異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ

文字の大きさ
178 / 182

第178話 我々の真の戦力を御覧ください!

しおりを挟む
 フィリアの言葉を、丈二が相手国の言語で伝える。

 だが砲撃はやまない。

「繰り返します! ただちに攻撃を中止してください!」

 フィリアは必死に何度も繰り返すが、相手の反応は変わらない。

「く……っ、なんで攻撃をやめないんだ」

 おれの呟きに、ロザリンデはため息交じりに答える。

「侵略に対して、なにも抵抗がないのでしょうね。日本だけでなく、メイクリエ王国にも脅威を感じていないのよ、きっと」

 バルドゥインも、少しばかり不機嫌に口を開く。

「舐められたものだな。タクトよ、ここはひとつ、見せてやってはどうだ? この程度の艦隊、元素破壊魔法なら、たとえ10倍いようと一撃で吹き飛ばせるはずだ」

「力を見せるのは賛成だけど、おれたちは戦争をしにきたんじゃない。こちらと戦えば、ただじゃ済まないとわからせるだけでいい」

「では、わからせてやろう。安心しろ、まだ殺しはしない。脅威を伝えるには、生き証人が必要だからな」

「それでいい。フィリアも、いいね?」

「はい、仕方ありません」

 フィリアは再び、相手国の艦隊へ呼びかける。

「こちらの要請を無視して攻撃を継続する以上、我々もみずからの身を守らねばなりません! 我がメイクリエ王国の精鋭が、最低限を反撃をおこないます! これはあくまで自衛であり、害意あるものではないとご了承ください!」

 その宣言とともに、バルドゥインは急降下して敵艦へ接近した。

 砲塔が旋回してこちらを狙う。それより早く、バルドゥインは爪を振るった。

 バターのように、容易く切り裂いてしまう。

「悪い金属ではないが、薄いな!」

 すかさず、おれも背負っていた竜殺しの剣ドラゴンバスターを構え、飛び出す。より高い位置にある、もうひとつの砲塔に振り下ろす。

 縦に一刀両断。軽い手応えだ。さらに横一文字に切り裂いて、一足飛びにバルドゥインの背に戻る。

「なるほど! 確かにドラゴンと比べれば大したことはない!」

 さすがに味方への誤射を恐れてか、他の艦艇からの砲撃はない。その代わり、各艦艇から離陸したヘリコプターが接近。機関砲やロケット弾を発射してくる。

 それらも防壁魔法を打ち破るには至らない。

 しかし対応が難しい。無力化するのは容易いが、下手に撃墜してはパイロットを死傷させてしまうかもしれない。

「ここは私が!」

『魔槍ドラゴンシャウト』を構えた丈二が、魔力を集中させる。

「――嵐空斬ストーム・スラッシャー!」

 魔槍で増幅された丈二の風魔法が発動する。見えない真空の刃が、周囲のヘリのローターを根本から切断する。

 墜落していくそれらに対し、丈二はさらに魔法を放つ。

風の抱擁ウインド・エンバランス!」

 今度は風圧を巧みに操り、ヘリの落下速度を和らげ、海面に軟着陸させていく。

 バルドゥインは次の艦艇へ向かうべく上昇する。

 すると、それを待っていたのか、各艦艇から一斉にミサイルが発射された。

 しかしそれらは、バルドゥインの防壁魔法に衝突するまでもなく、すべて空中で爆散した。

 ロザリンデが電撃を放射したのだ。

「あれくらいは防げたのだがな」

「いいえバルドゥイン、甘く見てはダメよ。あなたの魔力は節約しなくては」

 次々に放たれる攻撃を防いでは、艦艇へ乗り込み武装を破壊する。

 そうやってあらかたの艦艇を無力化し終えてから、おれたちは艦隊から距離を取った。

 再び拡声魔法を最大出力で発動。

「自衛のためやむを得ず力を振るってしまいましたが、改めて申し上げます! わたくしたちに害意はありません。その証拠に、そちらに犠牲者は出ていないはずです! こちらは、わたくしたちメイクリエ王国の戦力の一部でしかありません! このまま侵攻を続けるのならば、我が国すべての戦力で迎え撃つしかありません!」

 本当はバルドゥインはメイクリエ王国の戦力ではないし、丈二やロザリンデも正式には違う。おれに至っては、通常戦力と比べれば規格外の経験と装備を有している。

 メイクリエの戦力でも、ここまで一方的に相手を蹂躙できるとは思えない。

 が、相手はそれを知らない。

 これで脅威を感じて撤退するなら良し。そうでないなら……。

「……撤退、し始めてくれているようですね?」

 フィリアが呟いたとおり、目の前の艦隊は転針して引き返していく。

 安堵しかけるが、ロザリンデも丈二も首を横に振る。

「敵戦力はあの艦隊だけではありません。次は主力艦隊が来るはずです」

 ロザリンデはタブレットを眺めている。魔素マナがあるため、ダンジョンルーターでWi-Fiがここまで繋がっているのだ。

「ニュースにも書かれているわ。空母? とやらまで、接近しているみたい」

 バルドゥインはその優れた視力で、はるか遠方を見通す。

「ふむ、その空母かはわからんが、今の連中より大きい、甲板が妙に平らな船が近づいてきているな。空を飛ぶ機械も、飛び立ってきている」

「つまり、まだやる気らしいな」

 丈二はため息をつく。

「物量で勝てると踏んだのでしょうね。実際、このまま連戦で、さらに戦闘機まで相手にするのはつらそうですが……」

「連中、いざとなれば核もあるわけだし……やっぱり自分たちが優位だと信じて疑わないんだろう。見せてやるしかないか」

「仕方ありません。バルドゥイン様、声を届けたいので撤退する艦隊のそばへ」

「心得た」

 撤退中の艦艇へ近づいたところで、再び拡声魔法で発する。

「まだおわかりになられていないようなので、ある魔法を使用いたします! いくら口で言っても、実際に見なければわからないでしょう。我々の真の戦力を御覧ください!」

 フィリアがおれに視線で合図する。おれは頷き、全魔力を集中させる。

 上級吸血鬼ダスティンに使ったときは、おれたち自身や迷宮ダンジョンへの影響も考えて、最小威力だった。だが今回は違う。最大出力で行く!

 対象はずっと先、おれたちから見て左側の、なにもない海上だ。地図の上でも、どの国のものでもない公海となっていたはずだ。

 念のため、バルドゥインにも確認してもらうが、航行中の船などもなにもない。

「いくよ! みんな目を瞑って、衝撃に備えてくれ! ――元素破壊アナイアレーション!」

 はるか遠方の海上が、爆発的な閃光を放った。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...