異世界から帰ってきたら、大好きだった幼馴染みのことがそんなに好きではなくなっていた

リコピン

文字の大きさ
6 / 65
第二章 あ、忘れてた

1.

しおりを挟む
1.

「…太陽がまぶしい」

「太陽がまぶしいのは、当たり前」

「そうだった。久しぶり過ぎて忘れてた」

夏休み明けの登校初日、宣言通りに、一歩も家を出ずに夏休みを終えた身には、太陽の光が目に染みる。

「…一応、何とかなった、よね?」

「…」

チサと最寄り駅まで歩きながら、帰還後の課題をクリアするためにひこきもり続けたここ一ヶ月を振り返る。

帰還直後、―一方的ではあるけれど―三年ぶりの両親との感動の再会は、布団を頭から被った『蒸し風呂ダイエット始めたの』の虚言から始まった。

娘の奇行を割りとすんなり受け入れてくれたのは、二人の寛大さの表れなのか、私の日頃の行いのせいなのか。

その後も、両親共働きというおかげもあって、二人には最後までバレることがなかったのはラッキーだったと思う。

二歳下に弟も居るけれど、サッカー強豪校に進学した彼は寮生活。夏休みは大事な試合があるからと、家には帰ってこない。他県まで会いに行った両親には、『痩せて生まれ変わった姿で再会したい』というかなり苦しい言い訳をして、何とか弟との再会は避けきった。

そして宣言通り、本当に全く一歩も家からでることなく夏休みは終わり、その間、チサは本当に毎日勉強を教えに来てくれた。

娘に勉強を教えてくれて、夕飯の時間になると頑固に帰ろうとするチサを両親は『良くできたお嬢さん』だと気に入っている。それでも、一人暮らしのチサが気になって、何度か夕飯は食べていって貰ったけれど。

「いや、私かなり頑張った。乗りきったよ。偉い!大丈夫!いける!」

「…」

チサの無言にもめげず自画自賛を繰り返すのは、電車を降りてから、校門に近づくにつれて徐々に増えていく視線にビビっているから。

「ヤバイ。メッチャ見られてる。やっぱ、十代には見えない?アウト?アウトかな?」

「見られてるのは、ソレじゃない。アカリが痩せたから」

「そうかな?本当に?」

『何とかなった』と言いながら、結局、体重は完全には元に戻らなかった。暴飲暴食に、運動一切無しの生活だったにも関わらず、体重は半分ほどしか戻らなかったのだ。チサ曰く『あちらの世界で鍛えたインナーマッスルのおかげで、太りにくい身体になっている』ということらしい。

それだけで、こんなに体重が戻らないものかと疑問にも思ったけれど。確かに、食事の量が減るとすぐに体重も減ってしまうので、チサの言う通りなのかもしれないけれど。

「…ただ、他の学年の子達までアカリを見てるのは不思議」

「え?」

「みんな、アカリを知ってるの?アカリは、学校の有名人?」

「!?」

チサの、少し首を傾げた問いかけに、思い出してしまった。

そうだった―

「…私は、全然、有名じゃないっていうか、皆が私を知ってるのは、」

「―お前、明莉か?」

「!?」

突然、背後からかけられた声。聞き慣れていたはずの、だけど、今はとてつもなく懐かしく感じるその声に、ゆっくりと振り向く。

「え!本当に、明莉ちゃん!?」

「…マジかよ」

「…」

そこには、驚愕の表情を浮かべた、美男美女のカップルが立っていた。




しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』

ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています この物語は完結しました。 前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。 「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」 そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。 そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん
恋愛
【モブ】シリーズ①(本編) 異世界を救うために聖女として、3人の女性が召喚された。しかし、召喚された先に4人の女性が顕れた。そう、私はその召喚に巻き込まれたのだ。巻き込まれなので、特に何かを持っていると言う事は無く…と思っていたが、この世界ではレアな魔法使いらしい。でも、日本に還りたいから秘密にしておく。ただただ、目立ちたくないのでひっそりと過ごす事を心掛けていた。 それなのに、周りはおまけのくせにと悪意を向けてくる。それでも、聖女3人のお姉さん達が私を可愛がって守ってくれるお陰でやり過ごす事ができました。 そして、3年後、聖女の仕事が終わり、皆で日本に還れる事に。いざ、魔法陣展開で日本へ!となったところで…!? R4.6.5 なろうでの投稿を始めました。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

処理中です...