいる人達を守ってくれ。俺以外、ドスグさんでも入れないようにね。もしかしたら姿を変える力を持つ人がいるかも知れないから」
「わ、分かった!」
「それと、そこのメイドさんの話し相手になってあげて」
そう言い残し、俺は一人で部屋を後にした。
廊下を全力で走り込む。
道しるべの地図によると、青く光る点があちらこちらに点在している。
一番近くの場所に向かうと、予想通り黒い装束を着た人が見えた。
彼に飛び込んで腹部を蹴り飛ばす。
「なっ!?」
ドスグの私兵達との戦いに無理矢理混じったからか、驚いて反応できない彼を簡単に捕まえる事ができた。
すぐにハガネメルで彼も拘束する。
「賊は俺が確保します。冒険者ギルドの者です」
「お、おう!」
「貴方達は急いでホールに向かってください!」
「分かった!」
そこから同じように何か所か走り回り、黒い装束の人を四人確保して、シャリーが待っている部屋に駆け込んで、エヴァさん同様に部屋内に置いた。
「あ、アルマくん? この人達は?」
「エヴァさんの仲間だろうね。動けないと思うけど、もしもの時は首を飛ばしていいよ」
「飛ばさないよ!」
「ふふっ。でも俺はシャリーの身に危険が及ぶ方が嫌だから、彼らがなんらかの方法で君の身を傷つけようとしたら、容赦なく斬っていいからね?」
「う、うん……」
俺としても彼らを傷つけさせるわけにはいかない。
いまわざと口にしたのは、ただのハッタリだ。
それでも効果は十分のようで、黒い装束の人達は諦めの表情を浮かべる。
「また行ってくるよ」
「いってらっしゃい!」
見送られて、また部屋から飛び出して次の目標に向かって走った。
屋敷内に爆発の音が鳴り響いた割には、それ程大きな被害は受けてない様子。
もしかして、音すらフェイントだったのか。
次の目標でもある外の売り場を目指した。
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