異世界から帰ってきたら、大好きだった幼馴染みのことがそんなに好きではなくなっていた

リコピン

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第三章 大学生活と再会とオカルト

1.

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1.

「いい感じの人達ばっかりで、良かったねぇ」

「…」

頷くチサと帰るのは、同じアパート内の隣同士の部屋。進学のために実家を離れて借りた、大学近くの学生専用アパート。その並びの部屋が同時に二つ空いていたのはラッキーだった。

アパート内の上下左右のご近所さんに引っ越しの挨拶を済ませ、チサの部屋で二人でお蕎麦をすする。

「お隣同士の部屋が空いてて、ラッキーだったよね」

「…」

「あれ?チサさん?」

何の気なしに言った言葉に、チサが怪しい反応を返す。僅かに動揺しているように見えたのは気のせいだろうか?このアパートをネットで見つけたと教えてくれたのはチサだったのだが。何かを、隠している―?

「…もしかして、何かした?」

「…」

雄弁な沈黙が返ってきた。否定が返ってこない時点で、チサが何かをしたのは確実だろう。そして、チサが隠そうとしたのだから、それは魔力的な何か―

「ん?でも、こっちの世界には魔力が無い、んだよね?」

「…『ほとんど』ない。だから、世界を越えるような魔方陣の起動や、アカリが使うような魔力の大量消費が必要な魔法は使えない。時間をかけて魔力を溜めないと」

「…つまり?」

「…探査系の魔法を使った。それでここを見つけただけ」

それは、五十年かけて溜める予定の魔力を無駄遣いした、ということではないのだろうか?

だけど、

「…まあ、いいか」

不安なことも多い新生活。隣にチサが居てくれるのは、素直に嬉しいから―





入学から暫くが経ち、新生活のリズムがつかめだした頃、チサと二人で先延ばしにしていたサークル見学に行くことにした。入学式の後に配られた膨大な勧誘チラシの中から、チサが珍しく興味を示したサークルがあったからだ。

本人は否定していたが、大学も学部も私に合わせて選んだと思われるチサ。その彼女が、少しでも興味をひかれたのならと、半ば強引にサークル見学に引っ張っていくことにした。

引っ張って行くといっても、実際にはチサをせっついて連れていってもらうだけ。当のチラシはチサがさっさと廃棄してしまったので、サークルの場所どころか、何のサークルなのかも、実は知らない。

サークル棟のある構内の一角へ向かう途中、通りかかったテニスコートの中に、見慣れた姿を発見した。

「あ、来叶らいとだ」

「…」

チサは一瞥するだけで、足を止めることもない。

同じ大学に進学していても、高校までとは学校の規模が違う。学部が違う来叶を学内で見かけることはほとんどなく、見かけたとしても、常に華やかな集団の中に居る彼には近づくことも出来ない。

―今さら、近づく理由も無いんだけどね

「…テニスサークル入ったんだねえ」

「…」

足を止めずに振り返り、もう一度来叶を眺める。大学生になり、髪を明るい茶色に染めた来叶は、周囲と楽しそうに談笑している。

「馴染んでるなあ」

「…」

結局、結莉愛ゆりあ美歌みかとの関係がどうなったのかはわからない。全く気にならないわけではないが、改めて確認するほどの熱がない。

これが、今の自分と来叶達との距離なのだろうなとぼんやり考えながらチサの後についていけば、彼女の足が一つの扉の前で止まった。

「ここ」

「ここ?」

チサの言葉に、目の前の扉にかけられたドアプレートを確認する。異世界からやって来た友人がこちらの世界で興味を示したもの―

―オカルト研究サークル

「…何故に?」

「…」

思わず彼女を振り返る。分かりにくく、だけど僅かにテンションの上がっているチサの顔をマジマジと見つめた。




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